親・家族の気持ち

親にエンディングノートを書いてもらうには|嫌がられない渡し方・切り出し方6つ

親にエンディングノートを書いてもらうには

親にエンディングノートを書いてほしい。でも「縁起でもない」と怒らせてしまいそうで、なかなか切り出せない——そんな悩みを抱える方は少なくありません。この記事では、親が嫌がる気持ちの背景と、嫌がられにくい6つの渡し方・切り出し方を、言い換えの具体例とあわせてご紹介します。

親が嫌がるのは、自然なことです

まず知っておきたいのは、エンディングノートを勧められて親が抵抗を示すのは、ごく自然な反応だということです。背景には次のような気持ちがあります。

  • 「死」を連想させるものを、子どもから突きつけられたように感じる
  • 「もう先が長くないと思われているのか」と、急かされている感じがする
  • 財産のことを聞かれると、「お金目当てなのか」と身構えてしまう
  • 何を書けばいいか分からず、白紙のノートを前に負担を感じる

つまり、親が拒むのはエンディングノートそのものではなく、「渡され方」や「切り出され方」であることが多いのです。裏を返せば、伝え方を工夫するだけで受け取ってもらえる可能性は大きく変わります。

切り出す前にしておきたい準備

いきなりノートを差し出す前に、次の3つを整えておくと成功率が上がります。

  1. 目的をはっきりさせる:財産を聞き出すためではなく、「もしものとき、親の望みどおりにしてあげたいから」という軸を自分の中で固めておく。
  2. 聞きたいことに優先順位をつける:全部書いてもらおうとしない。まずは「もしもの時に連絡してほしい人」「大事な書類のありか」など、1〜2項目に絞る。
  3. ノートを先に用意しておく:「書いてね」と口で言うだけでは動きにくいもの。記入例つきのものを選んで手渡せる状態にしておく。

あわせて、避けたい言い方も押さえておきましょう。親の老いや死を前提にした言葉、子の都合を主語にした言葉は、正論であるほど親を頑なにさせます。主語は常に「あなた(親)の望み」に置くのがコツです。言い換えの例を挙げます。

避けたい言い方

言い換えの例

「そろそろ年なんだから、書いておいてよ」

「お父さんの希望どおりにしてあげたいから、教えておいてほしいな」

「亡くなったら困るのはこっちなんだよ」

「何かあったとき、私が迷わないように助けてほしいの」

「財産、どこに何があるか教えて」

「通帳とか大事な書類が『どこにあるか』だけ分かれば十分だから」

親との終活の話題の切り出し方そのものについては、親の終活の切り出し方の記事で詳しく解説しています。

嫌がられにくい6つの渡し方・切り出し方

1. 自分が先に書いて、見せる

いちばん効果的なのは、子であるあなた自身が先にエンディングノートを書き、「私も書いてみたんだけど」と見せる方法です。「あなたのために書いて」が「私も書いたから一緒に」に変わるだけで、押しつけの印象は大きく減ります。年齢に関係なく、もしもの備えは誰にでも必要なものです。

2. 「もしも」ではなく「思い出を残す」から入る

死や病気を入り口にすると、どうしても身構えられてしまいます。エンディングノートには人生の歩みや思い出を書く欄があるものが多いので、「おばあちゃんの若い頃の話、ちゃんと残しておきたい」「孫に読ませてあげたい」という切り口から入ると、前向きな作業として受け取ってもらいやすくなります。

3. 記入例つきのノートを選ぶ

白紙に近いノートは「何を書けばいいのか」という負担が大きく、挫折のもとになります。記入例が載っているものなら、まねして埋めるだけで進められます。当サイトでは全ページ記入例つきの無料エンディングノートPDF(A4・20ページ・登録不要)を配布していますので、印刷して手渡す用にご活用ください。

4. 「一緒に1ページだけ」書いてみる

渡して終わりにせず、「今日はここだけ一緒に書いてみない?」と1ページだけ付き合うのも有効です。おすすめは「もしもの時に連絡してほしい人」のページ。財産に触れず、親も答えやすい項目だからです。1ページ書けたという体験ができれば、あとは親のペースで進んでいくことも多いものです。

5. 正月・帰省など、家族が集まるタイミングを選ぶ

電話やメッセージだけで切り出すより、顔を合わせてゆっくり話せるときのほうが、重い話題も柔らかく伝わります。正月や盆の帰省、親の誕生日など、家族がそろって穏やかに過ごせるタイミングを選びましょう。ただし、集まりの場で親を囲んで問い詰める形にならないよう、話すのは1対1か少人数が基本です。

6. 「書いてもらう」のをやめて、子が聞き書きする

どうしてもペンを持ってもらえないなら、発想を変えて、子であるあなたが「聞き役兼書き役」になる方法があります。「おじいちゃんの話を聞かせて」とインタビューのように質問し、答えを子がノートに書き留めていくやり方です。親にとっては「書かされる」負担が消えて、思い出話をするだけになり、会話そのものが親孝行の時間にもなります。帰省中にスマホで聞き書きするなら、その場で入力できるブラウザ型のデジタルエンディングノート(無料・登録不要)が便利です。書き留めた内容は印刷して、親に確認してもらいながら仕上げましょう。

書いてもらえなくても、得られるものがあります

工夫しても、書いてもらえないことはあります。そんなときは、いったん引きましょう。無理に迫れば「二度とこの話はしたくない」という空気になり、次の機会まで失ってしまいます。渡したノートはそのまま実家に置いてもらい、「気が向いたときでいいからね」と伝えるだけで十分です。それでも、この働きかけは無駄になりません。

  • 「子どもが自分の望みを大事にしようとしている」というメッセージは伝わり、後日ふとした会話で希望を話してくれることがある
  • ノートは書かれなくても、「大事な書類は仏壇の引き出し」といった口頭の情報が得られれば、それだけで大きな前進
  • 親の気持ちの現在地(何に抵抗があるのか)が分かり、次の話し合いの糸口になる

なお、もしものときの医療やケアの希望を、本人・家族・医療者があらかじめ話し合っておく取り組みは「人生会議(ACP)」と呼ばれ、厚生労働省も普及を進めています(厚生労働省)。エンディングノートを一緒に開く時間は、この「人生会議」の入り口としても役立ちます。書いてもらうこと自体をゴールにせず、親の想いを聞く対話の時間として捉えると、気持ちが楽になります。

エンディングノートは、実家の片づけや住まいの今後を考えるきっかけにもなります。実家のことまで視野に入れて備えたい方は、実家じまい完全ガイドも参考にしてください。

まとめ:「書かせる」のではなく「一緒に備える」

親にエンディングノートを書いてもらう近道は、立派なノートを選ぶことではなく、「あなたの望みを大切にしたい」という気持ちが伝わる渡し方をすることです。まずは自分が先に書いてみる、思い出の話から入る、1ページだけ一緒に書く、書いてもらえないなら聞き書きに切り替える——できそうなものから試してみてください。手渡し用には記入例つきの無料PDFをどうぞ。急がず、親のペースに寄り添って進めていきましょう。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

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この記事の監修者

ふれあいの丘 総合監修者・大久保亮佑(株式会社Kogera 代表取締役社長/生前整理アドバイザー2級)の顔写真

大久保 亮佑

生前整理アドバイザー2級/株式会社Kogera 代表取締役社長

株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」運営。実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。監修者プロフィール →

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