生前整理・終活ガイド

親が亡くなったら最初にすること|今日・明日・今週・今月の優先順位ガイド

親が亡くなったら最初にすること|今日・明

親が亡くなった直後、悲しみと実務が同時に押し寄せてくる——そんな状況にいる方へ、この記事をお届けします。「何から手をつければいいか分からない」「期限を逃してしまいそうで怖い」という不安は当然のことです。まず覚えておいてほしいのは、今日やることは2つだけで大丈夫、ということ。この記事では「今日・明日・今週・今月」という体感時間軸で、優先順位を整理しています。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的判断の根拠となるものではありません。手続きの要否・期限・必要書類は状況や法改正により異なります。各市区町村窓口・年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

親が亡くなった直後にやることは「2つだけ」

「24時間以内にやらなければならない手続きが山ほどある」と思っていませんか。それは半分正解で、半分は誤解です。死後の手続きには確かに法定期限がありますが、今日のうちに完了させなければならないのは実質2つだけです。

1つ目:心を整える時間を持つ

生前整理の現場で多くのご家族と接してきた経験から言うと、「悲しむ間もなく手続きに追われた」という後悔が最も多いのです。死後の手続きを正確に進めるためにも、まず自分の状態を落ち着かせることが大切です。深呼吸して、信頼できる家族や友人に連絡するだけでも、その場は十分です。

2つ目:死亡診断書を受け取り、コピーを取る

これがその後のすべての手続きの起点となる書類です。死亡診断書は、死亡届と一体になったA3サイズの用紙(左半分が死亡届、右半分が死亡診断書)として発行されます。原本は死亡届として提出するため手元に戻りません。受け取ったら、すぐにコピーを5〜10枚取っておくことをおすすめします(出典:法務省「死亡届について」)。

銀行・保険会社・年金事務所など、あらゆる窓口でこのコピーの提出を求められます。コピーを手元に持っておくだけで、後の手続きが大幅に楽になります。それ以外のことは、今日でなくても大丈夫です。

亡くなった場所によって初動が変わる

死後の初動で最も迷いやすいのが「誰に最初に連絡するか」という点です。亡くなった場所によって、死亡診断書の発行元・遺体の搬送先・次の連絡先がすべて異なります。自分の状況を確認してから動くと、余計な混乱を防げます。

病院で亡くなった場合

入院中に病院で亡くなった場合、主治医が死亡診断書を作成して手渡してくれます。院内に遺体安置室(霊安室)があり、一時的に安置できます。その後、葬儀社を選んで連絡し、安置室から自宅または葬儀会館への搬送を手配します。葬儀社への連絡は、深夜・早朝でも24時間対応しているところがほとんどです。

次にすること:葬儀社に連絡し、搬送・安置の手配をする。

介護施設・老人ホームで亡くなった場合

施設に嘱託医または往診医がいる場合は、その医師が死亡診断書を作成します。施設のスタッフが初期の手続きをサポートしてくれることが多く、葬儀社の紹介を受けられる場合もあります。ただし施設指定の業者に限定されるわけではありません。複数社に連絡して比較することも可能です。

次にすること:施設スタッフに状況を確認し、葬儀社への連絡・搬送の手順を教えてもらう。

自宅で亡くなった場合(看取り)

在宅療養中で、かかりつけ医の定期的な診察を受けていた場合、かかりつけ医に連絡して死亡診断書を作成してもらいます。「最後に診察した日から24時間以内に亡くなった場合」や「定期的な経過観察があった場合」に対応してもらえることが多いです。警察への連絡は、まずかかりつけ医に相談してから判断します。

次にすること:かかりつけ医に連絡し、死亡診断書の作成を依頼する。不在・対応不可の場合は119番または医師に相談する。

突然死・事故・施設外での急変の場合

自宅で突然倒れた・事故・発見が遅れたなどの場合は、まず119番(救急)または110番(警察)に連絡します。この場合は死亡診断書ではなく、「死体検案書」が発行されます。警察の検視・医師の検案を経てから書類が交付されるため、時間がかかることがあります。手続きの開始は書類が手元に届いてからで大丈夫です。

次にすること:警察・救急の指示に従い、担当者の連絡先を控えておく。書類が手元に届いてから次のステップへ。

今日中(24時間)の手続き:葬儀社決定と搬送

死亡診断書を受け取り、家族への連絡を済ませたら、今日中に対応すべきことはほぼ「葬儀社への連絡」一点です。遺体は病院・施設が長期間保管することができないため、搬送先を決める必要があります。

葬儀社に連絡し、搬送・安置を手配する

葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬・火葬のみなど)は急いで決める必要はありませんが、搬送先だけは今日中に決めます。自宅への搬送、葬儀会館への直接安置、どちらも選べます。なお、法律(墓地、埋葬等に関する法律第3条)により火葬は死後24時間以上経過してからと定められています。そのため、翌日以降に葬儀の詳細を相談しても間に合います。

親族への連絡と緊急度の確認

葬儀日程が決まっていなくても、まず「亡くなったこと」と「追って連絡する」の2点だけ伝えれば十分です。日程・形式などの詳細は葬儀社と相談してから改めて連絡しても遅くありません。一度に全員に完璧な情報を伝えようとしなくて大丈夫です。

明日〜3日中:通夜・告別式・火葬許可申請

葬儀社と打ち合わせを進めながら、並行して「死亡届の提出」の準備をします。ここでは葬儀社が多くの手続きを代行してくれるため、担当者に積極的に確認しながら進めましょう。

死亡届の提出準備と葬儀社への代行依頼

死亡届は死亡を知った日から7日以内に提出する義務があります(戸籍法第86条)。提出先は「亡くなった場所の市区町村役場」「届出人の住所の市区町村役場」「故人の本籍地の市区町村役場」のいずれかで、365日24時間受け付けています(出典:法務省「死亡届について」)。

届出人になれるのは、同居親族・その他の親族・同居者・家主など(戸籍法第87条)です。葬儀社が代行提出してくれる場合が多いので、対応範囲を確認しておきましょう。

火葬許可証の取得

死亡届を提出するタイミングで、同時に「火葬許可証」の交付を申請します。火葬許可証がなければ火葬ができません。火葬後は「埋葬許可証」として返還され、これが納骨時に必要になります。大切に保管しておきましょう。

今週中(7日以内):死亡届の確定と葬儀後の初動

通夜・告別式・火葬が終わると、いったん慌ただしさが落ち着きます。このタイミングで「14日以内の手続き」に向けた準備を始めると、後が楽になります。

役所への届出に必要な書類を揃える

次のフェーズ(14日以内)で役所を訪問するために、以下を手元に揃えておきます。死亡診断書のコピー・健康保険証・介護保険証(持っていた場合)・年金手帳または基礎年金番号が分かるもの・届出人の本人確認書類。1回の窓口訪問でまとめて届け出ると、交通費・時間の節約になります。

保険証券・通帳の場所を確認する

後の手続きで必ず必要になる書類の場所を、この時期に家族で確認しておきましょう。生命保険・医療保険の保険証券、通帳・印鑑の保管場所、不動産の権利証などが対象です。見つからない場合の探し方については、「親の通帳が見つからないときの探し方」も参考にしてください。

今月中(14日〜30日):役所・保険・銀行の手続き

葬儀が落ち着いたら、法定期限のある役所手続きと、放置すると損失につながる金融手続きをまとめて進めます。専門家に頼っていい場面が増えてくるのもこの時期です。

年金受給停止の届出(厚生年金10日以内・国民年金14日以内)

年金を受け取っていた方が亡くなった場合、受給停止の届出が必要です。厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が期限です(出典:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。提出先は年金事務所または年金相談センターです。故人のマイナンバーが年金機構に収録されている場合は、手続きが省略されるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。停止が遅れると過払い分の返還義務が生じます。

健康保険・介護保険の資格喪失届(14日以内)

国民健康保険の場合は市区町村役場へ、会社員などの健康保険(協会けんぽ・組合健保)の場合は事業主が5日以内に届け出ます。介護保険被保険者証も14日以内を目安に市区町村役場へ返却します。これらは同じ役所窓口でまとめて対応できることが多いです。

世帯主変更届(14日以内)

亡くなった方が世帯主だった場合のみ必要です。住民票のある市区町村役場に届け出ます。同居する家族が1人の場合など、新世帯主が自動的に明らかな場合は届出不要な自治体もあります。

生命保険・医療保険の保険金請求

一般的に保険金の請求期限は契約から2〜3年以内ですが、早めに手続きを進める方が安心です。保険証券が手元にない場合は、郵便物や通帳の引き落とし履歴から保険会社を特定します。手続きに必要な書類(死亡診断書のコピー・戸籍謄本・受取人の本人確認書類など)は保険会社に確認してください。

銀行口座の相続手続き

金融機関が死亡を把握した時点で口座は凍結されます。生活費の引き落としが止まる前に、各金融機関の窓口で「相続手続き」を申し出ることが大切です。手続きの流れは「①金融機関に死亡の連絡→②所定の相続届・戸籍謄本・印鑑証明等を提出→③審査(目安10〜14日)→払い戻しまたは名義変更」が一般的ですが、遺言書の有無によって必要書類が変わります。詳細は各金融機関の窓口、または司法書士・弁護士にご相談ください。

公共料金・各種契約の解約・名義変更

電気・ガス・水道・固定電話・インターネット・NHK・携帯電話など、故人名義の契約は速やかに解約または名義変更の手続きをします。クレジットカードも解約が必要です。サブスクリプションサービス(動画配信・音楽など)が引き落としになっている場合は、カードを解約する前にサービス側を先に解約しておくとトラブルを防げます。

3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月の法定期限手続き

葬儀後の慌ただしさが落ち着いた頃に、法律で期限が定められた重要な手続きが控えています。ここからは専門家(弁護士・司法書士・税理士)への相談が本格的に必要になる場面です。

相続放棄・限定承認(3ヶ月以内)

故人に借金があった場合などに検討する手続きです。「相続を知った日」から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てないと、原則として単純承認(プラスもマイナスもすべてを相続)したとみなされます(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。相続放棄を検討する場合は、期限に余裕をもって弁護士または司法書士にご相談ください。相続放棄の要否は個別の状況によって大きく異なるため、本記事では判断の根拠を提供しておらず、専門家へのご相談を強くおすすめします。また、相続放棄を検討している方は「相続放棄の3ヶ月期限を徹底解説」も合わせてご参照ください。

準確定申告(4ヶ月以内)

故人が生前に確定申告をしていた方(自営業・不動産収入がある方など)の場合、相続人が代わりに申告を行う「準確定申告」が必要です。期限は相続の開始を知った翌日から4ヶ月以内です(出典:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」)。申告の要否や手続き方法は、税理士または管轄の税務署にご確認ください。

相続税の申告・納税(10ヶ月以内)

相続税の申告・納税期限は、相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内です(出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」)。相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)があり、遺産総額が基礎控除以下であれば申告不要となる場合もあります。ただし申告が必要かどうか・税額の計算は状況によって異なるため、税理士または税務署への相談をおすすめします。本記事では個別の税額計算は行っておりません。

相続登記(不動産がある場合・3年以内)

2024年4月から、不動産の相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をする必要があり、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象となります(出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。手続きは不動産所在地を管轄する法務局、または司法書士にご依頼ください。

専門家を頼っていいタイミング早見表

「専門家に相談を」と言われても、「いつ・誰に頼ればいいか」が分からないと動けません。一般的な目安として、以下の早見表を参考にしてください。初回相談が無料の事務所も多くあります。

タイミング・状況

相談先

今日〜葬儀直後:搬送・手続き代行の確認

葬儀社(死亡届の代行範囲も確認)

14日以内:役所手続きで迷ったとき

市区町村の窓口(「おくやみ窓口」設置自治体も増加中)

相続放棄を検討している(3ヶ月以内)

弁護士・司法書士(期限が短いため早めに)

銀行口座の凍結解除・必要書類が多い

司法書士

準確定申告・相続税の申告要否を確認したい

税理士(初回相談無料の事務所が多い)

不動産の相続登記

司法書士・法務局

相続トラブル・遺産分割でもめている

弁護士(法テラスでの無料相談も利用可)

実家の売却・解体・活用を検討

不動産会社・建築士

死後の手続きでは、「自分でできること」と「専門家に任せた方がいいこと」を早めに切り分けることが、時間・費用・精神的な負担の節約につながります。一人で全部抱え込まないことが、手続きを滞りなく進める最大のコツです。

生前から準備しておけば、手続きの負担が大きく変わる

死後の手続きで最も「困った」という声が多いのは、書類の中身ではなく「どこにあるか分からない」という問題です。これは生前に少しだけ準備しておくことで、大幅に軽減できます。生前整理の考え方では、「情報の整理は、心の整理が整ってから自然に進む」とされています。焦らず、元気なうちから少しずつ取り組むことが、残されたご家族への一番の贈り物になります。

1. エンディングノートに金融・連絡先一覧を書く

銀行口座の金融機関名・支店名・口座番号の上4桁、生命保険の保険会社名・証券番号、緊急連絡先一覧をエンディングノートにまとめておくだけで、遺族の負担が激減します。法務省・日本司法書士会連合会が公式エンディングノートを無料公開しています(法務省公式エンディングノート(PDF))。書き方のポイントや活用法については、「生前整理のはじめかた」もご参考ください。

2. 通帳・印鑑・権利証の保管場所を共有する

「あると分かっているのに見つからない」が手続き遅延の最大の原因です。保管場所を家族の一人に伝えておくだけで、亡くなった後の探索時間が大幅に短縮されます。一人だけに伝えると伝達漏れが起きやすいので、家族2〜3人で共有しておくと安心です。

3. デジタル資産・サブスクの一覧を残す

ネット銀行・証券口座・サブスクリプションサービス・SNSアカウントなどのデジタル資産は、存在自体が分からなければ手続きができません。サービス名と連絡先(電話番号またはサポートページURL)を一覧にしておくと、遺族が手続きをスムーズに進められます。パスワードそのものは記録せず、「このサービスが存在する」という情報だけ残す方法が安全です。

4. 葬儀の希望・生前予約を検討する

葬儀の形式(家族葬・直葬など)や希望を生前に伝えておくことで、遺族は「親の意思通りに」という安心感を持って判断できます。生前予約や互助会への加入で費用を事前に準備しておく選択肢もあります。詳細は葬儀社にご確認ください。

5. 介護施設・契約書のありかを共有する

施設入居中の方が亡くなった後には、施設との精算手続きが発生します。施設の契約書・重要事項説明書の保管場所を家族が把握していると、退去清算がスムーズに進みます。

「生前整理は死の準備ではなく、これからより充実して生きるための整理です」——これは生前整理普及協会が伝える中核の考え方です。今日からできる小さな準備が、万一のときに家族を守る力になります。

まとめ:「今日・今週・今月・3ヶ月」の流れで動く

親が亡くなった後の手続きを、体感時間軸でまとめると次のようになります。

  • 今日:死亡診断書を受け取りコピーを取る。葬儀社への連絡・搬送手配。
  • 明日〜3日中:死亡届の提出(7日以内)・火葬許可証の取得・通夜・告別式・火葬。
  • 今週中:書類を揃える。保険証券・通帳の確認。役所訪問の準備。
  • 今月中(14日〜30日):年金・健康保険・介護保険の届出。保険金請求。銀行・公共料金の手続き。
  • 3ヶ月以内:相続放棄の検討(弁護士・司法書士へ)。
  • 4ヶ月以内:準確定申告(税理士・税務署へ)。
  • 10ヶ月以内:相続税の申告・納税(税理士へ)。
  • 3年以内:相続登記(不動産がある場合・司法書士・法務局へ)。

一人で全部を完璧にやろうとしなくて大丈夫です。期限のあるものを優先し、迷ったら早めに窓口や専門家を頼ってください。「手続きを終わらせること」より「大切な人を悼む時間を持つこと」を、どうか大切にしてください。

法律的な期限ごとの詳しいチェックリストは、「死後の手続きチェックリスト(期限別フェーズ管理版)」もあわせてご参照ください。実家の整理・売却・活用については、別途ご相談ください。

なお、本記事でご紹介した手続きの要否・期限・必要書類は、状況や法改正によって異なります。個別の判断については、各市区町村窓口・年金事務所・税務署・法務局、および弁護士・司法書士・税理士などの専門家に必ずご相談ください。

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この記事の監修者

大久保 亮佑

生前整理アドバイザー2級/株式会社Kogera 代表取締役社長

株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」運営。実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。監修者プロフィール →

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