デジタル遺品整理の料金相場と業者の選び方

デジタル遺品整理を業者に依頼した場合の料金は、2万〜15万円程度が目安です。端末の台数と作業範囲で大きく変わり、サブスクの解約やSNSの削除申請は自分で進められる部分も多く残ります。この記事では料金が動く要因、自分でやる・一部だけ頼む・全部頼むの比較、業者選びで確認する3点を整理します。
デジタル遺品整理の料金は2万〜15万円程度が目安
デジタル遺品整理を専門業者に依頼した場合の費用は、2万〜15万円程度が目安です。金額の幅が大きいのは、作業が「端末のロック解除」「アカウントの調査」「サブスクの解約代行」「データの消去」という性質の違う工程の組み合わせで決まるためです。見積もりを比べるときは、次の4つの要因を業者に伝えたうえで金額を出してもらうと、他社と横並びで比較できます。
- 端末の台数と種類:スマートフォン・パソコン・タブレットの台数。台数分の作業が積み上がります
- ロック解除の要否:ロック解除専門の作業には、パスコードを解除する方式と、記憶媒体からデータを復旧する方式があり、料金は業者と作業内容で大きく異なります
- 調査の範囲:ネット銀行・ネット証券・暗号資産まで洗い出すのか、サブスクの特定だけかで工数が変わります
- データ消去と報告書:消去後に作業報告書を発行するかどうか。報告書の有無は金額と信頼性の両方に効きます
物としての遺品整理とデジタル遺品整理は別料金で見積もられるのが一般的です。家財の片付けを含めた総額の考え方は遺品整理の費用相場と見積もりの読み方で解説しています。
自分でやる・一部だけ頼む・全部頼むを3つの軸で比べる
デジタル遺品の整理は、全部を業者に任せるか自分でやるかの二択ではありません。サブスクの解約やSNSの削除申請は遺族が公式窓口から進められる一方、ロック解除は個人では手が出ません。費用・所要時間・向くケースで並べると、どこまで自分でやるかを決めやすくなります。
進め方 | 費用 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
すべて自分で進める | 実費のみ | 端末のロックが解除できている/契約先の見当がつく | 金融機関ごとに書類が異なり、手続きに時間がかかる |
ロック解除だけ依頼する | 作業内容により変動 | 端末が開けず、中の情報が分からない | 相続人全員の合意を得てから依頼する |
調査から解約まで一括依頼 | 2万〜15万円程度 | 遠方に住んでいる/期限が迫っている | 作業範囲と報告書の有無を契約前に確認する |
整理そのものの具体的な手順はデジタル遺品整理の進め方で、死後の手続き全体の順番は親が亡くなったらやること・手続きチェックリストで確認できます。
業者に頼む前に、費用をかけずに進められる3つの作業
業者へ支払う金額は作業量で決まるため、遺族が自力で進められる範囲を先に片付けておくと総額が下がります。次の3つは公式窓口から手続きできるため、依頼前に着手する価値があります。
- サブスクの洗い出しと解約:故人のクレジットカードや銀行口座の明細を1年分さかのぼり、月次・年次で引き落とされているサービス名を書き出します。各サービスの解約窓口に相続人であることを伝えると、死亡診断書の写しや相続人の本人確認書類の提出を求められる場合があります
- SNSアカウントの処理:FacebookとInstagramには、プロフィールを保護したまま残す追悼アカウントの機能があり、公式フォームから申請します。X(旧Twitter)とLINEには追悼機能がなく、削除申請のみの対応です。故人のパスワードでログインする方法は利用規約に反するおそれがあります
- 携帯電話の契約解約:各キャリアは契約確認と解約には応じますが、端末のロック解除やデータの取り出し支援は対応範囲外がほとんどです。料金の発生を止める意味で、解約だけ先に進めておくと安心です
国民生活センターは2024年11月、スマートフォンのロックが解除できずサブスクを止められない、ネット銀行の相続手続きが複雑といった相談事例を公表しています(出典:国民生活センター「亡くなった人のスマホやデジタル遺品」、同センター公表資料/2026年9月2日確認)。
整理の手順を詳しく知りたい方へ——モノ→心→情報の3段階で進める
デジタル遺品の整理は、端末やデータという「モノ」から始め、写真などの「心」を整え、最後に口座や契約といった「情報」に進む順番だと、実際に手が止まりにくくなります。生前整理で使われる「モノの整理→心の整理→情報の整理」という考え方は、デジタル遺品にもそのまま当てはまり、情報から先に手をつけようとするとパスワードや契約先が分からず作業が止まりがちです。ここでは自分で進める場合の具体的な手順を、業者に頼む前の下準備として紹介します。
第1段階:デバイスとアプリを一覧に書き出す
スマートフォン・パソコン・タブレットなど、故人が持っていた端末とインストールされていたアプリを一覧に書き出すだけで、残りの作業量が見える形になります。端末は形があるため、物の整理と同じ感覚で「どれがあって、どれが必要か」を把握することから始められます。「何を持っているか」が分かっていれば、後の段階で「何を止めるか・誰に伝えるか」の判断が格段に楽になります。
第2段階:写真は「ベストショットアルバム」で30〜50枚に絞る
スマホやクラウドに数千枚の写真が残っているケースは多く、遺族が途方に暮れる原因のひとつです。全部を見返そうとせず、次の手順で「これだけは残したい」写真を先に確保すると、気持ちの整理が進みます。
- お気に入りフォルダを作る:残したい写真を30〜50枚選んでフォルダにまとめる。アプリの「お気に入り」機能を使っても構わない
- 日付・場所・一緒に写っている人をメモに残す:本人にしか分からない情報を、写真アプリのキャプション機能やメモアプリで簡単に書き添える
- 遺影候補を1枚選び目印をつけておく:「最近の気に入っている写真」を1枚選び「★」などで分かるようにしておくと、家族が「写真がない」と困る場面を防げる
- 信頼できる家族1人に共有フォルダの場所を伝える:GoogleフォトやiCloud共有アルバムを使うと、複数人で見返しやすい
写真の価値は枚数ではなく、誰かと一緒に語り合えるかにあります。数千枚に埋もれた1枚より、30枚のお気に入りフォルダの方が遺族にとって大切な贈り物になります。
第3段階:4つに仕分けてから、口座・契約の情報整理に進む
アプリ・クラウドサービス・SNSアカウントは、「いる」「いらない」「迷い」「移動」の4つに仕分けると、何を止めて何を残すかの判断がしやすくなります。
- いる:今も使っているアプリ・データ・アカウント
- いらない:使っておらず今後も使う予定がないもの。ただしすぐに削除せず、バックアップを取ってから半年ほど様子を見て判断する
- 迷い:8秒考えて決められないものは「迷いフォルダ」に入れ、半年後に判断する期限を決めておく
- 移動:クラウドや外付けドライブへ移し、端末を軽くするだけのもの
アプリ一覧・クラウドサービス一覧はスマートフォンの設定画面から確認できます。月額課金しているものを一覧でチェックする習慣をつけると、不要な契約に自然と気づけます。
ネット銀行・ネット証券・電子マネーの相続手続き
口座の存在に気づくことが最初のハードルです。メール受信箱・インストールされているアプリ・カードの明細からサービス名を洗い出し、判明した口座は各金融機関の相続手続き窓口へ申し出ます。一般に除籍謄本・戸籍謄本・印鑑証明書の提出が求められ、審査を経て解約・払い戻しが進みます。ネット証券も同様に証券会社の相続窓口へ、電子マネー(PayPay・楽天ペイなど)も各サービスの相続手続きページから進めます。個別の判断は各金融機関の窓口へ、法的な判断は司法書士・弁護士にご相談ください。
スマホ・パソコンが開けない場合の対処
各携帯キャリアは契約確認・解約手続きには応じますが、端末ロックの解除やデータへのアクセス支援は対応範囲外がほとんどです。まず契約確認と解約だけでも先に進めておくと安心です。ロック解除の専門業者には、パスコードを解除する方式と、記憶媒体からデータを復旧する方式の2種類があり、料金は業者と作業内容で大きく異なるため複数社の見積もりを比較してください。相続人以外が端末にアクセスする行為は不正アクセス禁止法の観点から問題になり得ますし、相続人であっても他の相続人全員の合意がないままのロック解除・閲覧は法的にグレーゾーンです。違法な方法は避け、判断に迷う場面は弁護士・司法書士にご相談ください。
急いで整理する必要がある場合の順番
老人ホームへの入居や相続手続きの期限が迫っているなど急いで整理が必要な場合は、端末とサービスを一覧化する、写真・動画だけ先にクラウドまたは外付けドライブへ全量バックアップする、SNS・サブスク・金融の解約を並行して進める、作業が難しい部分は業者に依頼して報告書を受け取る、という順番が現場では最速のルートとされています。「写真データを失ってから後悔した」という声から生まれた順番で、遠回りに見えてもバックアップを先に取ることが、結果的に最も安全な進め方です。デジタル遺品は形が見えないだけに、「確認できているもの」と「まだ確認できていないもの」を区別することが整理の第一歩になります。
業者選びで確認する3点と、依頼する前に整えておく条件
デジタル遺品整理の業者を選ぶときは、金額より先に作業の透明性を確認します。作業の中身が外から見えにくい分野のため、次の3点を満たす業者に絞り、3社以上から相見積もりを取ってください。
- 遺品整理士などの資格と実績が確認できるか:会社概要と実績の開示があるかを見ます
- データ消去後に作業報告書を発行するか:何をどこまで消したのかが書面で残る形にします
- 見積もりが項目別に明示されているか:「一式」だけの見積書は、作業後の追加請求のもとになります
依頼する前に整えておきたいのが、相続人の合意です。相続人以外が故人の端末にアクセスする行為は不正アクセス禁止法の観点から問題になり得ますし、相続人であっても他の相続人の合意がないまま端末を開いて中身を見る行為は、法的な位置づけが明確ではありません。誰の依頼で何をどこまで行うのかを相続人間で確認したうえで発注し、判断に迷う場面は弁護士・司法書士へご相談ください。ネット銀行やネット証券の解約は、業者ではなく各金融機関の相続手続き窓口が窓口になります。
本人が生前に設定しておけば、依頼費用そのものが不要になる
デジタル遺品の費用が膨らむ最大の原因は、遺族が「何があるか分からない」状態から調査を始めることです。本人が元気なうちに次の2つを設定しておくと、遺族が業者へ調査を依頼する必要そのものが小さくなります。
- スマートフォンの死後アクセス機能:iPhoneには指定した相手にアクセスを許可するデジタル遺産連絡先(Legacy Contact)、Googleアカウントには一定期間の未使用で指定先に通知するアカウント無効化管理ツールがあります。設定はいずれも数分で終わります
- 利用サービスの一覧化:サービス名・問い合わせ先・保管場所だけを書き出します。パスワードそのものは書き残さず、パスワード管理アプリで一元管理し、家族には「管理アプリを使っていること」と端末の場所だけを伝えます
この2つが済んでいれば、遺族の作業はサブスクの解約とアカウントの削除申請が中心になり、ロック解除の依頼費用は発生しません。
よくある質問
デジタル遺品整理の料金に相場表がないのはなぜですか
作業が端末の台数・ロックの有無・調査範囲の組み合わせで決まり、同じ「1台」でも工数が数倍変わるためです。金額を比べるときは、作業範囲を文書で揃えたうえで複数社に見積もりを依頼してください。
ロック解除だけを業者に頼むことはできますか
ロック解除のみを受ける業者もあります。依頼前に相続人全員の合意を得ておくこと、解除の成否にかかわらず費用が発生するのかを確認しておくことが要点です。
故人のサブスクは解約するまで請求され続けますか
自動更新のサービスは解約手続きをしない限り請求が続きます。カード明細と銀行口座の引き落としを1年分さかのぼり、サービス名を洗い出したうえで各社の窓口へ申し出てください。
ネット銀行の口座は業者が解約してくれますか
金融機関の相続手続きは相続人が各社の相続窓口に申し出る必要があり、業者が代行できる範囲ではありません。一般に戸籍謄本・除籍謄本・印鑑証明書などの提出が求められます。
まとめ
- 業者に依頼した場合の料金は2万〜15万円程度。端末台数・ロック解除の要否・調査範囲・報告書の有無で動く
- サブスクの解約、SNSの削除申請、携帯の解約は遺族が自分で進められる。先に片付けると総額が下がる
- 業者は資格と実績・作業報告書・項目別見積もりの3点で絞り、3社以上を比較する
- 端末を開ける作業は、相続人の合意を確認してから依頼する
- 本人が生前に死後アクセス機能とサービス一覧を整えておけば、調査費用そのものが不要になる
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断の根拠となるものではありません。相続や端末へのアクセスに関する判断は弁護士・司法書士へ、口座の手続きは各金融機関の相続窓口へご相談ください。
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