墓じまいの流れと費用相場|改葬許可申請・離檀料トラブルを避ける完全ガイド

墓じまいの流れと費用相場|改葬許可申請・

本記事は一般的な情報提供を目的としています。宗派・寺院・自治体によって手続き内容や費用は異なります。墓じまいを検討される際は、菩提寺・自治体墓地担当課・行政書士・石材店等の専門家にご相談ください。

「お墓を守る人がいなくなってしまう」「遠方にあるお墓に行けなくなってきた」。そんな不安を抱えながらも、何から始めればよいかわからずにいる方は少なくありません。この記事では、墓じまいの全7ステップを順に解説し、費用の目安・よくあるトラブルの回避策まで網羅します。まずは全体像を知るところから、一歩踏み出してみましょう。

墓じまいが増えている背景

近年、墓じまいを選ぶ家庭が着実に増えています。厚生労働省の統計によると、改葬(お墓の引っ越し)件数は2022年度に約15万件を超え、10年前と比べて大幅に増加しています。この背景には、主に3つの社会的変化があります。

  • 少子化・核家族化:子どもが1人または0人という家庭が増え、「誰がお墓を継ぐのか」という問題が深刻化しています。
  • 遠方居住・Uターン減少:地方に先祖代々のお墓があっても、子どもが都市部に移り住み、頻繁なお墓参りが難しくなっています。
  • 後継者不在:独身・未婚・子なし世帯の増加により、現実的にお墓を管理する人がいない状況が生まれています。

「自分の代では大丈夫だけれど、子どもや孫に負担をかけたくない」という思いから、元気なうちに墓じまいを決断する方も増えています。これは決して先祖を粗末にすることではなく、次の世代への思いやりとして前向きにとらえる方が多くなってきました。

墓じまいは終活の文脈で語られることも多いですが、本質は「ご先祖への敬意を保ちながら、無理なく続けられる供養の形に移行すること」です。生前整理の観点からも、自分の判断力があるうちに準備しておくことが、家族全員の安心につながります。詳しくは終活のはじめかたもあわせてご覧ください。

墓じまいの7ステップ全体像

墓じまいは複数の関係者と複数の行政手続きが絡むため、全体の流れを把握しておくことがトラブル防止の第一歩です。大まかに以下の7ステップで進みます。

  1. 親族・菩提寺との合意形成
  2. 遺骨の新しい供養先(改葬先)を決める
  3. 改葬先から「受入証明書」を取得する
  4. 現在の墓地管理者(寺院・霊園)から「埋葬証明書」を取得する
  5. 市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出し「改葬許可証」を取得する
  6. 石材店に墓石の撤去・原状回復工事を依頼する
  7. 遺骨を新しい供養先へ移し、閉眼供養・開眼供養を行う

役所への手続きは「改葬許可証」の取得が核心です。墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条により、遺骨を別の場所へ移すためには市区町村長の許可が必要と定められています(厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律について」)。この許可なしに遺骨を移動することは違法となりますので、手続きの順番を守ることが重要です。

ステップ詳細① 親族・菩提寺との合意形成と離檀料

墓じまいで最初につまずきやすいのが、親族や菩提寺との話し合いです。特に「先祖代々のお墓をなくすことへの抵抗感」は、世代によって大きく異なります。この段階をていねいに進めることが、後々のトラブル防止に直結します。

親族間の合意形成のポイント

  • お墓の「祭祀承継者」(お墓の名義人)が中心となって話を進める
  • 遠方に住む親戚を含め、早めに情報共有する
  • 「なぜ墓じまいが必要なのか」の理由を丁寧に説明し、全員の合意を得ることをめざす
  • 合意が得られない場合は、弁護士や行政書士への相談も選択肢のひとつです

菩提寺への相談と離檀料について

菩提寺(お寺のお墓に埋葬されている場合)に墓じまいの意向を伝えることは、最も慎重さが必要な場面のひとつです。寺院とのご縁を終わらせる「離檀」にあたり、「離檀料」を求められることがあります。

離檀料とは、長年お世話になった寺院への感謝とお礼の意味合いを持つものです。法的な支払い義務があるわけではありませんが、円滑に話を進めるために、誠実な姿勢で相談することをおすすめします。

離檀料の金額は、地域・宗派・寺院との関係性によって大きく異なるため、一概に「〇万円が相場」とは言いにくい部分があります。一般的な参考として、数万円から数十万円の範囲で話し合うケースが多いとされますが、あくまで寺院との対話の中で決まるものです。高額請求でお困りの場合は、弁護士や行政書士にご相談ください。

ステップ詳細② 改葬許可証の取得手続き

改葬許可証は、遺骨を別の場所へ移すために市区町村役場から発行してもらう許可証です。取得の流れは以下のとおりです。

必要書類の全体像

  1. 埋葬証明書:現在の墓地管理者(寺院または霊園)に発行してもらいます。「確かにこの遺骨がここに埋葬されている」ことを証明する書類です。
  2. 受入証明書:新しい供養先(改葬先)から発行してもらいます。「この遺骨を受け入れます」という証明書です。
  3. 改葬許可申請書:市区町村役場の窓口で入手します(自治体によってはホームページからダウンロード可能)。上記2書類を添えて提出します。

手続きの注意点

  • 改葬許可申請書は、遺骨1体につき1枚が原則です(複数の遺骨がある場合は複数枚必要)。
  • 手続きを行う市区町村は、現在のお墓がある自治体です(改葬先の自治体ではありません)。
  • 書類の様式・必要事項は自治体によって異なる場合がありますので、事前に窓口に確認することをおすすめします。
  • 手数料は無料〜数百円程度が多いですが、自治体によって異なります。

改葬許可証が発行されたら、石材店による墓石撤去工事の前後に、新しい供養先へ提出します。この許可証がなければ、新しい供養先での受け入れができません。手続きの順番を守って進めることが大切です。

ステップ詳細③ 遺骨の新しい供養先を選ぶ

遺骨を次の供養先へ移す選択肢は、近年大きく広がっています。それぞれの特徴を比較して、ご家族の状況や価値観に合った方法を選びましょう。

永代供養墓・合祀墓

寺院や霊園が永続的に管理・供養してくれるお墓です。後継者がいなくても安心して任せられることが最大のメリットです。他の方の遺骨と一緒に埋葬される「合祀型」と、一定期間は個別安置される「個別型」があります。費用は数万円〜数十万円程度が目安です。

樹木葬

墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする埋葬方法です。自然に還るイメージが好まれ、特に近年人気が高まっています。里山型(山林の中)と都市型(霊園内の区画)があります。費用は数万円〜数十万円程度が多いです。

納骨堂

屋内施設で遺骨を保管する方法です。ロッカー型・仏壇型・自動搬送型などがあり、交通の便が良い都市部に多く設置されています。雨天でも参拝できる点も利点のひとつです。費用は数十万円〜百万円程度と幅があります。

散骨

遺骨を粉砕したうえで、海や山などに撒く方法です。厚生労働省は節度ある散骨については問題ないとの見解を示していますが、条例で規制している自治体もあるため、専門の散骨業者に相談することをおすすめします(参考:厚生労働省「散骨に関するガイドライン」)。費用は数万円〜十数万円程度が目安です。

手元供養

遺骨の一部を小さな骨壺やアクセサリーに加工して、自宅で手元に置いて供養する方法です。残りの遺骨は永代供養墓や散骨にするケースも多いです。「常に身近に置いておきたい」という気持ちを大切にできる選択肢です。

どの供養先が合っているかは、費用・アクセス・価値観・宗教観などによって異なります。複数の施設を見学・比較することをおすすめします。また、形見の品や写真を整理しておくことも、心の準備につながります。墓じまいを機に、写真や形見をベストショットアルバムや思い入れ箱として整えておくと、ご先祖との心の繋がりを未来に残せます。お焚き上げを検討される方はお焚き上げサービスの選び方もご参照ください。

費用相場と内訳

墓じまいにかかる費用は、現在のお墓の種類・規模・立地・新しい供養先によって大きく異なります。事前に全体のコスト感を把握しておくと、計画が立てやすくなります。

費用の主な内訳

  • 閉眼供養(魂抜き)のお布施:3万円〜10万円程度が目安。菩提寺の僧侶に依頼します。
  • 離檀料:0円〜数十万円と幅が大きい。寺院との話し合いによって決まります。
  • 墓石の撤去・原状回復工事費:1区画あたり10万円〜30万円程度が目安。墓石の大きさや立地条件によって変わります。
  • 改葬手続き費用:役所の申請手数料はほぼ無料〜数百円。行政書士に代行依頼する場合は別途費用が発生します。
  • 新しい供養先への費用:永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨などによって数万円〜100万円以上と大きく異なります。

トータル費用のめやす

一般的な墓じまいの総費用は、30万円〜100万円程度になるケースが多いとされています。ただし、墓石の規模が大きい、寺院墓地で離檀料が高額になる、新しい供養先を個別型の納骨堂にするといった条件が重なると、それ以上になることもあります。複数の石材店・供養先に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

費用の負担が気になる方は、生前整理チェックリストで全体の優先順位を整理してから取りかかると、無理のない計画が立てやすいです。

墓じまいでよくあるトラブルと回避策

墓じまいは関係者が多い分、トラブルが起きやすい手続きでもあります。事前に知っておくことで、多くのケースは回避できます。

トラブル① 親族の反対・合意が得られない

「先祖のお墓をなくすなんて」と強硬に反対する親戚がいるケースは珍しくありません。特に疎遠だった親族ほど反発が強い場合があります。

回避策:早い段階で関係者全員に情報共有し、「なぜ墓じまいが必要なのか」を丁寧に説明しましょう。新しい供養先を一緒に選ぶプロセスに参加してもらうことで、当事者意識が生まれることがあります。

トラブル② 離檀料の高額請求

寺院から法外に高額な離檀料を請求されたというケースがあります。離檀料に法的な義務はなく、金額も法的に定められていません。

回避策:「払えない」と一方的に伝えるのではなく、誠意を持って対話することが基本です。話し合いが難航する場合は、弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。

トラブル③ 石材店選びの失敗

悪質な石材店に高額な工事費を請求されたり、工事後に墓地が荒れた状態で放置されたりするケースがあります。

回避策:複数の石材店から相見積もりを取りましょう。墓地管理者(寺院・霊園)に紹介してもらった石材店であれば、一定の信頼がおけることが多いです。

トラブル④ 手続きの順番を誤る

改葬許可証を取得する前に墓石を撤去してしまったり、遺骨を勝手に移動してしまったりするケースがあります。墓地、埋葬等に関する法律に違反する行為となるため、必ず正しい手順を踏むことが大切です。

回避策:本記事で解説した7ステップの順序を守ってください。不安な点は、自治体の墓地担当課や行政書士に確認することをおすすめします。

墓じまいと合わせて仏壇・仏具の処分を検討されている方は、仏壇・仏具の処分方法と費用ガイドもご覧ください。永代供養先の選択や葬儀社との連携については後悔しない葬儀社の選び方も参考になります。

まとめ

墓じまいは「先祖を大切にしないこと」ではありません。時代や家族の状況が変わるなかで、無理なく続けられる供養の形を選ぶことは、ご先祖への敬意を次の世代へつなぐことでもあります。

改めて7つのステップを振り返ります。

  1. 親族・菩提寺との合意形成
  2. 新しい供養先を選ぶ
  3. 改葬先から受入証明書を取得する
  4. 現在の墓地管理者から埋葬証明書を取得する
  5. 市区町村役場に改葬許可申請書を提出し改葬許可証を取得する
  6. 石材店に墓石の撤去・原状回復工事を依頼する
  7. 遺骨を新しい供養先へ移し、閉眼供養・開眼供養を行う

手続きの詳細は自治体・寺院・供養先によって異なります。ひとりで抱え込まず、菩提寺・自治体墓地担当課・行政書士・石材店等の専門家にご相談ください。

生前整理の一環として、墓じまいとあわせてご自身の持ち物や思い出の品を整理しておくと、家族への負担をさらに減らせます。今日が一番若い日です。まずは全体像を把握するところから、ゆっくりと一歩を踏み出してみてください。

\ 読む時間がない方へ /

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この記事の監修者

大久保 亮佑

生前整理アドバイザー2級/株式会社Kogera 代表取締役社長

株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」運営。実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。監修者プロフィール →

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