親が亡くなったらやること|期限・書類・順番の一覧

親が亡くなった後の手続きは期限で5つのフェーズに分かれ、最初は死亡届の死亡を知った日から7日以内です(戸籍法第86条・法務省、2026年9月確認)。相続登記も2024年4月から、不動産の取得を知った日から3年以内の申請が義務です(法務省)。「何から手をつければいいか、頭が真っ白になった」——多くのご家族がそう話してくださいます。
期限を一覧にした1枚を先に手元に置きたい方は、死後の手続き 期限一覧チェックリスト(無料PDF)を印刷して使えます。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的判断の根拠となるものではありません。手続きの要否・期限・必要書類は状況や法改正により異なります。個別の判断は、各市区町村窓口・日本年金機構・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。
親が亡くなったらやることの一覧(期限別)
親が亡くなったらやることは、期限の短い順に、死亡届(7日以内)→ 役所の手続き(14日以内)→ 年金・銀行・保険(速やかに)→ 相続放棄(3ヶ月)→ 準確定申告(4ヶ月)→ 相続税(10ヶ月)→ 相続登記(3年)と進みます。
期限を法令や公的機関の案内で確認できる主な手続きと窓口は、次の表のとおりです。
期限 | 手続き | 窓口 | 出典 |
|---|---|---|---|
死亡の事実を知った日から7日以内 | 死亡届の提出(同時に火葬許可を申請) | 死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場 | |
10日以内(国民年金は14日以内) | 年金受給権者死亡届の提出(マイナンバーが年金機構に収録されている場合は原則不要) | 年金事務所または年金相談センター | |
変更があった日から14日以内 | 世帯主変更届(亡くなった方が世帯主だった場合) | 住民票のある市区町村役場 | 住民基本台帳法第25条(e-Gov法令検索「住民基本台帳法」) |
資格を喪失したときから14日以内 | 介護保険の資格喪失の届出・被保険者証の返却 | 住民票のある市区町村役場 | 介護保険法施行規則第32条(e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」) |
相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内 | 相続放棄の申述 | 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 | |
相続開始を知った翌日から4ヶ月以内 | 準確定申告(亡くなった方が確定申告をしていた場合) | 税務署 | |
相続開始を知った翌日から10ヶ月以内 | 相続税の申告・納税(相続財産が基礎控除額を超える場合) | 税務署 | |
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内 | 相続登記の申請(不動産がある場合。2024年4月から義務) | 不動産所在地を管轄する法務局 | |
時効5年(受給権者の年金の支払日の翌月の初日から) | 未支給年金の請求 | 年金事務所または年金相談センター |
国民健康保険・健康保険の資格喪失の届出はフェーズ2、遺族年金の受給資格確認はフェーズ4、限定承認はフェーズ5の節で、窓口と必要書類を説明しています。
まず「死後の手続き」全体像を把握する
親が亡くなった後の手続きは、一見バラバラに見えますが、期限で整理すると5つのフェーズに分かれます。「今自分がどのフェーズにいるか」を確認するところから始めましょう。
- フェーズ1:直後〜数日以内 — 死亡診断書の受け取り・死亡届の提出(7日以内)・火葬・葬儀
- フェーズ2:14日以内 — 世帯主変更・健康保険資格喪失・介護保険証返却・年金受給停止
- フェーズ3:速やかに — 保険金請求・銀行口座凍結解除・公共料金解約・デジタル遺品整理
- フェーズ4:年金の手続き — 未支給年金の請求(5年以内)・遺族年金の受給資格確認
- フェーズ5:法定期限のある手続き — 相続放棄(3ヶ月以内)・準確定申告(4ヶ月以内)・相続税申告(10ヶ月以内)・相続登記(3年以内)
全部を一人で完璧に進める必要はありません。期限のある手続きを優先し、分からないことは早めに公的窓口や専門家へ確認してください。
フェーズ1|直後〜数日以内にやること(葬儀・死亡届・火葬)
最も慌ただしく、心も一番辛い時期です。「最低限これだけ」に絞って動きましょう。葬儀社が手続きを代行してくれることも多いので、担当者に確認しながら進めていただければ大丈夫です。
死亡診断書を受け取る
病院で亡くなった場合、担当医から「死亡診断書」を受け取ります。自宅や施設での場合は、かかりつけ医または警察医が作成します。この書類が以後すべての手続きの起点になります。コピーを5〜10枚取っておくことを強くおすすめします。原本は死亡届と一体になっており、提出すると手元に戻らないためです。
死亡届の提出と火葬許可申請(7日以内)
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出します。死亡届と同時に火葬許可の申請をすると「火葬許可証」が交付されます。窓口への提出は、多くの場合、葬儀社が代行してくれます。届出人になれる人・提出先・様式の入手方法は、次の「死亡届と火葬許可証」の節で詳しく説明します。
- 死亡診断書・死亡届の提出 — 死亡を知った日から7日以内 — 市区町村役場(必要書類:死亡診断書または死体検案書〈死亡届と一体〉。届書への押印は2021年9月から任意)
- 火葬許可証の受け取り — 死亡届と同時に火葬許可を申請して交付を受ける — 市区町村役場(葬儀社が代行するケース多数)
- 葬儀社の手配 — できるだけ早く — 葬儀社(形式は一般葬・家族葬・直葬などから選択。複数社への相談も可)
- 葬儀の実施と火葬許可証の保管 — 火葬後、火葬場で火葬の日時が記入された火葬許可証が返される — 納骨のときに墓地・納骨堂へ提出するため大切に保管する
- 死亡診断書コピーの保管 — 早めに — 以後の手続き全般で提示を求められることがある
亡くなってから火葬・納骨までの流れは、葬儀の流れチェックリスト(無料PDF・エクセル)で順に確認できます。
死亡届と火葬許可証――期限・出せる人・提出先・様式の入手方法
死亡届は、戸籍法第86条により死亡の事実を知った日から7日以内に、同居の親族などの届出人が市区町村役場へ提出する届出で、火葬に必要な火葬許可証は死亡届を受理した市区町村から交付されます。戸籍法・墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)の条文と法務省の手続案内にもとづいて整理します。
死亡届の期限は死亡の事実を知った日から7日以内
死亡届の提出期限は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内です。国外で亡くなった場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内になります(戸籍法第86条第1項)。死亡届には医師が作成した死亡診断書または死体検案書を添付します(同条第2項)。正当な理由なく期間内に届出をしなかった場合は、5万円以下の過料の対象になると定められています(戸籍法第137条)。事情があって期限に間に合いそうにないときは、早めに市区町村の戸籍窓口へ相談してください。
死亡届を出せる人(届出人)は戸籍法第87条で決まっている
死亡届の届出人は、戸籍法第87条で「届出の義務がある人」と「届出ができる人」が定められています。届出義務者には順序がありますが、順序にかかわらず届出をすることもできます(同条第1項ただし書)。
区分 | 該当する人 |
|---|---|
届出義務者(第1順位) | 同居の親族 |
届出義務者(第2順位) | その他の同居者 |
届出義務者(第3順位) | 家主、地主、家屋または土地の管理人 |
届出ができる人 | 同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者 |
出典:e-Gov法令検索「戸籍法」第86条・第87条・第137条(2026年9月18日確認)。離れて暮らしていた子や兄弟姉妹も「同居の親族以外の親族」として届出人になれます。葬儀社は届出人に含まれないため、届出人欄は遺族などが記入し、窓口への持参を葬儀社に頼む形が多くとられています。
死亡届の提出先は死亡地・本籍地・届出人の所在地の市区町村
死亡届の提出先は、亡くなった人の死亡地・本籍地、または届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場のいずれかです(戸籍法第25条・第88条)。法務省の手続案内では、手数料はかからず、添付書類は死亡診断書または死体検案書1通とされています。
- 提出先:死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場
- 手数料:かからない
- 添付書類:死亡診断書または死体検案書 1通
- 押印:2021年9月1日の戸籍法施行規則の改正で押印義務は廃止され、押印は任意
出典:法務省「死亡届」、法務省「戸籍届書の様式変更について」(2026年9月18日確認)。夜間・休日の受付の有無や、火葬許可証をその場で受け取れるかは市区町村によって異なるため、提出先の市区町村の公式サイトで確認してください。
死亡届の様式(用紙)は市区町村で入手する。法務省の様式・記載例PDFも確認できる
死亡届の用紙は死亡診断書・死体検案書と一体になった様式で、法務省は届書用紙を市役所・区役所・町村役場で入手するよう案内しています。病院などで亡くなった場合は、医師が死亡診断書の欄を記入した用紙を受け取り、届出人の欄を遺族が記入する流れが一般的です。
- 様式を確認したいとき:法務省「戸籍のABC」のQ3で、戸籍法施行規則附録第14号「死亡の届書」の様式がPDFで公開されています。
- 書き方を確認したいとき:法務省「死亡届」の手続案内に記載要領・記載例のPDFが掲載されています。例示と事情が違う場合は、提出先の市区町村に問い合わせてください。
- 用紙をダウンロードしたいとき:お住まいの市区町村の公式サイトで用紙や記入例を案内している場合があります。印刷の大きさなどの条件は市区町村ごとに確認してください。
死亡診断書の欄は医師が記入する部分なので、白紙の用紙をダウンロードしても死亡診断書(死体検案書)が別に必要になります。
死亡届の記入欄ごとの要点は、死亡届の書き方と提出チェックリスト(無料PDF)にまとめています。
火葬許可証の流れ――申請・交付から納骨まで
火葬許可証は、死亡届を受理した市区町村長が交付する許可証で、火葬場での火葬と、その後の納骨の両方に必要です(墓地埋葬法第5条・第8条・第14条)。火葬許可証の一般的な流れは次のとおりです。
- 火葬許可を申請する:死亡届と一緒に、火葬の場所などを記入した火葬許可の申請書を市区町村へ提出します(墓地埋葬法施行規則第1条)。
- 火葬許可証が交付される:許可は死亡届を受理した市区町村長が行い、火葬許可証が交付されます(墓地埋葬法第5条第2項・第8条)。
- 火葬場に提出する:火葬場は火葬許可証を受け取った後でなければ火葬できません(墓地埋葬法第14条第3項)。また、火葬は原則として死亡後24時間を経過した後でなければ行えません(同法第3条)。
- 火葬後に返してもらう:火葬場の管理者が火葬を行った日時を記入し、署名・押印した火葬許可証が、火葬を求めた人に返されます(墓地埋葬法施行規則第8条)。
- 納骨のときに提出する:墓地や納骨堂の管理者は、火葬許可証を受け取った後でなければ焼骨の埋蔵・収蔵をさせられません(墓地埋葬法第14条第1項・第2項)。返された火葬許可証は納骨まで大切に保管してください。
出典:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第3条・第5条・第8条・第14条、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第1条・第8条(2026年9月18日確認)。火葬の日程や火葬場の予約は葬儀社と相談して決めることが多いため、葬儀社の選び方は葬儀社の選び方ガイドも参考にしてください。
死亡届から納骨・改葬までの書類の流れは、火葬許可証・埋葬許可証の早見表(無料PDF)で1枚にまとめています。
フェーズ2|14日以内にやること(役所の手続き一括)
葬儀後は、役所の手続きをできれば1回の訪問でまとめて済ませると負担が軽くなります。住民票のある市区町村役場で「死亡に関する手続きをまとめてお願いしたい」と伝えると、窓口で案内してもらえることがあります。
世帯主変更届(14日以内)
亡くなった方が世帯主だった場合、新たな世帯主を届け出る必要があります。住民票のある市区町村役場に提出します(必要書類:本人確認書類・印鑑)。世帯主の変更の届出は、変更があった日から14日以内と定められています(住民基本台帳法第25条。出典:e-Gov法令検索「住民基本台帳法」、2026年10月9日確認)。
国民健康保険・健康保険の資格喪失の届出
国民健康保険の場合は市区町村役場へ、会社員の健康保険(協会けんぽ・組合健保)の場合は勤務先の健保組合または年金事務所へ届け出ます。資格確認書(健康保険証の新規発行は2024年12月2日に終わり、マイナ保険証を持たない方には資格確認書が交付されています)がある場合は返却します(必要書類:資格確認書・死亡診断書コピー・届出人の本人確認書類。必要書類は届出先で確認してください)。75歳以上の方は後期高齢者医療制度の資格喪失の手続きになり、扱いは市区町村や広域連合によって異なります。
健康保険の種類ごとの資格確認書の返却先は、資格確認書の早見表・チェックリストで確認できます。
介護保険被保険者証の返却(14日以内)
介護保険を利用していた場合、被保険者証(介護保険証)を住民票のある市区町村役場に返却します(必要書類:介護保険証・届出人の本人確認書類)。被保険者証の交付を受けている被保険者が資格を喪失したときの届出は、14日以内に市町村へ提出すると定められています(介護保険法施行規則第32条。出典:e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」、2026年10月9日確認)。
年金受給停止の届出(10日以内・国民年金は14日以内)
年金を受け取っていた方が亡くなった場合、受給停止の手続きが必要です。死亡届が必要な場合の提出期限は、10日以内(国民年金は14日以内)です(出典:日本年金機構「年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。」、2026年10月9日確認)。故人のマイナンバーが年金機構に収録されている場合は、別途手続きが不要なケースもあります(日本年金機構の案内でご確認ください)。停止が遅れると過払いとなり返還が必要になることがあるため、早めに動くと安心です。詳細は年金事務所または年金相談センターにご確認ください。
- 世帯主変更届 — 14日以内 — 市区町村役場(本人確認書類・印鑑)
- 国民健康保険資格喪失届 — 速やかに(期限は市区町村で確認) — 市区町村役場(資格確認書・死亡診断書コピー)
- 健康保険資格喪失(会社員の場合) — 5日以内が目安 — 勤務先または健保組合(資格確認書・死亡診断書コピー)
- 介護保険被保険者証の返却 — 14日以内 — 市区町村役場(被保険者証・本人確認書類)
- 年金受給停止届の提出 — 10日以内(国民年金は14日以内) — 年金事務所または年金相談センター(年金証書・死亡診断書コピー・戸籍謄本・届出人の本人確認書類)
フェーズ3|速やかにやること(保険・口座・ライフライン・デジタル)
法定の厳密な期限はありませんが、放置するほど手続きが煩雑になったり、余分な費用が発生したりするものが集まっています。「14日以内の役所手続きが一段落したら次はここ」と覚えておいてください。
生命保険・医療保険の死亡保険金請求
加入していた生命保険・医療保険の死亡保険金を請求します。請求期限は一般的に「死亡から3年以内」とされている場合が多いですが、保険契約の内容によって異なります。まず保険証券を探し、各保険会社の窓口やコールセンターに連絡して必要書類を確認するところから始めましょう(一般的な必要書類:死亡診断書コピー・戸籍謄本・受取人の本人確認書類・保険証券)。
銀行口座の凍結と解除の手続き
金融機関は、口座名義人の死亡を知った時点で口座を凍結します。凍結後は引き出しや振り込みができなくなります。公共料金の引き落とし口座が凍結されていないかを確認しつつ、早めに相続手続きを申し出ておくと安心です。
凍結解除の手続きは、大まかに次の流れになります(三菱UFJ銀行の案内を参考に、一般的な手順としてご紹介します)。
- 金融機関に死亡の連絡をし、「相続手続き」を申し出る
- 金融機関所定の「相続届」と必要書類を提出する(一般的に必要なもの:故人の除籍謄本・法定相続人全員の戸籍謄本・法定相続人全員の印鑑証明書・相続届の実印押印)
- 審査期間(目安として2〜4週間程度、金融機関により異なる)の後、払い戻しまたは名義変更が完了する
遺言書がある場合・遺産分割協議書がある場合など、状況によって必要書類や手順が変わります。三菱UFJ銀行の案内(民間金融機関の公式説明)では、必要書類の詳細が確認できます(三菱UFJ銀行「口座名義人の死亡後に必要な銀行の相続手続き」)。各金融機関の個別の手続きや詳細は、担当窓口への確認をお願いします。法律的な判断が必要な場合は司法書士・弁護士にご相談ください。
ゆうちょ銀行の相続手続き
ゆうちょ銀行(日本郵政グループ)の口座を持っていた場合、専用の「相続確認票」から手続きを始めます。一般の銀行と書類や流れが異なるため、最寄りの郵便局窓口か、ゆうちょ銀行の案内で必要書類を確認してください(ゆうちょ銀行「相続手続き」)。
公共料金・各種契約の解約・名義変更
電気・ガス・水道・固定電話・インターネット・NHK・新聞など、継続して費用が発生している契約を整理します。解約か名義変更かは、今後の実家の使い方によって変わります。クレジットカードは未払いがないか確認した上で解約手続きを進めましょう。故人名義のまま引き落としが続くと、後の手続きが煩雑になりやすいため、早めの確認をおすすめします。
デジタル遺品・サブスクリプションの整理
見落としがちなのが、スマートフォンのロック・ネット銀行のアカウント・音楽や動画の有料サブスクリプションです。放置すると遺族の金銭的な負担になることがあります。国民生活センターが2024年11月に発表した「デジタル終活」の資料でも、スマホのロック解除の困難さ・ネット銀行の相続手続きの複雑さ・サブスクの自動更新が問題として取り上げられています(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。
故人のスマートフォンが利用できる状態であれば、アプリの設定やメールからサブスクの契約状況を確認できます。アクセスできない場合は、クレジットカードの明細から定期引き落としのサービスを割り出す方法もあります。解約連絡は原則として遺族が「相続人である証明」を提示した上で行い、手続き方法はサービスごとに異なるため、個別に問い合わせが必要です。
遺品の仕分けをはじめるとき——「手放す」という考え方
手続きと並行して、多くのご家族が悩むのが遺品の仕分けです。「捨てる」という言葉は、大切なものを丁寧に扱ってきた親の世代にとって、心に刺さる言葉です。生前整理の現場では「捨てる」ではなく「手放す」という言葉を使います。売る・寄付する・リサイクルに出す・お焚き上げにする——「手放す」には、物を粗末にしないさまざまな選択肢が含まれています。
仕分けのとっかかりとして、生前整理の現場でよく使われるのが「4分類シート」という方法です。片付けたい部屋の床にレジャーシートや養生シートを4区画に分けて敷き、一度取り出したものを「いる/いらない/迷い/移動」の4つに分けていきます。8秒考えて判断がつかないものは「迷い」に入れ、半年後の期限を書いた袋に収めておく。こうすることで「全部片付けなきゃ」という重さが軽くなり、一日少しずつでも前に進めるようになります。残された側が気持ちの整理をしながら取り組む場合、無理に急がず、思い入れのあるものから先に向き合うのが、最終的に後悔の少ない道です。
また、「残ったものに思い入れが強い人が管理する、周りはそれを尊重する」というルールも、遺族間の摩擦を和らげる大切な考え方です。ただし金目のものは相続財産になる可能性があるため、扱いは別途相続人間で確認してください。
- 生命保険・医療保険の死亡保険金請求 — 速やかに(一般的に3年以内)— 各保険会社(死亡診断書コピー・戸籍謄本・保険証券)
- 銀行口座の相続手続き申し出 — 速やかに — 各金融機関窓口(除籍謄本・法定相続人の戸籍謄本・印鑑証明書)
- ゆうちょ銀行の相続確認票の提出 — 速やかに — 郵便局窓口(相続確認票・戸籍関係書類)
- 電気・ガス・水道の解約または名義変更 — 速やかに — 各事業者窓口・電話・オンライン
- 固定電話・インターネット・NHKの解約または名義変更 — 速やかに — 各事業者窓口
- クレジットカードの解約(未払い確認後) — 速やかに — 各カード会社(死亡診断書コピー・相続人の本人確認書類)
- サブスクリプションサービスの解約 — 速やかに — 各サービス(解約方法はサービスにより異なる)
- スマートフォンの契約解約 — 速やかに — 各携帯キャリア(死亡診断書コピー・相続人の本人確認書類・端末)
フェーズ4|年金の手続き(未支給年金・遺族年金)
年金に関する手続きには、フェーズ2の「受給停止」とは別に、遺族が受け取れる可能性のある2つの制度があります。見落としやすい部分なので、ぜひ確認しておいてください。
未支給年金の請求(時効は5年)
年金は2ヶ月に1回後払いで支払われます。そのため、亡くなった月まで受け取るはずだった年金がまだ振り込まれていない場合があります。これを「未支給年金」といい、一定の遺族が請求できます。
請求できるのは、亡くなった当時に生計を同じくしていた遺族で、順位は配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→それ以外の3親等内の親族の順です(出典:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」、2026年10月9日確認)。未支給年金の時効は5年で、時効の起算日は受給権者の年金の支払日の翌月の初日です(出典:日本年金機構「年金の時効」、2026年10月9日確認)。年金事務所または年金相談センターへ「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を提出します(必要書類:年金証書・除籍謄本・請求者と故人の続柄が分かる戸籍謄本・請求者の本人確認書類・振込先口座の通帳)。詳細は年金事務所にご確認ください。
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の受給資格確認
遺族年金は、亡くなった方が一定の年金加入期間を満たしていた場合に、遺族が受け取ることができる制度です。遺族基礎年金は主に子のある配偶者・子が対象で、遺族厚生年金は厚生年金に加入していた方の遺族が対象になります。受給資格があるかどうかは状況によって異なるため、年金事務所または年金相談センターへ直接ご確認ください。受給金額や手続きの詳細も、専門家または年金事務所へご相談されることをおすすめします(参考:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」)。
遺族年金を受け取れる人・金額・期間の目安は、遺族年金の早見表(無料PDF)で確認できます。
- 未支給年金の請求 — 時効5年(早めに) — 年金事務所または年金相談センター(年金証書・除籍謄本・戸籍謄本・本人確認書類・振込口座)
- 遺族年金の受給資格確認・手続き — 速やかに — 年金事務所(戸籍謄本・住民票・本人確認書類・年金手帳等。詳細は窓口で確認)
フェーズ5|3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年の「法定期限」手続き
法定期限を過ぎると選択肢が限られる手続きもあります。概要を把握したうえで、一人で抱え込まず、早めに公的窓口や専門家へ確認してください。
相続放棄・限定承認の検討(相続開始を知った日から3ヶ月以内)
相続人は「単純承認(すべての財産と負債を引き継ぐ)」「相続放棄(一切の相続を放棄する)」「限定承認(財産の範囲内で負債を承認する)」の3つから選べます。相続放棄・限定承認は、自己が相続人となったことを知った日から原則3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。相続放棄の申述は、民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならず、申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です(出典:裁判所「相続の放棄の申述」、2026年10月9日確認)。期限を過ぎると単純承認したとみなされることがあるため、借金や連帯保証が疑われる場合は早めに弁護士・司法書士にご相談ください。事情によっては期限の伸長申立ても可能ですが、詳細は専門家または家庭裁判所にご確認ください。
続柄ごとの必要書類・申述先・期限・費用は、相続放棄の必要書類チェックリスト(無料PDF)で確認できます。
準確定申告(相続開始を知った翌日から4ヶ月以内)
亡くなった方が確定申告をしていた場合(個人事業主・不動産収入がある方・給与所得が高額だった方など)、相続人が代わりに申告する「準確定申告」が必要になります。申告期限は相続開始を知った翌日から4ヶ月以内です(出典:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」)。申告が必要かどうかや具体的な手続きは、税理士または最寄りの税務署にご確認ください。
準確定申告の必要書類と付表の項目は、準確定申告の必要書類チェックリスト(無料PDF)で確認できます。
相続税の申告・納税(相続開始を知った翌日から10ヶ月以内)
相続した財産が一定の基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という考え方で定められています。申告・納税の期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です(出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」)。申告の要否・税額・具体的な対応については、税理士または税務署にご相談ください。個別の税額計算は本記事の範囲外となります。
相続登記(不動産がある場合・知った日から3年以内)
2024年4月から、相続した不動産の登記申請が法律で義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、不動産所在地を管轄する法務局へ申請する必要があります。正当な理由なく違反した場合、10万円以下の過料が課される可能性があります(出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。手続きは司法書士への依頼が一般的です。詳細は法務局または司法書士にご相談ください。
ケース別の必要書類と取る場所は、相続登記の必要書類チェックリスト(無料PDF・エクセル)で確認できます。
- 相続放棄・限定承認の申立て — 相続開始を知った日から3ヶ月以内(期限厳守)— 家庭裁判所(戸籍謄本・申立書等。詳細は弁護士・司法書士・家庭裁判所へ)
- 準確定申告 — 相続開始を知った翌日から4ヶ月以内 — 税務署(故人の源泉徴収票・医療費の領収書等。詳細は税理士・税務署へ)
- 相続税の申告・納税 — 相続開始を知った翌日から10ヶ月以内 — 税務署(遺産の評価書類等。詳細は税理士へ)
- 相続登記(不動産がある場合)— 相続を知った日から3年以内(義務・違反は過料)— 法務局(戸籍謄本・遺産分割協議書・固定資産評価証明書等。詳細は司法書士・法務局へ)
相続全体の準備状況を確認したい方は、相続準備診断(無料)で現在地を整理することもできます。
手続きが一段落したら、実家はどうする?
死後の手続きが一区切りつくと、次に多くのご家族が直面するのが「実家の今後」という問題です。「相続はしたけれど、誰も住む予定がない」「片づけに手がつけられない」「売却か解体か決められない」——そんな声をよく聞きます。
生前整理の現場で把握している遺品整理の期間相場をお伝えすると、平均10年かかるというのが実態です。一方で、住み替えや相続の状況次第では時間に余裕がないケースも少なくありません。賃貸住宅に住んでいた場合は現状復帰が必要なため退去まで3ヶ月程度、有料老人ホーム(住居型)の退去は2ヶ月前後、特別養護老人ホームは亡くなってから1週間程度しか猶予がないこともあります。「少しずつ」が理想でも、状況によっては優先順位を決めて動く必要があります。
実家が空き家になった後は、おおむね「相続(名義確定)→ 家財の整理 → 売却・解体・賃貸・活用のどれかを選ぶ」という流れになります。この一連の取り組みを「実家じまい」と呼びます。死後の手続きとはまた別のテーマですが、早めに全体像を把握しておくと動きやすくなります。
実家じまいの全体像・進め方・費用・補助金については、実家じまいガイド(完全版)をご覧ください。お住まいの地域の粗大ゴミ情報や解体補助金については、地域別の補助金・粗大ゴミ情報ページから確認できます。
よくある質問
Q. 親が亡くなったら、まず何をすればいいですか?
A. 最初に動くことは2つです。「死亡診断書を受け取り、コピーをとっておく」こと、そして「死亡を知った日から7日以内に死亡届を提出する」ことです。葬儀社が代行してくれることも多いので、担当者に確認しながら進めていただければ大丈夫です。それ以外の手続きはフェーズ2以降で対処できます。
Q. 銀行口座はいつ凍結されますか?解除にはどのくらいかかりますか?
A. 金融機関が故人の死亡を知ったタイミングで凍結されます。遺族が連絡した時点で凍結されるケースもあり、時期は一定ではありません。解除は必要書類の提出後、目安として2〜4週間程度かかることが多いですが、金融機関によって異なります。手続きの詳細は各金融機関の窓口にご確認ください。
Q. 年金はいつまで振り込まれますか?過払い分はどうなりますか?
A. 年金は2ヶ月に1回後払いで支払われるため、受給停止の届出後も、停止前の期間分が振り込まれることがあります。その分は返還が必要になる場合があります。詳細は年金事務所にご確認ください。
Q. 相続放棄は3ヶ月以内に必ずしないといけませんか?
A. 原則として、自己が相続人となったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申立てが必要です。ただし事情によっては「熟慮期間の伸長」の申立てが認められる場合があります。期限が近づいている場合は、早めに弁護士・司法書士にご相談ください。
Q. 死亡届は誰が出せますか?葬儀社に頼めますか?
A. 死亡届の届出人になれるのは、同居の親族・同居者・家主などのほか、同居していない親族や後見人・任意後見人などです(戸籍法第87条)。葬儀社は届出人にはなれませんが、届出人が記入した死亡届を窓口へ持参する部分は葬儀社が代行することが多くあります。
Q. 死亡届の用紙はどこで手に入りますか?ダウンロードできますか?
A. 死亡届の用紙は死亡診断書と一体になっており、法務省は市役所・区役所・町村役場で入手するよう案内しています。様式と記載例は法務省のページでPDFを確認でき、市区町村によっては公式サイトで用紙を案内しています。
Q. 仕事が忙しくて期限内に手続きが間に合わない場合は?
A. 多くの手続きで、委任状を使った代理人による対応が可能です。ただし手続きによって代理の可否・要件が異なります。各窓口や専門家(弁護士・司法書士・税理士)に事前に確認しておくと安心です。
まとめ|期限のあるものから、一つずつ
親を亡くした直後は、悲しみの中で手続きに追われ、心も体も限界になりやすい時期です。「悲しむ間もなく書類に追われた」という声は、本当によく聞きます。全部を一人で完璧にこなそうとしなくていい、ということをまず伝えたいと思います。
大切なのは、期限のあるものを見逃さないことです。死亡届(7日以内)→ 役所手続き(14日以内)→ 年金・銀行・保険(速やかに)→ 相続放棄(3ヶ月)→ 準確定申告(4ヶ月)→ 相続税(10ヶ月)→ 相続登記(3年)。この流れさえ頭に入っていれば、抜け漏れは防げます。
分からないことは、窓口や専門家に確認するのが最も確実で、結果的に近道です。「こんなことを聞いていいのか」と遠慮する必要はありません。年金事務所・市区町村窓口・法務局・税務署、そして司法書士・税理士・弁護士を積極的に頼っていただければと思います。
本記事のフェーズ別チェックリストを、印刷して役所に持参できる1枚にまとめた無料チェックリストをご用意しています。「いつまでに・どこで・必要書類」が一覧になっているので、家族と共有したり手元に貼ったりしてご活用ください。死後の手続きチェックリスト(印刷・PDF保存用)から、印刷してPDFに保存できます。
実家じまいの全体的な進め方については、実家じまいガイド(完全版)をあわせてご覧ください。
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