片付け・処分・供養

樹木葬とは|費用とメリット・デメリット

樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標にするお墓です。墓じまいのあとに遺骨をどこへ移すか、自分のお墓をどうするかを考え始めた方に向けて、樹木葬の法律上の位置づけ、費用の調べ方、メリットとデメリット、墓じまい・永代供養との関係を、法律と厚生労働省の指針、公開調査をもとに整理しました。

樹木葬とは、墓地として許可された区域に遺骨を埋め、樹木や草花を墓標にするお墓

樹木葬とは、都道府県知事(市・特別区は市長・区長)の許可を受けた墓地の区域に焼骨を埋蔵し、墓石の代わりに樹木や草花を目印にするお墓の呼び名です。「樹木葬」という言葉は法律に定義がなく、法律上は一般のお墓と同じく墓地の中の墳墓として扱われます。

墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)は、「墓地」を墓地として許可を受けた区域と定め(第2条第5項)、焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行ってはならないとしています(第4条)。そのため、自宅の庭や所有している山林に遺骨を埋めて樹木葬にすることはできません。墓地の経営にも都道府県知事等の許可が必要です(第10条、e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」、確認日:2026年9月18日)。

厚生労働省の「墓地経営・管理の指針」は、墓地の経営主体を市町村などの地方公共団体を原則とし、それが難しい場合でも宗教法人や公益法人等に限るという考え方を示しています。樹木葬の運営者も、自治体・寺院・公益法人などに分かれます。宗旨・宗派の条件は運営者ごとに異なるため、申し込む前に確認しておくと安心です。

樹木葬は、ほかの方と一緒に埋める合祀型と、区画を分ける個別区画型に分かれる

樹木葬の形は、シンボルツリーの周りに多くの遺骨を一緒に埋める合祀型と、1人または家族ごとに区画を分ける個別区画型に大きく分かれます。鎌倉新書の調査も、樹木葬には「合同供養タイプ」と「個別区画タイプ」があり、選び方で費用が変わると説明しています。

公営の例として、東京都の都立霊園にある樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地)は、シンボルツリーの元に多くの遺骨を一緒に埋蔵する施設です。個別区画型でも、一定の年数が過ぎたあとに合祀墓へ移す契約があります。厚生労働省の指針は、使用期限の定め方として「無期限」「管理料を払う間は継続」「30年などの有期限」「有期限で更新あり」の類型を挙げています。個別に眠る期間が何年なのかは、契約書で確かめる項目です。

樹木葬の費用は、公開調査の平均で71.7万円。ただし全国の相場を示す数字ではない

樹木葬の費用は、株式会社鎌倉新書の「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」で平均購入金額71.7万円でした。同じ調査で一般墓は152.0万円、納骨堂は81.5万円です。購入したお墓の種類は樹木葬が47.4%で最も多く、樹木葬の平均は前年の67.8万円から3.9万円上がりました。

鎌倉新書の調査の対象は、2025年1月〜12月にポータルサイト「いいお墓」経由でお墓を購入した1,267人(インターネット調査・2026年1月16日〜30日実施)です。全国のお墓の平均ではない点に注意してください。同社は、個別区画では永代供養料や専用プレートの設置費用などが加わり、合同供養は比較的安価な傾向があると説明しています(鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」、確認日:2026年9月18日)。

公営の樹林墓地は、使用料が公表されています。東京都の令和8年度募集では、樹林型合葬埋蔵施設の使用料が多磨霊園2号基で遺骨1体あたり95,000円(粉状遺骨は31,000円)、雑司ケ谷霊園で112,000円(同37,000円)、年間管理料の欄は「-」でした。申込者が都内に3年以上継続して居住していることなどの資格があり、令和8年度は6月12日〜7月3日の申込みのあと8月14日に抽選が行われました(東京都「令和8年度 都立霊園の使用者を募集」、2026年5月25日発表、確認日:2026年9月18日)。

樹木葬の見積もりは、区画・埋葬方法・年間管理費・銘板の4項目に分けて比べる

樹木葬の見積もりは総額だけで比べず、区画の使用料、合祀か個別か、年間管理費、銘板やプレートの4項目に分けると、霊園ごとの違いが見えます。厚生労働省の指針も、料金の規定を明確にし、契約書と重要事項の説明書で利用者に十分説明することを求めています。

比べる項目

見積もりと契約書で確かめること

区画の使用料

1人用・夫婦用・家族用のどれか。何人まで入れるか

合祀か個別か

最初から合祀か。個別に眠る期間は何年で、そのあとどこへ移るか

年間管理費

有無と金額。一括前払いか毎年払いか。払えなくなったときの扱い

銘板・プレート

名前を刻む費用が含まれるか。追加の彫刻や納骨の立ち会いに別料金があるか

厚生労働省の指針は、使用期限の定めがなく管理料が支払われる間だけ権利が続く契約の例として、支払いが止まって一定期間が過ぎると使用権が消え、合葬墓などへ移す定めを挙げています。「永代使用」という表示でも実際には期限や条件がついている場合があるとも指摘しています(厚生労働省「墓地経営・管理の指針等について」、確認日:2026年9月18日)。

樹木葬のメリットは継承者を前提にしない点、デメリットは遺骨を取り出しにくい点

樹木葬のメリットは、跡を継ぐ人がいなくても申し込めることと、購入後の管理費がかからないプランが多いことです。鎌倉新書の調査は、維持費の負担が少ない点が、次の世代に負担をかけたくない人に選ばれる大きな理由だとしています。

  • メリット:継承者がいなくても申し込める。購入後の管理費がかからないプランが多い
  • メリット:墓石を使わないことが多く、一般墓と比べて低価格で購入できる(鎌倉新書の調査の説明)
  • デメリット:合祀すると、あとから遺骨を取り出して別のお墓へ移すことが難しくなる場合がある
  • デメリット:墓石に手を合わせる従来のお参りの形と違うため、家族や親族の受け止め方が分かれることがある

合祀後に遺骨を取り出せるか、お参りの場所や献花のルールはどうなっているかは、霊園ごとに異なります。見学のときに管理事務所へ確かめ、家族と共有しておくと、あとで意見が食い違うのを防げます。

墓じまい後に樹木葬へ移すときは、改葬許可証を受け取ってから納骨する

墓じまいをして今のお墓の遺骨を樹木葬へ移すことは、法律上の「改葬」にあたり、遺骨が今ある場所の市町村長の許可が必要です(墓地埋葬法第5条)。墓地の管理者は、改葬許可証などを受け取った後でなければ焼骨を埋蔵させてはならないと定められています(同法第14条)。

改葬許可の申請書類と提出先は、遺骨が今ある市区町村の案内で確認できます。手順と費用の全体は墓じまいの流れと費用相場で整理しています。樹木葬と合祀墓・納骨堂を並べて比べたい方は、永代供養の種類と費用も参考になります。

自分の樹木葬を考えるときは、希望を書き残して家族と話し合う

自分が入るお墓として樹木葬を考えるときは、希望する霊園の条件と費用を調べ、家族と話し合ってから申し込むと、あとで迷いが残りにくくなります。都立霊園の樹林墓地のように、生前に申し込める募集もあります。

「樹木葬を希望する」「合祀でもよい」「見学した霊園の名前」といった内容は、エンディングノートに書いておくと、家族が同じ情報を持てます。契約の条件や宗旨・宗派の扱いで迷うときは、霊園の管理事務所や、お住まいの市区町村の墓地担当窓口に確かめてください。

まとめ

  • 樹木葬は、墓地として許可された区域に遺骨を埋め、樹木や草花を墓標にするお墓。自宅の庭などには埋められない
  • 形は合祀型と個別区画型に分かれ、個別区画でも一定期間後に合祀へ移る契約がある
  • 鎌倉新書の2026年調査では樹木葬の平均購入金額は71.7万円。全国平均ではなく、都立霊園の樹林墓地は1体9.5万〜11.2万円の募集例がある
  • 見積もりは区画・合祀か個別か・年間管理費・銘板の4項目で比べ、契約書で使用期間を確かめる
  • 墓じまい後に移すときは改葬許可証を受け取ってから納骨する

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