相続・死後の手続き

相続放棄の必要書類と期限|申述書・手続き・費用

相続放棄の必要書類と期限|申述書・手続き

親が亡くなり、借金や手放したい実家があって相続放棄を考えている方へ。この記事では、家庭裁判所が公表している相続放棄の必要書類・期限・費用を最初に一覧表でまとめ、申述書の入手先、相続放棄が認められない場合、実家だけ放棄できるのか、放棄した後の空き家の扱いまでを順に解説します。

相続放棄の必要書類一覧表(裁判所の公表どおり)

相続放棄の必要書類は、相続放棄の申述書・被相続人(亡くなった方)の住民票除票または戸籍附票・申述人(放棄する方)の戸籍謄本が全員に共通で、そこに申述人の立場(配偶者・子・父母や祖父母・兄弟姉妹)ごとの戸籍謄本が加わります。下の表は、裁判所ウェブサイト「相続の放棄の申述」の案内(2026年9月26日確認)をそのまま整理したものです。

申述人の立場

相続放棄に必要な書類

全員に共通

1. 相続放棄の申述書(裁判所の書式)
2. 被相続人の住民票除票または戸籍附票
3. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本

配偶者

被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

子、または孫・ひ孫などの代襲者(第一順位)

被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。申述人が孫・ひ孫など代襲相続人の場合は、本来の相続人(被代襲者)の死亡の記載のある戸籍謄本も必要

父母・祖父母など直系尊属(第二順位)

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。被相続人の子(およびその代襲者)で亡くなっている方がいる場合は、その方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本。相続人より下の代の直系尊属で亡くなっている方がいる場合は、その方の死亡の記載のある戸籍謄本

兄弟姉妹、またはおい・めい(第三順位)

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。被相続人の子(およびその代襲者)で亡くなっている方がいる場合は、その方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本。被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本。申述人がおい・めいの場合は、本来の相続人(被代襲者)の死亡の記載のある戸籍謄本も必要

裁判所の案内には、書類についての注記が5つ付いています。同じ書類は1通で足ります。第二順位・第三順位の方は、先順位の相続人などがすでに提出している書類は添付不要です。申述前に取り寄せられない戸籍は、申述後に追加で提出してもかまいません。戸籍謄本は「全部事項証明書」という名称で呼ばれることがあります。戸籍の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を提出できる場合があるため、申述先の家庭裁判所に確認してください。審理のために追加の書類を求められることもあります(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。

【ご注意】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断の根拠となるものではありません。相続放棄をするかどうかの判断、書類の具体的な作成は、家庭裁判所・弁護士・司法書士にご確認ください。

相続放棄申述書の書式は裁判所のページからダウンロードできる

相続放棄申述書の書式は、裁判所ウェブサイトの書式ページから PDF と Word の両方で無料でダウンロードでき、記載例(PDF)も同じページに用意されています。申述人が成人の場合と未成年の場合で書式が分かれているので、該当するページを使ってください。家庭裁判所の窓口でも書式を受け取れます。

裁判所の書式ページには、申述を受け付けた家庭裁判所が「判断するためにさらに書面で照会したり、直接事情をおたずねする場合がある」と明記されています。記入で迷う点は、申述先の家庭裁判所の窓口か、司法書士・弁護士に確認してください。ふれあいの丘では申述書の記入方法の個別の指導や作成の代行は行っていません。

戸籍謄本は本籍地以外の市区町村でも請求できる(広域交付)

相続放棄に添付する戸籍謄本は、2024年3月1日に施行された改正戸籍法の「広域交付」により、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました。広域交付で請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母(直系尊属)・子や孫(直系卑属)の戸籍に限られ、兄弟姉妹の戸籍は対象外です。窓口に本人が出向く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍も対象外です(出典:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」)。第三順位の兄弟姉妹として申述する場合は、被相続人(兄弟姉妹)の戸籍が広域交付の対象にならないため、本籍地の市区町村へ郵送で請求することになります。

相続放棄の期限と費用の一覧表

相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内で、費用は収入印紙800円(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手です。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。裁判所と民法(e-Gov法令検索)の公表内容を一覧にします。

項目

内容

根拠

期限(熟慮期間)

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内

民法915条1項

期限の伸長

3か月以内に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を家庭裁判所に申し立てると、期間を伸ばしてもらえることがある。費用は収入印紙800円(相続人1人につき)と郵便切手

民法915条1項ただし書・裁判所の案内

申述先

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所(管轄は裁判所の「申立書提出先一覧」で調べられる)

裁判所の案内

収入印紙

800円分(申述人1人につき)

裁判所の案内

郵便切手

連絡用の郵便切手。金額は申述先の家庭裁判所ごとに異なる。保管金としてインターネットバンキングやATMから電子納付もできる

裁判所の案内

申述書の書式

無料(裁判所ウェブサイトのダウンロード、または家庭裁判所の窓口)

裁判所の書式ページ

戸籍謄本などの取得費用

市区町村の手数料。通数は申述人の立場によって変わる

各市区町村

司法書士・弁護士に依頼する場合

報酬は事務所ごとに異なる。依頼前に見積もりを取る

各事務所

出典:裁判所「相続の放棄の申述」、裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」、e-Gov法令検索「民法」(いずれも2026年9月26日確認)。

3か月の起算点は「亡くなった日」ではなく「相続の開始を知った日」

相続放棄の3か月は、民法915条1項のとおり「自己のために相続の開始があったことを知った時」から数えます。多くのケースでは亡くなった日と一致しますが、疎遠で訃報を後から知った場合や、先順位の相続人全員が放棄して自分が相続人になった場合は、自分が相続人になったことを知った日が起算点になります。裁判所のQ&Aでは、「相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3か月以内」と説明されています(出典:裁判所「家事事件Q&A」)。

相続放棄の手続きの流れ——申述から受理まで5ステップ

相続放棄の手続きは、財産と負債を調べる、申述書を準備する、必要書類をそろえる、家庭裁判所に提出する、家庭裁判所からの照会に回答して受理される、という5つのステップで進みます。相続放棄は家庭裁判所に申述して初めて効力が生じ(民法938条)、債権者への「放棄します」という通知だけでは相続放棄になりません。

  1. 財産・負債の状況を調べる

    通帳の出入金の確認、自宅に届く郵便物のチェック、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)への照会で、亡くなった方の借入状況の把握を試みます。民法915条2項は、相続人が承認または放棄をする前に相続財産の調査をできると定めています。

  2. 申述書を準備する

    相続放棄申述書の書式は裁判所ウェブサイトからダウンロードするか、家庭裁判所の窓口で受け取ります。収入印紙800円分(申述人1人につき)を用意します。

  3. 必要書類を収集する

    必要書類一覧表のとおり、申述人の立場に応じた戸籍謄本と、被相続人の住民票除票または戸籍附票を集めます。申述前に取り寄せられない戸籍は申述後の追加提出でもかまいません。

  4. 家庭裁判所に提出する

    提出先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。窓口持参と郵送のどちらで受け付けているかは、申述先の家庭裁判所の案内で確認してください。管轄の家庭裁判所は裁判所ウェブサイトの「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で調べられます(出典:裁判所「申立書提出先一覧」)。

  5. 照会への回答 → 受理

    家庭裁判所は、判断のためにさらに書面で照会したり、直接事情を尋ねたりすることがあります。照会には必ず回答してください。受理後は「相続放棄申述受理証明書」を家庭裁判所に申請して取得でき、債権者に相続放棄を伝えるときに使えます(出典:裁判所「家事事件Q&A」)。受理までの期間は家庭裁判所や事案によって異なります。

書類に不備があると差し戻されて期限が迫ることがあります。書類の作成や手続きに不安がある場合は、司法書士・弁護士に手続きの代行または確認を依頼することも選択肢のひとつです。

相続放棄が認められない場合——法定単純承認と3か月経過後の扱い

相続放棄が認められない代表的な場合は、民法921条の「法定単純承認」にあたる行為をしたとき、3か月の熟慮期間を過ぎたとき、申述書や添付書類の不備・家庭裁判所からの照会への未回答を放置したときの3つです。どの場合にあたるかは個別の事情によって判断が分かれるため、心当たりがある方は申述の前に弁護士・司法書士へ相談してください。

法定単純承認(民法921条)——遺産に手をつけると放棄できなくなる

民法921条は、次の3つの場合に相続人が「単純承認をしたものとみなす」と定めています。単純承認とみなされると、亡くなった方の権利義務を無限に承継する(民法920条)ため、相続放棄はできなくなります。

  1. 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(ただし、保存行為と民法602条に定める期間を超えない賃貸は除く)
  2. 相続人が3か月の熟慮期間内に限定承認または相続放棄をしなかったとき
  3. 相続人が、限定承認または相続放棄をした後であっても、相続財産の全部または一部を隠匿し、私に消費し、または悪意で相続財産の目録に記載しなかったとき

1つ目の「処分」にどの行為が含まれるかは、条文だけでは決まらず、個別の事情で判断されます。遺品の持ち帰り、預貯金の引き出し、不動産の名義変更、形見分けなどを迷う場合は、手をつける前に弁護士・司法書士へ相談してください。3つ目のとおり、相続放棄が受理された後に遺産を隠したり使ったりした場合も、単純承認とみなされることがあります(出典:e-Gov法令検索「民法」第920条・第921条)。

3か月を過ぎた場合——裁判所のQ&Aが示す扱いと期限内の伸長申立て

3か月の熟慮期間を過ぎると、原則として相続放棄はできません。ただし裁判所のQ&Aは、「相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるとき」などは、相続財産の全部または一部の存在を認識したときから3か月以内に申述すれば、相続放棄の申述が受理されることもあると説明しています(出典:裁判所「家事事件Q&A」)。受理されるかどうかは家庭裁判所の個別の判断なので、亡くなってから3か月以上たって借金の督促が届いた場合は、届いた日を記録したうえで、速やかに弁護士・司法書士に相談してください。

3か月以内に財産・負債の状況が把握しきれない場合は、3か月が経過する前に、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます(民法915条1項ただし書)。申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で、費用は収入印紙800円(相続人1人につき)と連絡用の郵便切手です。伸長が認められるかどうか、どのくらい伸びるかは家庭裁判所の判断によります(出典:裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。

受理された相続放棄は撤回できない

相続の承認と放棄は、3か月の熟慮期間内であっても撤回できません(民法919条1項)。「放棄した後にプラスの財産が見つかった」という場合でも原則として元に戻せないため、財産と負債を調べたうえで判断することが大切です。詐欺や強迫などを理由とする取消しは民法総則の規定によりますが、要件は個別の判断になるので弁護士に相談してください。

実家だけ相続放棄できるのか——放棄は「一切受け継がない」手続き

相続放棄は、被相続人の権利や義務を一切受け継がない手続きなので、実家(不動産)だけを放棄して預貯金は受け取る、という選び方はできません(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。相続放棄をした人は、その相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。「借金はないが、遠方の実家を引き取りたくない」という理由だけで相続放棄を選ぶと、預貯金や他の財産も受け取れなくなります。

実家を手放したいことが理由なら、いったん相続したうえで売却・買取・解体などの方法を比べるのが一般的な流れです。当サイトの実家を相続したら——売却・賃貸・解体・所有の4つの選択肢で判断の軸を、空き家が売れない5つの理由と対処法で仲介で買い手がつかない場合の買取という選択肢を、実家・空き家の不動産査定の受け方で金額の確かめ方を解説しています。

相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」も2023年4月27日から始まっていますが、建物がある土地、担保権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などは申請が却下され、承認された場合も10年分の管理費用に相当する負担金と審査手数料(土地1筆あたり14,000円)が必要です(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、2026年9月26日確認)。建物が残っている実家は、そのままでは対象になりません。

相続放棄したら実家(空き家)の管理はどうなるか——民法940条の保存義務

相続放棄をした人は、放棄の時にその実家を「現に占有している」場合に限り、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自分の財産と同じ注意でその財産を保存する義務を負います(民法940条1項)。2023年4月1日に施行された民法改正で条文が改められ、改正前の「放棄によって相続人となった者が管理を始めることができるまで管理を継続しなければならない」という定めから、義務を負う人が「現に占有している」人に限られ、義務の内容が「保存」と明記されました(出典:e-Gov法令検索「民法」第940条。改正法は令和3年法律第24号、2023年4月1日施行)。

実家に住んでいる、または鍵を管理して出入りしているなど、放棄の時点で実家を占有している場合は、次の相続人や清算人に引き渡すまで、建物を壊したり傷めたりしないよう保存する義務が続きます。遠方に住んでいて実家に一度も関わっていない場合は、条文上は「現に占有している」にあたらないと考えられますが、占有にあたるかどうかは個別の事情で判断されるため、弁護士・司法書士に確認してください。

相続人全員が相続放棄をして相続する人がいなくなった場合、実家は「相続人のあることが明らかでない」相続財産になります。利害関係人(債権者など)または検察官の申立てで家庭裁判所が相続財産清算人を選任し(民法952条)、清算人が債務の支払いなどを行ったうえで、残った財産は国庫に帰属します。相続財産清算人の選任申立てには、収入印紙800円と郵便切手のほか官報公告料5,582円がかかり、相続財産から清算の費用が賄えない見込みのときは申立人が予納金を納めることがあります(出典:裁判所「相続財産清算人の選任」、2026年9月26日確認)。放棄した人が占有している実家を引き渡す相手も、この清算人です。

放棄するまでの間や、占有している実家を引き渡すまでの間に建物をどう保つかは、空き家の管理方法——放置リスク・管理委託サービス・費用相場を参考にしてください。

限定承認との比較——どちらを選ぶか迷ったときに

限定承認は、被相続人の債務がどの程度あるか不明で財産が残る可能性もある場合などに、相続によって得た財産の限度で債務を受け継ぐ方法で、相続放棄と違って共同相続人の全員が共同してのみ行えます(民法923条)。裁判所の案内と民法の条文に基づいて、相続放棄と限定承認の違いを整理します。

比較項目

相続放棄

限定承認

手続きの主体

相続人が1人でも申述できる

共同相続人の全員が共同して申述する(民法923条)

財産の引き継ぎ

権利も義務も一切受け継がない

相続によって得た財産の限度で債務を受け継ぐ

期限

相続の開始を知った時から3か月以内

相続の開始を知った時から3か月以内

裁判所の案内が挙げる場面

被相続人の権利や義務を一切受け継がない

債務がどの程度あるか不明で、財産が残る可能性もある場合など

限定承認は財産目録の作成や清算の手続きが加わるため、実際に選ぶ場合は弁護士・司法書士・税理士に相談し、手間と費用を確かめてから判断してください(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。

兄弟と意見が割れたとき——1人でも放棄できるが、次順位への影響に注意

相続放棄は相続人ごとに家庭裁判所へ申述する手続きなので、他の相続人の同意がなくても1人で申述できます。「全員の同意が必要」なのは限定承認(民法923条)の場合です。ただし1人が放棄すると、相続権が次の順位の親族へ移るため、家族への事前の共有が大切です。

  • 子全員が放棄した場合:相続権は直系尊属(存命の父母・祖父母)に移ります。
  • 直系尊属全員が放棄または不存在の場合:相続権は兄弟姉妹に移ります。
  • 兄弟姉妹が放棄した場合:おい・めい(代襲相続)に移ることがあります。

自分が放棄することで負債が次順位の親族に移るため、黙って放棄すると「借金を押し付けられた」という感情的なトラブルになることがあります。法律上の報告義務はありませんが、家族の関係を守るためにも、放棄する前に状況を共有しておくことをおすすめします。話し合いが難しい場合は、弁護士や司法書士が間に入ることで、感情的な対立を避けながら整理できることがあります。

生前に親の借金・連帯保証を把握しておく方法

生前に親の借金・連帯保証の有無を把握しておくと、相続放棄の3か月の期限内に家族が財産と負債を比べて冷静に判断できるようになり、督促状が届いてから慌てる事態を避けられます。相続放棄が「亡くなった後の緊急対応」だとすれば、生前整理は「予防策」です。

信用情報機関への照会で借入状況を確認する

親本人が元気なうちであれば、信用情報機関に本人として開示を請求し、現在の借入状況を確認できます。主な機関は、クレジットカード・割賦販売の情報を扱う CIC、消費者金融・クレジットの情報を扱う JICC(日本信用情報機構)、銀行ローンの情報を扱う全国銀行個人信用情報センターの3つです。本人が申請すれば郵送やオンラインで開示を受けられます。亡くなった後は法定相続人として照会できる場合もありますが、手続きが増えるため、元気なうちに確認しておく方が確実です。

通帳の出入金から連帯保証の手がかりをつかむ

連帯保証人になっている場合、主債務者が返済を続けている間は保証人の通帳に記録が残らないため見落としがちです。見慣れない金融機関からの定期的な引き落とし、住宅ローン以外の継続的な返済記録、親戚名義や会社名義の送金履歴があれば、確認のきっかけになります。親と一緒に通帳を定期的に確認する習慣が早期発見につながります。

エンディングノートに「財産・負債の記録」を書き残してもらう

生前整理では、財産だけでなく借入の有無・借入先、連帯保証人になっている契約の有無、不動産に設定されている抵当権、リースなど定期的な支払いのある契約も、エンディングノートに記録してもらうと家族の助けになります。記入は親本人の意志によるものなので、「書いてもらえると家族が安心できる」という気持ちを丁寧に伝えてください。エンディングノートの考え方はエンディングノートとは(基本ガイド)、親の財産の確認方法は親の財産を把握する方法で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続放棄の必要書類は誰でも同じですか?

相続放棄の申述書・被相続人の住民票除票または戸籍附票・申述人の戸籍謄本は全員に共通で、そこに申述人の立場(配偶者・子・父母や祖父母・兄弟姉妹)ごとの戸籍謄本が加わります。兄弟姉妹として申述する場合が最も多くの戸籍を必要とします。本記事冒頭の一覧表と裁判所「相続の放棄の申述」を確認してください。

Q2. 相続放棄申述書はどこでダウンロードできますか?

裁判所ウェブサイトの「相続の放棄の申述書(成人)」「相続の放棄の申述書(未成年)」のページから、PDF と Word の書式と記載例を無料でダウンロードできます。家庭裁判所の窓口でも受け取れます。

Q3. 相続放棄はいつから3か月を数えますか?

「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算します(民法915条1項)。多くの場合は亡くなった日と一致しますが、疎遠だった場合や先順位の相続人が放棄して自分が相続人になった場合は、自分が相続人になったことを知った日が起算点です。

Q4. 親が借金を隠していて後から発覚した場合、3か月を過ぎていても相続放棄できますか?

裁判所のQ&Aは、相続財産が全くないと信じ、そう信じたことに相当な理由があるときなどは、財産の存在を認識したときから3か月以内に申述すれば受理されることもあると説明しています。受理されるかどうかは家庭裁判所の個別の判断なので、督促が届いた日を記録して、速やかに弁護士・司法書士に相談してください。

Q5. 実家だけ相続放棄して、預貯金は受け取ることはできますか?

できません。相続放棄は被相続人の権利や義務を一切受け継がない手続きなので、財産を選んで放棄することはできません。実家を手放したいことが理由なら、相続したうえで売却・買取・解体を比べる方法があります。

Q6. 相続放棄したら、実家の空き家の管理責任はなくなりますか?

放棄の時に実家を現に占有している場合は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで保存義務が続きます(民法940条1項)。占有していない場合は条文上の保存義務は負いませんが、占有にあたるかどうかは個別の判断になるため、弁護士・司法書士に確認してください。

まとめ——冷静に、一歩ずつ

相続放棄は、裁判所が公表している必要書類をそろえ、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続きで、遺産に手をつける前に判断することが要点です。本記事のポイントを整理します。

  • 必要書類は、申述書・被相続人の住民票除票または戸籍附票・申述人の戸籍謄本が共通で、立場ごとの戸籍謄本が加わります。裁判所の案内どおりの一覧表を本記事の冒頭に置きました。
  • 期限は「相続の開始を知った時」から3か月以内、費用は収入印紙800円と郵便切手です。間に合わないときは3か月以内に伸長を申し立てます。
  • 遺産に手をつけると法定単純承認(民法921条)にあたり、放棄できなくなることがあります。迷う行為は手をつける前に専門家へ。
  • 実家だけを放棄することはできません。実家を手放したいなら、相続したうえで売却・買取・解体を比べます。
  • 放棄した後も、実家を現に占有していれば引き渡すまで保存義務が続きます(民法940条)。
  • 根本の備えは、生前に親の財産・負債を把握しておくことです。

一人で抱え込まず、まずは現状を確認することから始めてください。亡くなった後の手続き全体は親が亡くなったらやること・チェックリスト、生前の財産整理の全体像は生前整理ガイド(総合ハブ)をご覧ください。

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この記事について

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編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。