生前整理・終活ガイド

死亡保険金の請求方法|必要書類・相続税の非課税枠

死亡保険金の請求方法|必要書類・相続税の

死亡保険金は、受取人に指定された方が保険会社へ請求して受け取るお金で、資格は要りません。保険法では3年で時効になります。必要書類、かんぽ生命の窓口、受取人がいない場合、相続放棄との関係、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の仕組みまで、遺族が知っておきたい一般的な知識をまとめました。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。保険金の受取額・個別の税額・相続放棄の判断については、保険会社・税務署・税理士・弁護士・司法書士にご確認ください。

死亡保険金の請求で最初に確認したい要点

死亡保険金の請求で最初に確認したいのは「受取人は誰か」「請求期限はいつか」「どの書類が要るか」「税金はどうなるか」の4点です。要点を一覧にまとめました。

項目

一般的な扱い

請求する人

保険金受取人ご本人(資格は不要。手続きが難しいときは委任状による代理請求の方法がある)

請求期限

保険法第95条では、請求できる時から3年で時効。起算点の書き方は約款で確認

主な必要書類

保険会社所定の請求書・死亡診断書(写し)または会社所定の死亡証明書・受取人の本人確認書類・振込口座の情報など

かんぽ生命(簡易保険)

受取人ご本人が郵便局(簡易郵便局を除く)の保険窓口で手続き、または担当者の訪問で手続き

受取人が先に亡くなっていた

保険法第46条では、受取人の相続人全員が受取人になる(約款の定めも確認)

相続放棄との関係

受取人に指定された方は、相続放棄をしても死亡保険金を受け取れるのが一般的。ただし相続税の非課税枠は使えない

相続税の非課税枠

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取った場合、「500万円×法定相続人の数」が非課税限度額(国税庁 タックスアンサー No.4114)

個別のケースで扱いが変わることがあるため、表は目安としてご覧ください。以下で項目ごとに詳しく説明します。

死亡保険金の請求が遅れがちな理由

死亡保険金の請求が遅れる大きな原因は、「家族が保険の存在を知らない」ことです。契約者本人が管理していたため、保険証券がどこにあるか、そもそも何の保険に入っていたかを家族がまったく把握していないケースは珍しくありません。

若い頃に加入した終身保険や、職場・郵便局で入った保険は、家族の記憶に残りにくい契約です。気づかないまま請求期限を過ぎてしまうことを防ぐには、元気なうちに保険契約を家族と共有しておくことが大切です。生前整理の「情報の整理」という視点から、保険会社名・証券の保管場所・受取人をエンディングノートにまとめておくと、遺族の負担を大きく減らせます。

また、悲しみの中で複雑な手続きを迫られる遺族の精神的な負担も軽くありません。請求の流れを事前に知っておくことで、いざというときに落ち着いて対処できます。

死亡保険金請求の全6ステップ

死亡保険金の請求は、おおむね以下の6つのステップで進みます。保険の種類(生命保険・共済・かんぽ生命)によって細部は異なりますが、基本的な流れは共通しています。

  1. 保険契約の発見・確認(保険証券・通帳・生命保険協会の照会制度を活用)
  2. 保険会社・共済へ連絡(コールセンターや担当者へ第一報。証券番号と被保険者の氏名・死亡日を伝える)
  3. 請求書類の受け取り(保険会社から所定の請求書類が届く。Webで請求できる会社もある)
  4. 必要書類の準備(死亡診断書の写し・戸籍謄本・受取人の本人確認書類など)
  5. 書類の提出・審査(保険会社が支払事由や受取人を確認する)
  6. 保険金の受取(確認が済むと受取人の口座に振り込まれる)

支払いまでの日数は約款で定められており、事故の状況など事実の確認が必要な場合は長くなることがあります(保険法第52条)。それぞれのステップを順に見ていきましょう。

死亡保険金を請求できる人(受取人本人・資格は不要)

死亡保険金を請求できるのは、原則として保険契約で指定された保険金受取人ご本人で、弁護士などの資格は必要ありません。遺族が自分で保険会社に連絡し、書類をそろえて提出すれば手続きできます。

  • 受取人本人が手続きする:保険会社のコールセンター・担当者・窓口で請求書類を受け取り、本人が記入して提出します
  • 受取人が手続きに出向けない:保険会社所定の委任状を使い、代理人が手続きできる場合があります。代理人の本人確認書類も必要です(かんぽ生命も委任代理人による請求の案内があります)
  • 受取人が未成年・判断が難しい状態:親権者や成年後見人などが手続きすることになります。保険会社に事情を伝えて案内を受けてください

相続人の間で保険金の受取をめぐって意見が分かれている場合は、手続きを急ぐ前に弁護士へ相談することをおすすめします。

ステップ詳細①保険契約の発見方法

保険契約の発見は、保険証券・郵便物・通帳の引き落とし記録・生命保険協会の照会制度の4つを組み合わせると見落としを減らせます。

保険証券・郵便物を探す

自宅の書類の中から保険証券を探しましょう。毎年送られてくる「ご契約内容のお知らせ」や「保険料払込証明書」も手がかりになります。また、クレジットカードや銀行の引き落とし明細に「〇〇生命」「〇〇共済」などの記載があれば、保険料が引き落とされていた可能性があります。

通帳・引き落とし記録を確認する

故人の通帳やキャッシュカードの明細を確認すると、毎月・毎年一定額が保険会社名義で引き落とされている記録が見つかることがあります。記録が古い場合は銀行窓口で取引明細の開示を依頼することも一案です。

生命保険契約照会制度を利用する

生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を使うと、亡くなった親族が契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を、加盟する生命保険会社にまとめて照会できます。対象は照会の時点で有効に継続している個人保険契約で、亡くなった方の照会では死亡日まで最低3年間さかのぼって調べます。手数料は調査対象者1名につきWeb申請6,000円、書面申請7,000円です(生命保険協会「生命保険契約照会制度」、2026年9月確認)。

かんぽ生命・共済の確認

郵便局で加入するかんぽ生命(民営化前の簡易生命保険を含む)や、JA共済・こくみん共済coop(全労済)・都道府県民共済なども確認の対象です。手続き先はそれぞれ異なるため、証券や郵便物に記載された名称の公式サイトで請求窓口を確認してください。かんぽ生命の窓口は次の見出しで説明します。

簡易保険(かんぽ生命)の死亡保険金請求に必要なものは、保険証券の記号番号・受取人の本人確認書類・通帳・死亡を確認できる書類

かんぽ生命(簡易保険)の死亡保険金は、受取人ご本人が郵便局の保険窓口(簡易郵便局を除く)で手続きするか、担当者の訪問で手続きします。かんぽ生命の公式ページで案内されている主な持ち物は次のとおりです。

  • 保険証券(保険証書)の記号番号が分かるもの
  • 死亡保険金受取人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 受取人名義の預貯金通帳またはキャッシュカード
  • 被保険者の生年月日を確認できる書類
  • 死亡を確認できる書類(会社所定の死亡証明書・医師が発行した死亡診断書、または簡易生命保険契約のみ市区町村等で取得できる死亡届の記載事項証明書等)
  • 受取人が指定されていない場合や、被保険者の死亡後に受取人も亡くなった場合は、遺族・相続人であることを確認できる戸籍謄本(除籍謄本等)

代理人が郵便局で手続きする場合は、受取人が作成した委任状や代理人の本人確認書類などが追加で必要です。契約によって必要書類が異なるため、手続き前にかんぽ生命「死亡保険金・死亡給付金のご請求」で最新の案内を確認してください(2026年10月6日確認)。受け取った死亡保険金に相続税・所得税・贈与税のどれがかかるかは、契約者・被保険者・受取人の組み合わせで変わります。組み合わせごとの違いは死亡保険金の税金 早見表(無料PDF)で確かめられます。

請求に必要な書類一覧(生命保険会社の場合)

生命保険会社への死亡保険金の請求では、所定の請求書・死亡を証明する書類・受取人を確認する書類の3種類が基本になります。必要書類は保険会社・契約内容によって異なりますので、届いた案内を必ず確認してください。

基本的に必要な書類

  • 死亡保険金請求書(保険会社の所定用紙。受取人が記入)
  • 保険証券(見つからない場合も請求はできるので、保険会社に相談する)
  • 死亡診断書(死体検案書)の写し、または会社所定の死亡証明書
  • 被保険者の死亡の事実が記載された住民票の除票や戸籍謄本
  • 受取人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等。会社によっては印鑑証明書)
  • 受取人名義の振込先口座の情報

追加で必要になる場合がある書類

  • 死亡原因が事故の場合:事故の状況がわかる書類(警察の証明など)
  • 受取人が未指定・受取人が先に亡くなっていた場合:相続人であることがわかる戸籍謄本一式
  • 代理人が請求する場合:委任状・代理人の本人確認書類

戸籍謄本や住民票などは「発行から3か月以内」など期限付きで求められることがあります。本籍地が遠い場合は郵送での取り寄せに1〜2週間ほどかかることもあるため、案内を確認してから余裕をもって準備を始めることをおすすめします。

なお、相続全体の手続きの流れについては 親が亡くなったら何から?手続きの順番 もあわせてご参照ください。

死亡保険金の税金(相続税・所得税・贈与税の違い)

死亡保険金の税金は、「誰が保険料を払っていたか」「誰が保険金を受け取るか」によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかの対象になります。代表的なパターンを整理します。

パターン①相続税の対象になるケース(契約者=被保険者)

保険料を負担していた契約者と亡くなった被保険者が同じ人で、受取人が家族のパターンでは、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。

相続税の非課税枠「500万円×法定相続人の数」の仕組み

国税庁のタックスアンサーによると、相続人が受け取った死亡保険金のうち、次の金額までは相続税がかかりません。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

  • 対象になる保険金:被相続人の死亡によって受け取った生命保険金などで、保険料の全部または一部を被相続人が負担していたもの
  • 法定相続人の数の数え方:相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数えます
  • 養子の数え方:法定相続人に含める養子の数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです
  • 非課税枠を使えない人:相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、非課税の適用がありません

出典:国税庁 タックスアンサー No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」(令和8年4月1日現在法令等、2026年9月確認)。

非課税枠を超えた部分が相続税の計算に含まれますが、実際に相続税がかかるかどうかは、ほかの相続財産や基礎控除との合計で決まります。当サイトでは個別の税額は計算していません。申告が必要かどうかも含めて、税務署または税理士にご確認ください。基礎控除の考え方は 相続税の基礎控除の解説 で紹介しています。

パターン②所得税(一時所得)の対象になるケース

保険料を負担していた契約者と受取人が同じ人(本人が保険料を払い、本人が受け取る)のパターンでは、死亡保険金は所得税の一時所得の対象になります。受け取った保険金から払い込んだ保険料の総額と特別控除額(最高50万円)を差し引き、残りの2分の1が課税の対象です。

パターン③贈与税の対象になるケース

契約者・被保険者・受取人がそれぞれ別の人物になるパターン(例:父が保険料を払い、母が亡くなり、子が受け取る)では、死亡保険金は贈与税の対象になります。

税金の扱いは契約内容によって異なります。どのパターンに当たるか、申告が必要かどうかは、税務署または税理士に確認してください。

生前整理の「情報の整理」の観点からも、保険の契約者・被保険者・受取人を元気なうちに確認しておくことが、ご家族への大切な準備になります。エンディングノートに保険の種別と受取人をメモしておくと、万一のときに家族が迷わずに済みます。エンディングノートについては エンディングノートとは もご参照ください。

相続放棄をしても死亡保険金は受け取れるか

受取人に指定された方が受け取る死亡保険金は受取人固有の財産とされるため、一般的には相続放棄をしても死亡保険金を受け取れます。ただし、相続税の扱いには注意が必要です。

  • 受け取り:契約者と被保険者が同じ人で、受取人に家族が指定されている場合、死亡保険金は故人の遺産ではなく受取人の財産になります(生命保険文化センター「相続放棄をした場合でも、死亡保険金を受け取れるの?」)
  • 税金:相続放棄をした人が受け取った死亡保険金も、税金の上では「みなし相続財産」として相続税の対象になります。相続放棄をした人は相続人に含まれないため、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は使えません(国税庁 No.4114)
  • 受取人の指定の仕方:受取人が被保険者本人になっている契約など、指定の仕方によっては扱いが変わることがあります

相続放棄は原則として相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きします。放棄するかどうか、保険金を受け取ってよいかの判断は、個別の事情で変わるため、弁護士・司法書士に相談してください。期限の考え方は 相続放棄の3か月の期限 で紹介しています。

受取人指定なし・受取人が先に亡くなっていた場合の扱い

受取人が指定されていない場合や、受取人が被保険者より先に亡くなっていた場合でも、死亡保険金は請求できますが、請求する人と必要書類が変わります。

受取人が指定されていない場合

多くの保険では、受取人が未指定の場合は被保険者の相続人が受取人になると約款に定められています。約款の内容は保険会社によって異なりますので、保険証券や約款を確認するか、保険会社に問い合わせてみましょう。相続人であることを確認するため、戸籍謄本一式が必要になるのが一般的です。

受取人が先に亡くなっていた場合

保険法第46条では、保険金受取人が保険事故の発生前に亡くなったときは、その受取人の相続人全員が保険金受取人になると定めています(e-Gov法令検索「保険法」)。約款に別の定めがある場合もあるため、保険会社に確認してください。受取人の相続人が複数いる場合は、全員分の戸籍謄本などが必要になり、手続きに時間がかかることがあります。

受取人の変更は、被保険者が生存中であれば保険会社への手続きでできます。家族構成の変化(離婚・再婚・子の誕生等)に合わせて定期的に確認しておくことをおすすめします。

受取人の相続人が多数いる場合や、相続人の間で話がまとまらない場合は、弁護士・司法書士・保険会社の担当者にご相談ください。

死亡保険金の請求期限と時効(保険法では3年)

死亡保険金を請求する権利は、保険法第95条により「行使することができる時から3年間」行使しないと時効によって消滅します。約款で請求期限や起算点を具体的に定めていることがあるため、契約ごとに約款を確認してください(e-Gov法令検索「保険法」)。

3年という期間は長いようで、悲しみの中で手続きを後回しにしているとあっという間に過ぎてしまいます。特に次の点に注意が必要です。

  • 約款で請求期限を確認する:保険会社・共済・かんぽ生命で、約款の書き方が異なることがあります
  • 古い保険ほど注意が必要:故人が若い頃に加入した保険は証券が見つかりにくく、気づかないまま期限を過ぎることがあります
  • 期限を過ぎていても問い合わせる:期限を過ぎた後の取り扱いは会社や契約によって異なります。あきらめる前に、まず保険会社に問い合わせてみることをおすすめします
  • 生命保険協会の照会制度を活用する:契約の存在を知らなかった場合でも、照会制度を利用することで未請求の保険金を発見できることがあります

なお、生前整理の一環として、保険の棚卸しを行っておくことが最大の対策です。生前整理チェックリストにも「保険契約の確認と家族への共有」を含めることをおすすめします。詳しくは 生前整理チェックリスト をご覧ください。

保険金の請求と並行して、銀行口座の凍結解除など他の死後手続きも進める必要があります。親が亡くなった後にやることチェックリストで全体の流れを確認しておくと安心です。また、口座凍結の解除手続きについては銀行口座の凍結解除の手順と注意点もあわせてご参照ください。

まとめ

死亡保険金の請求は、受取人ご本人が正しい手順を踏んで進めれば受け取れるお金です。記事のポイントをまとめます。

  • 請求が遅れる大きな原因は「家族が保険の存在を知らないこと」。元気なうちに情報を整理・共有しておくことが何より大切です
  • 保険契約が見つからない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用できます(Web申請6,000円・書面申請7,000円)
  • 請求できるのは受取人ご本人で、資格は要りません。かんぽ生命は郵便局の保険窓口(簡易郵便局を除く)か担当者の訪問で手続きします
  • 請求には死亡診断書の写し・戸籍謄本・受取人の本人確認書類などが必要です。余裕をもって準備を始めることをおすすめします
  • 相続税の対象になる死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。個別の税額や申告の要否は税務署・税理士に確認してください
  • 受取人に指定された方は、相続放棄をしても死亡保険金を受け取れるのが一般的ですが、非課税枠は使えません。判断は弁護士・司法書士に相談してください
  • 請求の時効は保険法で3年です。早めの確認・手続きをおすすめします

「万一のとき、家族に迷惑をかけたくない」——そう思ったときが、情報の整理を始める最良のタイミングです。保険証券の在り処を家族に伝えるだけでも、遺族の負担は大きく変わります。今日からできる小さな一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

税金・相続・保険の手続きでご不明な点があれば、税務署・税理士・弁護士・司法書士・保険会社の担当者にご相談されることをおすすめします。

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この記事について

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編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。