空き家・実家の不動産

相続土地国庫帰属制度とは|費用・要件と売却との比較

相続土地国庫帰属制度とは|費用・要件と売

田舎の実家の土地を相続したものの使う予定がなく、固定資産税と草刈りだけが続いている方へ。土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の対象・使えない土地・費用・審査期間を、法務省の公表資料で整理しました。結論は、更地で境界が分かる土地向けの出口です。建物が残る実家は、売却や買取と比べてから選びましょう。

相続土地国庫帰属制度とは、相続した使い道のない土地を国に引き取ってもらう制度

相続土地国庫帰属制度は、相続や相続人への遺贈で取得した土地を、審査で承認を受け、負担金を納めることで国に帰属させる制度です。令和5年4月27日に始まりました(法務省「相続土地国庫帰属制度について」、確認日:2026年9月18日)。

売買で自ら買った土地は基本的に対象外です。共有の土地は共有者全員で申請し、制度開始前に相続した土地も対象になります。相続登記がまだの土地でも、戸籍などで相続による取得を示せば申請できます(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」同「Q&A」、確認日:2026年9月18日)。実家全体の判断は実家を相続したときの4つの選択肢で整理しています。

建物がある土地や境界が分からない土地は、相続土地国庫帰属制度を使えない

相続土地国庫帰属制度には、申請の段階で受け付けられない「却下要件」と、審査で認められない「不承認要件」の2段階があります。

申請の段階で却下される土地

  • 建物がある土地(登記がない建物でも、現に建っていれば申請できない)
  • 抵当権などの担保権や、賃借権などの使用収益権が設定されている土地(完済済みでも抵当権の登記が残れば申請できない)
  • 通路・墓地・境内地・ため池など、他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 境界が明らかでない土地、所有権の範囲などに争いがある土地

境界は測量までは求められず、申請者が示す境界に隣地の所有者との食い違いがないことが条件です。

審査で不承認になる土地

  • 勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、管理に過分な費用がかかる土地
  • 廃屋や放置車両など、管理を妨げる物が地上にある土地
  • 建物の基礎、がれき、浄化槽、井戸など、除去が必要な物が地下にある土地
  • 隣地の所有者との争いを解決しないと管理できない土地、整備が必要な森林など

法務省の統計(令和8年8月31日現在の速報値)では、却下85件のうち最も多い理由は「添付書類の提出がなかった」37件、次いで「境界が明らかでない」23件でした。不承認100件では「地上に管理を妨げる物がある」46件が最多です(法務省「引き取ることができない土地の要件」同「相続土地国庫帰属制度の統計」、確認日:2026年9月18日)。実家じまいで言えば、残置物の片付けと、解体時に地中の基礎や浄化槽をどこまで撤去するかの確認が前提作業になります。

相続土地国庫帰属制度の費用は、審査手数料1筆14,000円と負担金20万円が基本

相続土地国庫帰属制度の費用は、申請時に納める審査手数料と、承認後に納める負担金の2つです。

  • 審査手数料:土地1筆あたり14,000円(収入印紙)。取下げ・却下・不承認でも返還されない
  • 負担金:20万円が基本。市街化区域などの宅地・農地と森林は、面積に応じて20万円以上になる

面積で算定する土地は法務省の算定式で計算します。市街化区域などの宅地は100㎡で548,000円・200㎡で793,000円、農用地区域の田畑は500㎡で723,000円・1,000㎡で1,128,000円、森林は1,500㎡で273,000円・3,000㎡で299,000円。

負担金は、通知が届いた日の翌日から30日以内に納めます。納付した時点で土地の所有権が国に移り、期限を過ぎると承認は失効します。隣り合う同じ種目の2筆以上は、1つの土地とみなす計算を申し出られます(法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」同リーフレット、確認日:2026年9月18日)。建物が残る土地では、別に解体費用が先にかかります。

相続土地国庫帰属制度の審査期間は、標準処理期間で8か月

相続土地国庫帰属制度の審査期間は、法務省のQ&Aで標準処理期間8か月とされ、事案によってはさらに長くかかります。

  1. 土地がある都道府県の法務局(本局)に予約して相談
  2. 承認申請書の提出と審査手数料の納付
  3. 書面調査・実地調査
  4. 承認と負担金の通知、30日以内に納付

法務局の相談は予約制で、対面・電話・ウェブ、1回30分です。相談での見解は承認の保証ではありません。申請書の作成代行ができるのは弁護士・司法書士・行政書士です。申請前には法務省の手引き「相続土地国庫帰属制度のご案内」も確認しましょう(法務省「相続土地国庫帰属制度の相談対応について」、確認日:2026年9月18日)。

相続土地国庫帰属制度が合わない土地は、売却・買取・寄附・相続放棄と比べて選ぶ

相続土地国庫帰属制度は、お金を払って土地を手放す出口です。法務省のQ&Aも、ほかに相続放棄、自治体などへの寄附、民間での売買・贈与、農地中間管理機構、森林経営管理制度を挙げています。

法務省の統計では、申請の取下げ1,139件のうち586件が「有効活用の見込みが生じた」ためで、隣接地の所有者から引き受けの申出があった例もあります。申請前に、売れる可能性や引き取り手を確かめておきましょう。

選択肢

お金の動き

向いている土地・状況

相続土地国庫帰属制度

手数料と負担金を払う(建物があれば解体費も)

更地で境界が分かり、担保や争いがない土地

仲介での売却

売れれば代金を受け取る

買い手が見込める立地

訳あり物件の買取

業者の提示額を受け取る

建物付き・境界が不明・共有など、仲介では売りにくい土地

自治体・隣地への寄附や贈与

費用は個別に確認

引き取り手がいる土地

相続放棄

土地以外の財産も受け取れない

すべての財産を手放してよい場合

相続放棄は、土地以外も含めて被相続人の権利や義務を一切受け継がない制度で、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述します(裁判所「相続の放棄の申述」、確認日:2026年9月18日)。相続放棄の3か月期限も参考にしてください。

買取の査定は複数社の金額と根拠を比べ、その場で契約せず、納得できなければ断って構いません。売却・解体・譲渡の進め方は空き家の処分方法まとめで比較しています。

自分の土地が相続土地国庫帰属制度の対象になるかは、法務局と専門家に確認する

個別の土地が相続土地国庫帰属制度で引き取られるかは、法務局の書面調査と実地調査で決まり、記事では判断できません。土地がある都道府県の法務局(本局)の予約相談に、登記事項証明書・公図・土地の写真を持参するとスムーズです。書類作成や相続全体は司法書士・弁護士に、税金は税理士にご相談ください。

まとめ

  • 相続土地国庫帰属制度は、相続や相続人への遺贈で取得した土地を、審査と負担金の納付で国に引き取ってもらう制度
  • 建物がある土地、担保が付いた土地、境界が不明な土地などは申請できない
  • 費用は審査手数料1筆14,000円と、20万円が基本の負担金。審査の標準処理期間は8か月
  • 申請前に売却・買取・寄附の可能性を確かめ、個別の判断は法務局と専門家に相談する

「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する

金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。

保有する場合

  • 課税明細の固定資産税・都市計画税
  • 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
  • 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
  • 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応

売却する場合

  • 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
  • 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
  • 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
  • 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認

まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

MUNICIPAL DATABASE

お住まいの市区町村の補助金情報を確認

全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。

※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。

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この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。