実家のブロック塀診断、いくらで、どこまで見てもらえる?

実家に古いブロック塀が残っていて、地震のたびになんとなく気になっている——そんな方は少なくありません。ご両親に代わって家の管理をする立場になると、なおさら気になるものです。この記事では、自分でできる点検の見方、建築基準法の基準、専門家に依頼した場合の診断内容・費用、撤去費用の目安、活用できる自治体の助成制度までをまとめてご紹介します。
実家のブロック塀、なぜ点検が必要なのか
2018年6月に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀の倒壊による被害があったことが、国土交通省など公的機関の資料でも確認されています。これをきっかけに、全国の自治体でブロック塀の安全点検や撤去の呼びかけが広がりました。
実家の塀は、建てられてから何十年も点検されないまま残っていることが珍しくありません。「今すぐ危険」というわけではなくても、まずは今の状態を確認しておくことが、ご家族の安心につながります。特に道路に面した塀は通行人の安全にも関わるため、実家に戻る機会があれば一度ぐるりと見て回っておくと安心です。
自分でできる確認 ― 高さ・傾き・ひび割れ・控え壁
専門家に依頼する前に、まずはご自身の目で確認できるポイントがあります。国土交通省が公開している「ブロック塀の点検のチェックポイント」では、次のような点を確認するよう案内されています(国土交通省)。
- 塀の高さが地面から2.2メートル以下になっているか
- 塀が傾いていないか、ぐらついていないか
- 目立つひび割れや、ずれが生じていないか
- 塀を支える「控え壁」が一定間隔で設けられているか
- 塀の基礎がコンクリートできちんと造られているか
これらはあくまで見た目でわかる範囲の目安です。塀の内部にある鉄筋の状態や基礎の深さまでは、外から見ただけでは判断がつきません。ご自身で確認した結果、少しでも気になる点があれば、無理に自己判断せず、後ほどご紹介する専門家への相談を検討してみてください。
建築基準法で定められている「塀の基準」を数字で見る
「控え壁がないから危険」「基礎が浅そうだから違反」——見た目だけで判断すると、こうした思い込みをしてしまうことがあります。実際の基準は建築基準法施行令第62条の8に定められており、国土交通省の通知でも整理されています(国土交通省)。補強コンクリートブロック造の塀の主な基準は次のとおりです。
- 高さ:2.2メートル以下
- 厚さ:10センチメートル以上(高さ2メートルを超え2.2メートル以下の場合は15センチメートル以上)
- 控え壁:高さ1.2メートルを超える塀に、長さ3.4メートル以下ごとに、塀の高さの5分の1以上突き出したものを設置
- 鉄筋:直径9ミリメートル以上のものを、縦横80センチメートル以下の間隔で配置
- 基礎:丈35センチメートル以上、根入れの深さ30センチメートル以上
ここで知っておいていただきたいのが、控え壁の規定と基礎の根入れ深さの規定は、高さ1.2メートル以下の塀には適用されないという点です。つまり、実家の塀に控え壁が見当たらなくても、高さが1.2メートル以下であれば、それだけで直ちに違反ということにはなりません。まずは自宅の塀の高さを測ってみることが、判断の第一歩になります。
れんが造・石積みなど「組積造」の塀は基準が別
実家の塀が、コンクリートブロックではなく、れんがや石を積んだ塀、あるいは鉄筋の入っていない古いブロック塀(組積造)である場合は、上記とは別の基準が用いられます。国土交通省のチェックポイントでは、組積造の塀について、高さ1.2メートル以下とし、控え壁は4メートル以下ごとに厚さの1.5倍以上突き出したものを設け、根入れの深さは20センチメートル以上とするよう示されています。建てられてから数十年が経つ実家の塀は、こうした組積造であるケースも珍しくありません。見た目だけではどちらの基準にあてはまる塀か判断しにくいこともあるため、迷ったときは専門家に確認してもらうと安心です。
専門家による診断でわかること ― ブロック塀診断士とは
「ブロック塀診断士」は、ブロック塀の構造や施工基準について専門的な知識を持つ資格者です。外観のチェックに加えて、鉄筋の有無や腐食の状態、基礎の根入れ深さなど、自分では確認しづらい部分まで含めて診断してもらえるのが、自己点検との大きな違いです。診断結果は書面としてまとめられることが多く、その後の撤去や補強を検討する際の判断材料になります。
今回、こうした診断を実際に手がけている専門家に取材協力をお願いしました。
取材協力:エクステリア オオシマ(東京都東大和市)
1992年設立の外構工事専門会社。代表の大島好明氏は、ブロック塀診断士・1級ブロック建築技能士の資格を持ち、令和3年度東京都優秀技能者知事賞(東京マイスター)を受賞。一般社団法人首都圏エクステリア協会の理事も務めています。ブロック塀診断は基本診断料15,000円(税抜)から対応し、診断書の郵送や、自治体の助成金制度の申請方法についてのご相談にも応じています。(公式サイト:エクステリア オオシマ)
ブロック塀の点検を考えているご家族へ、診断士として何を伝えたいか。大島氏に伺いました。
「ブロック塀は、外見上は問題がないように見えても、内部の劣化や基礎の状態など、専門家でなければ判断が難しい場合があります。
少しでも気になることがございましたら、早めに専門家へご相談いただき、まずは一度点検されることをおすすめします。ご家族や通行される方の安全のためにも、日頃からブロック塀の状態を確認しておくことが大切です。」
外から見て問題がなさそうでも、内部や基礎までは分からない。この記事の前半でお伝えしたセルフチェックは、あくまで「気づくため」のものであり、安全を判断するものではありません。気になる点が一つでもあれば、専門家の目を入れることが、結果としてご家族の安心につながります。
気になる費用の目安
診断費用は、塀の長さや現地までの距離、依頼する会社によって幅があり、一律にいくらとは言い切れません。一つの目安として、先ほどご紹介したエクステリア オオシマでは、ブロック塀診断の基本診断料が15,000円(税抜)から対応しています。診断後に撤去や補強工事まで依頼する場合は、塀の状態や工事範囲によって別途費用がかかるため、診断の段階で工事まで含めた見積もりの考え方を確認しておくと、その後の判断がしやすくなります。まずは複数社に相談し、診断内容と費用の内訳を確認したうえで、ご家族で検討することをおすすめします。
撤去することになったら、費用の相場はどれくらいか
診断の結果、撤去を検討することになった場合に気になるのが撤去費用です。ブロック塀の撤去には行政が定めた公的な料金基準はなく、あくまで解体業者や比較サイトが公開している情報をもとにした目安になりますが、1メートルあたりおよそ3,000〜15,000円、1平方メートルあたりおよそ2,500〜15,000円という幅で紹介されていることが多いようです(ハウジングバザール、解体の窓口 費用相場ガイドより)。塀の厚み・鉄筋の有無・重機の搬入経路・処分費など、複数の要因で金額が大きく変わります。この幅はあくまで参考情報として捉え、実際の金額は現地を見てもらったうえで見積もりを取ることをおすすめします。
撤去費用の助成金は自治体ごとに異なる
危険なブロック塀の撤去費用について、助成制度を設けている自治体は全国に多くあります。ただし、対象となる塀の条件や助成額、申請の手順は自治体ごとに大きく異なり、年度によって内容が変わることもあります。実際にいくつかの自治体の制度を見てみましょう。
- 川崎市:見付面積×6,250円/平方メートルと30万円のいずれか低い方を上限に助成。対象は道路や公園に面し、安全性が確認できない高さ1.2メートル超の塀(川崎市公式サイト)
- 大阪市:撤去は上限15万円。撤去したうえで新設する場合は、新設費用も別枠で上限25万円まで補助。対象は道路等に面し、安全性が確認できない高さ80センチメートル以上の塀(大阪市公式サイト)
- 杉並区:撤去のみ、または撤去して新設する場合とも上限50万円(通学路や避難路に面する場合は上限100万円)。対象は幅員4メートル以上の道路に面する高さ80センチメートル以上の塀(杉並区公式サイト)
このように、上限額も対象となる塀の条件も自治体によって大きく異なります。共通しているのは、多くの制度で「工事の契約前・着工前に申請すること」が条件になっている点です。先に業者と契約してから制度を知った場合、対象外になってしまうことが少なくありません。診断や見積もりを依頼する前に、お住まいの実家がある自治体に制度があるかどうかを確認しておくことが欠かせません。
当サイトでは、全国1,726市区町村の空き家・解体関連の補助金情報をまとめています。お住まいの地域の補助金を調べるページから、実家がある自治体の制度を確認してみてください。塀の撤去だけでなく、実家全体の解体を検討している場合は空き家解体補助金の解説もあわせてご覧ください。最新の条件は、窓口となる自治体の担当課に直接確認するのが確実です。
診断士に頼む場合と、自治体の無料相談との違い
「有料の診断士に頼むべきか、まずは自治体に相談すべきか」で迷う方も多いようです。自治体によっては、危険性の疑いがある塀について、建築士による無料の点検・相談窓口や、専門家の派遣制度を用意していることがあります。まずはお住まいの自治体の窓口に問い合わせてみるのも一つの方法です。
一方で、無料相談は外観の確認や一般的なアドバイスにとどまることが多く、鉄筋の状態や基礎の内部まで踏み込んだ診断は、有料でも専門の診断士に依頼したほうが詳しく分かる場合があります。撤去や補強の判断材料をしっかり残しておきたい場合は診断士へ、まずは大まかな状況を知りたい場合は自治体の窓口へ、というように、目的に応じて使い分けを検討してみてください。
撤去したあと、塀はどうする?
ブロック塀を撤去したあと、敷地の境界や目隠し、防犯の観点から、何らかの仕切りを設けたいと考える方も多いようです。よく選ばれる選択肢としては、軽量なフェンスに置き換える方法、生垣や植栽で緩やかに区切る方法、あるいはあえて仕切りを設けずオープンな外構にする方法などがあります。それぞれ費用や管理の手間、見た目の印象が異なるため、撤去の見積もりを取る段階で、あわせて相談しておくと、その後の計画が立てやすくなります。
よくある質問
Q. 自分で見て問題なさそうでも、診断してもらったほうがいいですか?
外から見て問題がなさそうでも、内部の鉄筋や基礎の状態までは判断できません。建てられてから数十年が経つ塀や、道路に面した塀は、一度専門家に見てもらうと安心です。
Q. 隣の家との境界にある塀は、勝手に撤去してもいいですか?
境界上の塀は、双方の所有物である場合や、どちらか一方の所有である場合など、状況によって異なります。トラブルを避けるためにも、撤去や補強を検討する際は事前に隣家と話し合い、判断に迷う場合は弁護士や土地家屋調査士などの専門家にご相談ください。
Q. 実家が空き家の場合でも、助成金は使えますか?
自治体によって対象条件は異なりますが、所有者であれば申請できる制度が多く、空き家であることを理由に一律で対象外になるとは限りません。お住まいの自治体の窓口に、実家の状況を伝えたうえで確認してみてください。
Q. 診断を受けたら、必ず撤去や補強をしなければなりませんか?
診断はあくまで現状を知るためのものです。診断結果をふまえて、撤去するか、補強して様子を見るか、ご家族で相談しながら判断していただければと思います。
Q. 助成金の申請は、いつまでに済ませればいいですか?
多くの自治体で、工事の契約前・着工前の申請が条件になっています。先に工事を発注してしまうと対象外になることがあるため、業者に見積もりを依頼する段階で、自治体の制度と申請のタイミングをあわせて確認しておくことをおすすめします。
まとめ ― まずは目で見える範囲の確認から
実家のブロック塀は、日々の暮らしの中では見過ごされがちですが、一度気になり始めると放っておきにくいものです。まずはご自身で高さや傾き、ひび割れなどを確認し、気になる点があれば専門家に診断を依頼するという流れで、無理のないペースで進めてみてください。撤去を検討する段階になったら、費用の相場を把握したうえで、お住まいの自治体に助成制度がないか調べてみることをおすすめします。診断や撤去は、実家じまい全体の中の一つのステップにすぎません。実家全体の片づけや管理については実家じまいの完全ガイドもあわせてご覧いただき、ブロック塀以外の課題もあわせて整理していきましょう。
「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する
金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。
保有する場合
- 課税明細の固定資産税・都市計画税
- 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
- 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
- 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応
売却する場合
- 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
- 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
- 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
- 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認
まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。
売却も選択肢に含めていますか?
査定広告は、売却価格を確認したい方だけに表示します。
次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。
MUNICIPAL DATABASE
お住まいの市区町村の補助金情報を確認
全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。
※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。


