GUIDEこの記事は実家じまい完全ガイドフェーズ03「片付ける」の解説記事です
実家の片付け業者の選び方|費用相場と7つの確認

実家の片付け業者を選ぶときは、一般廃棄物収集運搬業許可の番号を書面で確認し、現地見積もりを複数社で比べる2点を出発点にすると、大きな失敗を避けられます。業者の種類、間取り別の費用相場、悪質業者を見抜く7つのチェック、親と進める片付けの順番までを整理しました。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律判断・査定金額の保証はいたしません。
業者を使うべきタイミングと、自分で進めるほうがいい部分がある
業者に頼むか自分で進めるかは、物量・時間・体力・思い入れのバランスで判断が変わり、どちらが正解ということはありません。自分の状況に合った組み合わせを選ぶことが、後悔を防ぐ近道です。
業者を組み合わせると楽になるケース
- 一軒家・3LDK以上の物量があり、自力では3か月以上かかりそうな場合
- 高齢の親が施設に入居し、退去期限(有料老人ホームは概ね2か月、特別養護老人ホームは1週間程度)が迫っている場合
- 遠方に住んでおり、現地に通える回数が限られている場合
- 大型家具・大量の書籍など、搬出に大型車両・複数人手が必要な場合
自分で進めるほうがいい部分もある
祖母の形見や子どもが書いた手紙など、本人にしか価値がわからないものは業者には判断できません。「思い出のものまで一緒に業者に持っていかれた」という後悔は、生前整理アドバイザーの現場でよく見られる失敗のひとつです。こうした「自分にしかできないこと」を先に手を動かしておくことが、後悔を防ぐ出発点になります。決断力・判断力・分別力・体力があるうちに動くほど、後の整理は楽になります。
片付け業者は4種類あり、持っている許可でできることが違う
「片付け業者」と一口に言っても法律上の区分と得意分野が異なります。家庭から出た廃棄物を有料で回収できるのは一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者だけであり、許可のない業者が有料で回収することは廃棄物処理法違反にあたります(環境省「廃棄物・リサイクル対策」・2026年9月2日確認)。ただし許可は市区町村単位で発行されるため、対応エリアが限られる点もあわせて確認してください。
業者の種類 | できること | 確認する許可 |
|---|---|---|
一般廃棄物収集運搬業者 | 家庭ごみ・粗大ごみを適正ルートで処理できる唯一の区分 | 一般廃棄物収集運搬業許可(市区町村発行) |
遺品整理業者・生前整理サービス | 家全体の整理・清掃・搬出を請け負う | 提携先の一般廃棄物許可、遺品整理士などの資格 |
不用品回収業者 | 家具・家電を一括で引き取る。無許可営業も見られる | 一般廃棄物収集運搬業許可の有無を必ず確認 |
買取・リサイクル業者 | 価値のある品を買い取る。作業費と相殺するプランもある | 古物商許可(都道府県公安委員会) |
不用品回収業者については、料金の後出し・不法投棄・過剰な追加請求といった相談が国民生活センターに継続して寄せられています。「産業廃棄物の許可しか持っていない」「古い許可証を持ち出す」といった例もあるため、許可番号を提示してもらい、依頼する物件の自治体で有効な許可かを確認してください。
遺品整理業者・生前整理サービスは、遺品整理士認定協会の「遺品整理士」資格を持つスタッフがいると、遺品の取り扱いや貴重品保全の知識が整理されている目安になります。生前整理に特化したサービスを掲げる業者は親が存命中の片付けにも対応しますが、「生前整理」を名乗るだけで資格・許可の有無は確認が必要です。買取・リサイクル業者は作業費用を査定金額で相殺するプランを示すことがありますが、査定価格が不当に低く設定されるリスクも指摘されており、疑問を感じたらその場で契約せず消費生活センターに相談することをおすすめします。
依頼前に確認する許可・資格は一般廃棄物・古物商・整理系資格の3点
業者選びで最も重要なのは許可と資格の確認です。ホームページや電話での口頭説明で済ませず、番号と書面で確かめる習慣をつけると、トラブルの大半は入口で防げます。
- 一般廃棄物収集運搬業許可:廃棄物処理法に基づき市区町村ごとに発行。家庭ごみを有料で回収できるのはこの許可を持つ業者だけです
- 古物商許可:中古品の買取・販売に必要な許可。都道府県公安委員会への届出が必要で、許可番号は店舗や車両への表示が義務です
- 遺品整理士・生前整理アドバイザー:法的な許可ではありませんが、遺品の扱いや高齢者への接し方を学んだスタッフがいる目安です
資格の有無だけでなく、見積もり対応の丁寧さ・説明の誠実さとあわせて判断してください。自治体の清掃局や環境センターに問い合わせると、地域の許可業者リストを案内してもらえます。
費用相場は1Kで3〜8万円、3LDK以上で20〜60万円。見積書は5項目で読む
片付け業者の費用は「作業人数×時間」「間取り別一括」「品目別単価」の3方式が混在しており、同じ物量でも業者によって金額が大きく変わります。まず相場の幅を押さえ、複数社の見積書を同じ条件に揃えて比べてください。
- 1K・1R(単身者の部屋):3〜8万円前後
- 2DK〜2LDK:8〜20万円前後
- 3LDK〜4LDK(一軒家):20〜60万円前後(物量・状態による変動が大きい)
- 物量が非常に多い場合:100万円を超えるケースも
金額は家財の量・作業日数・廃棄物処理費・搬出難易度(エレベーターなし、階段が狭いなど)で変わるため、現地見積もりが前提です。見積書では次の5項目を確認します。
- 作業内容の明細(何を・どこまで行うか)が具体的に書かれているか
- 廃棄物処理費用が含まれているか(別途請求なら金額の上限を確認)
- 買取がある場合、買取金額と作業費の計算方法が明示されているか
- 追加費用が発生する条件(作業追加・再訪問など)が書かれているか
- キャンセルポリシーが明記されているか
最安値だけで判断すると、回収処分費や搬出費が別積みで合計額が逆転することがあります。費用感の詳細は不用品回収の業者選び方・費用相場もあわせてご覧ください。
悪質業者を見抜く7つのチェックポイント
被害に遭いやすいパターンは、許可の未提示から契約書の不交付まで7つに整理できます。依頼前のチェックリストとして使い、1つでも当てはまったら契約を急がないでください。
- 一般廃棄物収集運搬業許可を提示できない……許可番号・証書を見せない業者は要注意です。不法投棄された場合、依頼した側に責任が及ぶことがあります
- 電話・チラシのみで訪問前に見積もりを出す……物量を見ずに出た金額は追加請求の伏線になりやすい形です
- 作業開始後に大幅な追加費用を請求する……見積額の数倍を請求する例が報告されています
- 貴重品・高額品を低価格で買い取ろうとする……その場で判断せず、複数の専門業者に査定を依頼してください
- 廃棄物の処理先を説明できない……不法投棄のリスクがあります。処理票の写しを求めましょう
- 契約書・作業内容の書面を渡さない……後のトラブル時に「言った・言わない」になりやすい相手です
- キャンセル時に高額の違約金を請求する……特定商取引法では、一部の訪問販売・電話勧誘販売にクーリングオフの権利が定められています。不当に高い違約金を求められたら消費者ホットライン188へ相談してください
買取を伴う業者の注意点は遺品の買取業者の選び方にもまとめています。違和感があれば契約を急がず一度立ち止まることが最大の自衛策です。
業者に頼む前に、本人にしか判断できないものを先に分けておく
片付けの後悔で最も多いのは、思い出の品まで業者に持っていかれてしまうことです。祖母の形見や子どもが書いた手紙の価値は、業者には判断できません。本人にしか判断できないものを先に分けておくと、業者への依頼内容も明確になり、見積もりの精度が上がります。生前整理アドバイザーが現場でサポートする際は、次の5ステップを2〜3か月の目安で進めることをお伝えしています。
ステップ1:4分類シートで「大事なもの」を先に見つける
生前整理普及協会が推奨する4分類は、いらないものを探すのではなく、いるもの・大事なものを先に選ぶ順番です。レジャーシートを4区画に分け、「いる」「いらない(今使っていない)」「迷い」「移動」で仕分けます。「いらない=今使っていない」と言い換えると高齢の親も受け入れやすく、8秒考えて決まらないものは「迷い」に入れて半年後の期限を書き、保留します。「いらない」に分類したものをすぐに業者へ渡すのではなく、思い入れのある品が混ざっていないか確認してから次のステップへ進んでください。
ステップ2:思い出箱を用意する
4分類の「移動」の中には、端から見ればガラクタでも本人にとってプライスレスな品——子どもからもらった手紙、家族が作った手作りの品、故人からの短い毛筆の手紙——が必ず出てきます。こうした品を収める箱が「思い出箱」です。みかん箱サイズ(約37×33×24cm)を目安に、抱えて持ち運べる大きさにとどめるのがコツで、ダンボールのままより布などで装飾すると、親も「ここに入れていいんだ」と気持ちよく使えます。思い出箱に収まらなかったものは、本人が納得したうえで整理を進めましょう。
ステップ3:写真・アルバムをベストショットアルバムに集約する
写真は扱いに困るものの筆頭で、押入れに平均20冊、多い家では30冊以上のアルバムが残っていることも珍しくありません。厳選した30枚以下にコメントを添えた「ベストショットアルバム」を1冊作れば、最後のページに最近のお気に入りの写真を1枚入れておくことで、いざというときに写真がなくて困る事態を防げます。デジタルデータではなくあえて紙にまとめることで、施設のスタッフや家族と一緒に眺められる形になります。
ステップ4:手放しにくい品はお焚き上げも選択肢のひとつ
人形・お守り・手紙・写真など、手放すには惜しいが持ち続けるほどでもない品々は、お焚き上げサービスを利用すると丁寧に締めくくれます。全国の寺社で対応しているほか、郵送受付のサービスも増えていますが、地域や寺社によって受け付けている品目が異なるため、依頼前に確認してください。
ステップ5:残ったものを業者へ依頼する
ステップ1〜4で自分にしかできない整理を済ませたあとに残った大型家具・大量の食器・古い家電・不要な衣類などを業者に依頼すると、大事なものを一緒に持っていかれる後悔を防ぎやすくなります。業者への依頼内容も明確になり、見積もりの精度も上がります。実際に生前整理アドバイザーが現場でサポートする際も、この2〜3か月の流れを目安にお伝えしています。整理の進め方全体は生前整理のやり方、買取業者の選び方は遺品の買取業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
一般廃棄物収集運搬業許可はどこで確認できますか
業者に許可番号を提示してもらい、実家がある市区町村の清掃局・環境センターに問い合わせると確認できます。許可は市区町村単位で発行されるため、隣の市の許可では対応できない点にご注意ください。
見積もりは何社くらい取ればいいですか
現地見積もりを3社前後で比べるのが一般的です。作業範囲・廃棄物処理費・買取の扱いを同じ条件に揃えて並べると、金額だけでなく作業内容の違いも含めた実質の総額で比較できます。
買取と作業費を相殺するプランは得ですか
買取額が明示されず作業費だけが差し引かれる形だと、査定が不当に低くても気づけません。買取金額と作業費を書面に分けて記載してもらい、価値がありそうな品は買取専門業者にも査定を依頼してください。
親が業者を家に入れたがりません
まず親自身が「いる・大事」と判断したものを思い出箱にまとめ、残りを業者に頼む順番にすると、抵抗が和らぐことがあります。当日は家族が立ち会える日程を選んでください。
業者を使わず、全部自分でやることはできますか
物量が少なく時間に余裕があれば可能です。決断力・判断力・分別力・残ったものの管理力・体力があるうちに動くほど後の整理は楽になるため、「今日が一番若い」という気持ちで、まず思い出の品の仕分けから始めることをおすすめします。3LDK以上で3か月以上かかりそうな場合や、退去期限が迫っている場合は、部分的にでも業者と組み合わせたほうが負担は軽くなります。
契約後にトラブルになったらどこに相談できますか
消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センターにつないでもらえます。契約書・見積書・業者の連絡先は手元に残しておいてください。法律に関わる判断は弁護士・司法書士にご相談ください。困ったときは一人で抱え込まず相談することが大切です。
まとめ
実家の片付け業者選びは、許可確認・書面確認・複数見積もりの3点を守るだけでトラブルの多くを入口で防げます。加えて、本人にしか判断できないものを先に分けておけば、費用も後悔も抑えられます。
- 業者に頼むか自分で進めるかは物量・時間・体力のバランスで判断し、組み合わせて使ってよい
- 業者は4種類。持っている許可でできることが違う
- 一般廃棄物収集運搬業許可の番号を確認し、依頼先の自治体で有効か確かめる
- 費用は1Kで3〜8万円、3LDK以上で20〜60万円が目安。現地見積もりを複数社で比較する
- 追加費用の条件・作業内容・キャンセルポリシーは書面で確認する
- 4分類・思い出箱・ベストショットアルバムで「本人にしか判断できないもの」を先に分けておく
生前整理は「もったいない物を手放す整理」ではなく、「これからより充実して生きるための、自分にとって大切なものを見つける整理」です。業者は、その後半の作業を助けるパートナーとして活用してください。業者探しと並行して全体の流れを把握しておくと判断がしやすくなります。手順の全体像は実家じまいで後悔しないためにをご覧ください。許可の確認や契約内容で迷ったときは、自治体の清掃センター・消費生活センター・生前整理アドバイザー・遺品整理士にご相談ください。相続や契約に関わる法律判断は弁護士・司法書士、税務については税理士にご相談されることをおすすめします。
監修:大久保亮佑(株式会社Kogera 代表取締役社長/生前整理アドバイザー2級。実家じまいに直面した自身の経験を基に、同じように悩むご家族の最初の一歩を支えるサービスを運営。)
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