公正証書遺言の費用・必要書類|遺言書の書き方3方式
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【免責事項】本記事は遺言書に関する一般的な制度情報をお伝えするものであり、法律上の助言ではありません。遺言書の作成は法律行為であり、個々の状況によって適切な方法が異なります。作成にあたっては、弁護士・司法書士・公証人・行政書士等の専門家に必ずご相談ください。本記事の情報は2026年9月18日時点のものであり、法改正により内容が変わる場合があります。
「親に遺言書を残してもらいたいが、公正証書遺言の費用はいくらで、何を用意すればいいのか分からない」——そんな方に向けて、遺言書の3つの方式の違い、公正証書遺言の費用(2025年10月改定後の公証人手数料)・必要書類・作成の流れ、法務局の自筆証書遺言書保管制度を公的資料にもとづいて整理しました。
遺言書はなぜ必要なのか――「争族」を防ぐための備え
遺言書は、誰に何を引き継いでほしいかという故人の意思を法的な効力のある書面で残し、相続人どうしの話し合いの負担を軽くするための備えです。「うちは仲が良いから大丈夫」と思っていても、いざ相続が始まると意見のすれ違いが生じ、関係がぎくしゃくしてしまうケースは珍しくありません。こうした相続トラブルは「争族(そうぞく)」とも呼ばれ、遺産の規模に関わらず起こりうるものです。
遺言書があれば、故人の意思が書面として残ります。誰に何を引き継いでもらいたいか、自分の言葉で伝えることができ、残された家族が難しい判断を一から話し合う負担を和らげることができます。
また、法定相続分(民法で定められた相続人の取り分の目安)は、必ずしも故人の意向や家族の実情に合うとは限りません。長年自宅の介護に携わった配偶者に多くを残したい、事業を引き継ぐ子どもに会社の株を譲りたいといった場合、遺言書がその橋渡し役になります。
遺言書を準備することは、死を急ぐことでも、縁起が悪いことでもありません。家族がこれからも安心して暮らせるよう、元気なうちにできる「思いやりの行動」のひとつです。
遺言書の3種類――自筆証書・公正証書・秘密証書の違い
民法が定める遺言書の普通方式は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類で、費用・証人の要否・家庭裁判所の検認の要否が方式ごとに異なります。どれが適しているかは個人の状況によって異なるため、以下の一般的な制度の概要を踏まえ、どれを選ぶかは専門家とご相談されることをおすすめします。
自筆証書遺言(じひつしょうしょ遺言)
遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自筆(手書き)で記載し、押印して作成する方式です。費用をかけずに自宅で作成できるのが大きな特徴です。一方で、形式の不備があると無効になるリスクがあること、発見されなかったり改ざんされたりする可能性があること、家庭裁判所での検認手続きが原則として必要なことが、一般的に注意点として挙げられます。
なお、2019年(平成31年)1月施行の民法改正により、財産目録についてはパソコンで作成したものや通帳のコピー等を添付する方法も認められるようになりました(ただし財産目録の各ページへの署名・押印が必要です)。
公正証書遺言(こうせいしょうしょ遺言)
遺言者が証人2人の前で遺言の趣旨を公証人に口頭で伝え(民法第969条の「口授」)、公証人が遺言公正証書として作成する方式です。原本は公証役場(電子データで作成した原本は日本公証人連合会のシステム)に保管され、家庭裁判所での検認は不要です(民法第1004条第2項)。作成には政令で定められた公証人手数料がかかります。費用・必要書類・流れは後半の節で詳しく説明します。
秘密証書遺言(ひみつしょうしょ遺言)
遺言の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう方式です。自筆以外(パソコン等)での作成も可能ですが、実務上の利用頻度は比較的低く、家庭裁判所での検認も必要です。秘密証書遺言の方式に関する記載の公証人手数料は1万3,000円です(公証人手数料令第28条)。詳しくは公証人にご確認ください。
3種類の主な特徴(概要)
方式 | 作成者 | 証人 | 費用 | 家庭裁判所の検認 |
|---|---|---|---|---|
自筆証書遺言 | 遺言者本人が手書き | 不要 | 原則かからない(法務局保管は1件3,900円) | 必要(法務局保管を利用した場合は不要) |
公正証書遺言 | 公証人 | 2人 | 公証人手数料(財産の価額に応じて政令で決まる) | 不要 |
秘密証書遺言 | 本人(パソコン・代筆も可) | 2人 | 1万3,000円 | 必要 |
出典:e-Gov法令検索「民法」第968条・第969条・第970条・第1004条、「公証人手数料令」、法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」(いずれも2026年9月18日確認)。どの方式が自身の状況に合っているかは、弁護士・司法書士・公証人等の専門家にご相談されることをおすすめします。
自筆証書遺言の一般的な要件(民法968条の概要)
自筆証書遺言が有効になるには、民法第968条により、全文・日付・氏名の自書と押印という形式を満たす必要があり、1つでも欠けると無効になるおそれがあります。以下はその概要です。具体的な記載方法については、専門家にご確認ください。
- 遺言書の全文を遺言者本人が自署(手書き)すること
- 作成日付を自署すること(「吉日」などの記載は無効とされる場合があります)
- 氏名を自署すること
- 押印すること
- 財産目録を添付する場合は、目録の各ページに署名・押印すること
形式上の要件を一つでも欠くと、遺言書全体が無効となる可能性があります。「とりあえず書いてみた」では意味をなさないこともあるため、作成前・作成後に専門家のチェックを受けることを強くおすすめします。
なお、遺言書に記載できる内容(遺言事項)も法律で定められており、何でも自由に記せるわけではない点もご留意ください。
自筆証書遺言書保管制度――法務局で安全に保管する選択肢
自筆証書遺言書保管制度は、手書きの遺言書を法務局(遺言書保管所)に預け、紛失・改ざんを防ぎ、相続開始後の家庭裁判所の検認を不要にできる制度で、2020年(令和2年)7月10日に始まりました(根拠法:法務局における遺言書の保管等に関する法律)。
法務省の情報によると、自筆証書遺言書保管制度には次のような特徴があります。
- 法務局(遺言書保管所)に原本が保管されるため、紛失・改ざんのリスクが大幅に低下する
- 相続開始後、相続人等が「遺言書情報証明書」の交付申請や「遺言書の閲覧」を請求できる
- 法務局で保管された自筆証書遺言書は、家庭裁判所での検認が不要になる
- 申請は遺言者本人が法務局に出向いて行う必要がある(代理申請は不可)
- 保管の申請手数料は遺言書1通につき3,900円(法務省「自筆証書遺言書保管制度 手数料」2026年9月18日確認)
詳しい手続きの流れや必要書類については、法務省「自筆証書遺言書保管制度」の公式ページでご確認ください。
自分で書いた遺言書をどこに保管するか——これは意外と見落とされがちなポイントです。法務局の保管制度の活用を検討する場合も、事前に専門家や法務局の相談窓口でご確認されることをおすすめします。
なお、法務局の保管制度を使っても、法務局は遺言書の内容に関する相談には応じません。内容まで公証人に確認してもらいたい場合の選択肢が、次に説明する公正証書遺言です(日本公証人連合会「遺言」の「5 自筆証書遺言と公正証書遺言の相違」Q3)。
公正証書遺言とは――公証人が作成し、原本を公証役場が保管する遺言
公正証書遺言とは、遺言者が公証人と証人2人の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人がそれを遺言公正証書にまとめて作成する遺言で、方式の不備で無効になるおそれが小さく、家庭裁判所の検認も要りません。日本公証人連合会の説明と民法の条文から、公正証書遺言の主な特徴を整理します。
- 証人2人の立会いが必要(民法第969条)。未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、公証人の配偶者・4親等内の親族・書記・使用人は証人になれません(民法第974条)。適当な証人がいない場合は公証役場で紹介を受けることもできます。
- 家庭裁判所の検認が不要(民法第1004条第2項)。相続開始後、速やかに遺言の内容を実現する手続きに進めます。
- 公証人の出張が可能。病気や高齢で公証役場へ行けない場合、自宅・病院・介護施設などで作成できます。公証人が相当と認めた場合は、ウェブ会議で公証人と面談して作成する方法もあります。
- 手書きが不要。遺言者が病気等で署名や電子サインができない場合も、公証人がその旨を記載・記録して作成できます。
- 相続人が遺言の有無を検索できる。平成元年以降に作成された公正証書遺言は、遺言者の死亡後、相続人等の利害関係人が全国の公証役場で有無と保管場所を無料で検索できます。
- 公証人への相談は無料。作成時に政令で定められた手数料がかかります。
出典:日本公証人連合会「遺言」の「3 公正証書遺言の作成」Q1〜Q7・「7 遺言の検索、謄本の請求及び保存期間」Q1、e-Gov法令検索「民法」第969条・第974条・第1004条(2026年9月18日確認)。
公正証書遺言の費用――公証人手数料は政令の別表で決まる(2025年10月改定)
公正証書遺言の公証人手数料は、政令である公証人手数料令の別表で「遺言で財産を受け取る人ごとの財産の価額」に応じて決まり、2025年(令和7年)10月1日の改正で多くの区分が引き上げられました。改定後の別表は次のとおりです(公証人手数料令第9条・別表。2025年10月1日以降の嘱託に適用)。
目的の価額(財産を受け取る人ごと) | 手数料 |
|---|---|
50万円以下 | 3,000円 |
50万円を超え100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 1万3,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 2万円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 2万6,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 3万3,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 4万9,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万9,000円に超過額5,000万円までごとに1万5,000円を加算 |
3億円を超え10億円以下 | 10万9,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算 |
10億円を超える場合 | 29万1,000円に超過額5,000万円までごとに9,000円を加算 |
出典:e-Gov法令検索「公証人手数料令」別表・第19条・附則(令和7年10月1日施行分)、日本公証人連合会「遺言」の「3 公正証書遺言の作成」Q7(2026年9月18日確認)。
2025年10月の改定で変わった公証人手数料
公証人手数料令の2025年10月1日改定では、別表の手数料と遺言加算が引き上げられました。e-Gov法令検索の改定前(2025年9月30日時点)の条文と比べると、主な変更は次のとおりです。
- 50万円以下の区分(3,000円)が新設された(改定前は100万円以下が一律5,000円)
- 200万円を超え500万円以下:1万1,000円 → 1万3,000円
- 500万円を超え1,000万円以下:1万7,000円 → 2万円
- 1,000万円を超え3,000万円以下:2万3,000円 → 2万6,000円
- 3,000万円を超え5,000万円以下:2万9,000円 → 3万3,000円
- 5,000万円を超え1億円以下:4万3,000円 → 4万9,000円
- 遺言加算:1万1,000円 → 1万3,000円
2025年9月30日までに嘱託した分は改定前の額が適用されます(改正政令附則第2項)。2025年9月以前の資料を見るときは改定前の金額でないかに注意し、金額は公証人手数料令の現行条文か日本公証人連合会のページで確認すると確実です。
公正証書遺言の手数料の計算方法
公正証書遺言の手数料は、遺言全体の財産額ではなく、財産を相続または遺贈で受け取る人ごとに価額を出して別表に当てはめ、その合計に加算額を足して計算します。日本公証人連合会が示している計算の考え方は次のとおりです。
- 受け取る人ごとに手数料を出して合算する:財産を受け取る人ごとに価額を算出し、別表に当てはめた手数料を合計します。
- 遺言加算(1万3,000円):遺言の目的の価額が全体で1億円以下のときは、1万3,000円を加算します(公証人手数料令第19条)。
- 枚数の加算:公正証書の原本を紙に出力した場合の枚数が3枚を超えるときは、超える1枚ごとに300円を加算します(公証人手数料令第25条)。
- 正本・謄本に相当するものの交付:電子データで受け取る場合は1通2,500円、書面で受け取る場合は1枚300円です。
- 病床での作成:病床で作成したときは、上記1の手数料に50%が加算されることがあります(公証人手数料令第32条)。
- 出張の日当・交通費:公証人が自宅・病院・施設へ出張する場合は、日当(1日2万円、4時間以内は1万円)と交通費がかかります(公証人手数料令第43条)。
公証人手数料のほかに、戸籍謄本・印鑑登録証明書・登記事項証明書などの取得費用がかかります。証人を公証役場で紹介してもらう場合の費用や、弁護士・司法書士・行政書士などに文案の相談や手続きを依頼する場合の報酬は、依頼先ごとに異なるため事前にご確認ください。正確な手数料は、財産の内容を伝えたうえで利用する公証役場に見積もりを依頼するのが確実です。
公正証書遺言の必要書類――戸籍謄本・印鑑登録証明書・財産の資料
公正証書遺言の必要書類は、遺言者の本人確認資料、相続人との続柄が分かる戸籍謄本、財産を受け取る人と財産の内容が分かる資料の3種類が基本です。日本公証人連合会が挙げている資料は次のとおりで、事案によってはほかの資料が必要になるため、詳細は最寄りの公証役場で確認してください。
- 遺言者の本人確認資料:3か月以内に発行された印鑑登録証明書。代わりに運転免許証・旅券・マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付き身分証明書でも可
- 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本・除籍謄本
- 相続人以外の人に遺贈する場合:その人の住民票など住所の記載があるもの(法人の場合は登記事項証明書または代表者事項証明書)
- 不動産がある場合:登記事項証明書と、固定資産評価証明書または固定資産税・都市計画税の納税通知書中の課税明細書
- 預貯金等がある場合:預貯金通帳等またはそのコピー
- 遺言者側で証人を用意する場合:証人予定者の氏名・住所・生年月日を書いたメモ
出典:日本公証人連合会「遺言」の「3 公正証書遺言の作成」Q3(2026年9月18日確認)。親の財産の全体像がつかめていない場合は、親の財産を把握する方法と注意点で財産の洗い出し方を確認してから公証役場へ相談すると、打ち合わせが進めやすくなります。
公正証書遺言の作成の流れ――相談から当日の電子サインまで
公正証書遺言は、公証役場への相談、財産や分け方のメモと必要書類の提出、公証人による案の作成と修正、作成日時の確定、当日の手続きという流れで作成します。日本公証人連合会が示している手順を5段階に整理しました。
- 公証役場へ相談・依頼する:弁護士・司法書士や銀行などを通さず、遺言者本人や親族が直接、公証役場に電話・メール・来訪で相談することもできます。相談は無料です。
- 相続内容のメモと必要書類を提出する:どの財産を誰にどのような割合で引き継ぎたいかを書いたメモと、必要書類をメール・ファックス・郵送・持参で提出します。
- 公証人が遺言公正証書の案を作成し、修正する:公証人がメモと資料をもとに案を作り、遺言者が確認して修正したい箇所を伝えると、公証人が修正して案を確定します。
- 作成日時を決める:公証役場へ行く日時、または公証人が自宅・病院などへ出張する日時を決めます。
- 当日に作成する:遺言者が証人2人の前で遺言の内容を改めて公証人に口頭で告げ、公証人が読み聞かせまたは閲覧で内容を確認してもらいます。間違いがなければ遺言者と証人2人が原本となる電子データに電子サインをし、公証人が電子サインと電子署名をして完成します。遺言者が真意を述べやすいよう、利害関係人は席を外す運用です。
完成した遺言公正証書の原本は公証人側で保管され、遺言者には従来の正本・謄本に相当する電子データまたは書面が交付されます。2025年の公正証書の電子化にともない、従来の「署名・押印」は電子サインに置き換わっています(日本公証人連合会「遺言」の「3 公正証書遺言の作成」Q4・Q7、2026年9月18日確認)。
公証役場は遺言の方式と内容を法律面から確認しますが、遺産の分け方そのものを決めるのは遺言者です。遺留分への配慮や相続税の見通しなど個別の判断が必要な場合は、弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。相続が始まった後の手続き全体は、親が亡くなったら最初にすることで順番を確認できます。
遺言執行者と遺留分――知っておきたい基礎知識
遺言書をつくる前に押さえておきたいのが、遺言の内容を実現する「遺言執行者」と、一定の相続人に保障された最低限の取り分である「遺留分」という2つの仕組みです。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う役割を担う人のことです。相続財産の管理・引き渡し、各種名義変更手続きなどを担います。遺言書のなかで遺言執行者を指定しておくと、相続開始後の手続きが円滑になることがあります(民法第1006条)。
遺言執行者には、信頼できる個人(相続人や親族など)を指定することも、弁護士・司法書士などの専門家に依頼することも可能です。誰が適切かは個別の状況によって異なりますので、専門家にご相談ください。
遺留分とは
遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人(配偶者・子・直系尊属)に民法上保障された最低限の遺産取得分のことです。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、遺留分を持つ相続人は、財産を多く受け取った人に対して遺留分侵害額に相当する金銭を請求できます(ただし、請求するかどうかは相続人の任意です)。
遺留分の割合は相続人の構成によって異なります。遺言書の内容が遺留分を侵害していないかどうかの確認も、作成段階で専門家に相談しておくと安心です。
相続に関わる手続きは複雑なものも多く、遺言書だけで完結するわけではありません。相続全体の流れに不安がある場合は、弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。
遺言書と並行して整えたい「想いを伝える記録」
遺言書は財産の行方を法的な効力をもって伝える書類であり、「なぜこの分け方にしたのか」「家族への感謝」といった想いは、人生振り返りノートやエンディングノートで補うと伝わりやすくなります。
そこで活用していただきたいのが、人生振り返りノートという方法です。生前整理普及協会の5つのメソッドのひとつで、自分の出生から現在までの歩みをエピソードを交えながら書き留めていくものです。好きなもの・大切にしてきたこと・家族への感謝の言葉——こうした「心の記録」は、形式的な遺言書だけでは伝えきれない想いを家族に届ける手段になります。
また、エンディングノートも活用の選択肢のひとつです。ただし、エンディングノートは法的な効力を持ちませんので、遺産の分け方に関わる内容は遺言書で正式に残すことが大切です。エンディングノートと遺言書の違いや書き始め方については、エンディングノートとは?書く項目・遺言書との違いをご参照ください。
遺言書という「法律の言葉」と、人生振り返りノートという「心の言葉」。この両方が揃ってこそ、家族への想いが完全に伝わるのではないでしょうか。元気なうちに少しずつ整えていくことで、自分自身の気持ちも整理されていきます。
生前整理全般の進め方に迷っている方は、生前整理チェックリストもあわせてご活用ください。
遺言書の作成と合わせて検討したいのが、財産をどのように引き継ぐかという設計全体です。生前贈与の基本と活用法では、遺言と並行して利用できる選択肢を解説しています。
公正証書遺言についてよくある質問
公正証書遺言の費用・証人・検認について、検索でよく調べられている疑問に、日本公証人連合会の説明と民法の条文をもとにお答えします。
Q. 公正証書遺言の手数料はいつから変わりましたか?
A. 公正証書遺言の公証人手数料は、2025年(令和7年)10月1日に改定されました。2025年10月1日以降に嘱託した公正証書遺言には改定後の別表と遺言加算1万3,000円が適用され、2025年9月30日までに嘱託した分は改定前の額によります(e-Gov法令検索「公証人手数料令」附則)。
Q. 公正証書遺言の証人に家族はなれますか?
A. 推定相続人(将来相続人になる予定の人)や財産を受け取る受遺者、その配偶者と直系血族は、公正証書遺言の証人になれません(民法第974条)。未成年者も証人になれません。適当な証人が見つからない場合は、公証役場で紹介を受けることもできます。
Q. 公正証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ですか?
A. 公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です(民法第1004条第2項)。一方、法務局に預けていない自筆証書遺言と秘密証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
Q. 親が公正証書遺言を作ったか分からないときは、どう調べますか?
A. 平成元年以降に作成された公正証書遺言は、遺言者が亡くなった後、相続人等が全国の公証役場で遺言検索を申し出ると、有無と保管している公証役場を調べられます。遺言検索の申出は無料で、遺言者の死亡が分かる除籍謄本等、相続人であることが分かる戸籍謄本、申出人の本人確認書類が必要です(日本公証人連合会「遺言」の「7 遺言の検索、謄本の請求及び保存期間」Q1)。
まとめ――家族のために、まず「知る」ことから
遺言書には、自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類があり、それぞれに特徴と手続きの違いがあります。2020年からは法務局の自筆証書遺言書保管制度(手数料3,900円)も始まり、保管面での安心感が増しました。公正証書遺言の公証人手数料は公証人手数料令の別表で決まり、2025年10月1日に改定されています。
大切なのは、「完璧な遺言書を一人で書こう」とがんばるより、専門家のサポートを得ながら確実に形にしていくことです。公証人への相談は無料で、弁護士・司法書士・公証人・行政書士といった専門家は、遺言書の形式チェックから公証役場での手続き支援まで、さまざまな段階でサポートしてくれます。
また、遺言書と並行して、人生振り返りノートやエンディングノートで家族への想いを言葉にしておくことも、残された家族にとって何より大きな贈り物になります。「今日が一番若い」という言葉のとおり、整理を始めるのに早すぎることはありません。
まずは制度を知り、信頼できる専門家に相談する——その一歩を踏み出すことで、ご自身と家族の未来を守ることにつながります。遺言書の作成・内容に関しては、必ず弁護士・司法書士・公証人等の専門家にご相談ください。
次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
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※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。
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