生前整理・終活ガイド

後期高齢者医療制度と高額療養費の限度額

後期高齢者医療制度と高額療養費の限度額

親が75歳を過ぎ、入院と介護が重なると、医療費がどこまで膨らむのか見えなくなります。後期高齢者医療制度の窓口負担、高額療養費制度のひと月の上限額、医療と介護を1年で合算する高額介護合算療養費制度を、厚生労働省と後期高齢者医療広域連合の公表資料で整理しました。費用の天井が分かれば、家族で話し合えます。

後期高齢者医療制度は75歳以上が加入し、窓口負担は1割・2割・3割に分かれる

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人と、65歳から74歳までで一定の障害の状態にあると後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人が加入する公的医療保険です。75歳になると、勤めているかどうかにかかわらず、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から自動的に移ります。

  • 1割:2割・3割のどちらにも当てはまらない人
  • 2割:同じ世帯の被保険者に課税所得28万円以上の人がいて、かつ被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」が、1人世帯で200万円以上、2人以上の世帯で合計320万円以上の場合
  • 3割(現役並み所得者):同じ世帯の被保険者に課税所得145万円以上の人がいる場合

2割負担になった人の窓口負担の増加額を1か月3,000円までに抑える配慮措置は、2025年(令和7年)9月30日で終了しました(政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」、確認日:2026年9月18日)。制度を運営するのは都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合で、申請や相談の窓口は市区町村です。

高額療養費制度は、ひと月の自己負担が上限額を超えた分を払い戻す仕組み

高額療養費制度は、月の1日から末日までの1か月に医療機関の窓口で支払った自己負担額が自己負担限度額を超えたとき、超えた額が払い戻される仕組みです。75歳以上では「外来(個人ごと)」と「外来+入院(世帯ごと)」の2段階で限度額が決まります。

入院時の食事代や差額ベッド代など、公的医療保険の対象にならない費用は高額療養費の計算に入りません。親の入院費を見積もるときは、自己負担限度額のほかに食事代と個室代を別枠で見ておくと、実際の支払額に近づきます。

75歳以上の自己負担限度額は、2026年8月診療分から引き上げられた

厚生労働省は、令和8年(2026年)8月診療分から高額療養費の自己負担限度額を見直し、あわせて年単位の上限額を新しく設けました。1か月の上限額は、令和8年8月診療分から令和9年7月診療分まで次のとおりです。

所得区分

外来(個人ごと)

外来+入院(世帯ごと)

現役並み所得Ⅲ(課税所得690万円以上)

270,300円+(医療費-901,000円)×1%/多数回140,100円

現役並み所得Ⅱ(課税所得380万円以上)

179,100円+(医療費-597,000円)×1%/多数回93,000円

現役並み所得Ⅰ(課税所得145万円以上)

85,800円+(医療費-286,000円)×1%/多数回44,400円

一般Ⅰ・一般Ⅱ

22,000円(年間上限216,000円)

61,500円/多数回44,400円

区分Ⅱ(住民税非課税)

11,000円(年間上限96,000円)

25,700円/多数回24,600円

区分Ⅰ(住民税非課税で所得が一定以下)

8,000円

15,700円

令和8年7月診療分までの一般区分は、外来18,000円・世帯57,600円でした。厚生労働省の資料では、令和9年(2027年)8月から所得区分をさらに細かく分ける2段階目の見直しが予定されています(厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」東京都後期高齢者医療広域連合「高額療養費」、確認日:2026年9月18日)。

多数回該当と世帯合算は、負担が長引くときと家族で重なるときに効く

多数回該当は、診療した月を含む直近12か月の間に高額療養費の支給が3回あった場合、4回目以降の自己負担限度額が下がる仕組みです。東京都後期高齢者医療広域連合は、「外来(個人ごと)」の限度額による支給は多数回該当の回数に含まず、それまで加入していた医療保険で該当した回数も引き継がれないと案内しています。

世帯合算は、同じ月の外来と入院の自己負担、および同じ世帯にいる後期高齢者医療制度の被保険者の自己負担を足し合わせて、「外来+入院(世帯ごと)」の限度額を当てはめる計算です。足し合わせられるのは後期高齢者医療制度の被保険者どうしで、74歳以下の家族が別の医療保険で払った分とは合算しません。

令和8年8月からは「外来+入院(世帯ごと)」にも年単位の上限額が設けられ、8月から翌年7月までの1年間で上限に達した分は還付されます。一般Ⅰ・一般Ⅱの年間上限は530,000円(所得によって410,000円になる場合があります)、区分Ⅱは290,000円、区分Ⅰは180,000円です。

限度額を窓口で適用するには、マイナ保険証か資格確認書を提示する

東京都後期高齢者医療広域連合は、区分Ⅰ・区分Ⅱの人は「限度額適用・標準負担額減額認定」を、現役並み所得Ⅰ・Ⅱの人は「限度額適用認定」を、マイナ保険証または資格確認書を医療機関の窓口に提示することで受けられると案内しています。提示すると、1つの医療機関での窓口負担が自己負担限度額までにとどまります。

窓口でいったん多く支払った場合も、高額療養費は後から払い戻されます。東京都後期高齢者医療広域連合の場合、支給対象になる人には申請書が届き、申請は初回だけで、2回目以降は指定した口座へ自動的に振り込まれます。申請できる期間は、原則として診療月の翌月1日から2年間です。案内の届き方や提出先は広域連合ごとに異なります。

高額介護合算療養費制度は、医療と介護の1年分の自己負担を合算する

高額介護合算療養費制度は、同じ世帯で1年間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)に支払った後期高齢者医療制度の自己負担と介護保険の利用者負担を合算し、算定基準額を超えた額が払い戻される制度です。医療と介護のどちらかの自己負担が0円の世帯は対象になりません。

後期高齢者医療制度と介護保険を合わせた算定基準額(年額)は、現役並み所得Ⅲが212万円、現役並み所得Ⅱが141万円、現役並み所得Ⅰが67万円、一般Ⅰ・一般Ⅱが56万円、区分Ⅱが31万円、区分Ⅰが19万円です。超えた額が500円以下のときは支給されません。

支給対象になる世帯には毎年3月ごろに案内が届き、申請は7月31日時点で加入している市区町村の後期高齢者医療の窓口に提出します(東京都後期高齢者医療広域連合「高額介護合算療養費」神奈川県後期高齢者医療広域連合「高額介護合算療養費」、確認日:2026年9月18日)。介護そのものにかかるお金は介護費用の月額相場で整理しています。

費用の見通しが立ったら、親と家族で話し合う材料にする

医療費と介護費には制度上の上限があるため、「いくらまでなら払えるか」は家族で見積もれます。親の所得区分が分かれば、ひと月の上限額と1年の上限額を当てはめて、年金と預貯金で足りるかどうかを確かめられます。

実家の維持費や片付けの費用と並べて考えると、実家じまいを急ぐかどうかの判断もしやすくなります。親の負担割合、かかりつけ医、保険証や資格確認書の置き場所は、エンディングノートに書き残しておくと、入院や介護が急に始まったときに家族が動けます。介護保険の利用がこれからなら、介護保険申請の流れが出発点です。

個々の給付額を決めるのは、広域連合や市区町村といった保険者の計算です。制度は改正されるため、最新の限度額や負担区分は、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口、都道府県の後期高齢者医療広域連合、加入する保険者に確かめてください。介護との組み合わせで迷うときは、担当のケアマネジャーに相談すると整理が進みます。

まとめ

  • 後期高齢者医療制度は75歳以上が加入し、窓口負担は1割・2割・3割。2割の人への配慮措置は2025年9月30日で終了した
  • 高額療養費の自己負担限度額は2026年8月診療分から引き上げられ、一般区分はひと月あたり外来22,000円・世帯61,500円
  • 多数回該当で4回目以降の上限が下がり、世帯合算は後期高齢者医療制度の被保険者どうしで計算する。2026年8月から年単位の上限も加わった
  • 医療と介護が重なる世帯は高額介護合算療養費制度の対象になりうる。一般区分の算定基準額は年56万円

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

MUNICIPAL DATABASE

お住まいの市区町村の補助金情報を確認

全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。

※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。

\ 読む時間がない方へ /

この記事の要点と、実家じまいの手順をまとめた「完全ガイドブック(PDF)」を無料プレゼント中!

LINEで今すぐ受け取る(無料)

※完全無料 ※いつでもブロック可能

📚

生前整理 完全ガイドブック(無料PDF)

LINEを使っていない方へ。優先順位チェックシート・財産一覧テンプレート・エンディングノートの書き方をまとめたガイドを、メールでお届けします。

送信すると、ガイドPDFに加えて実家じまいのヒントを数回メールでお届けします。いつでも解除できます。入力したメールアドレスはガイド送付と登録管理に使用します。

記事一覧 →

この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。