エンディングノートを無料で手に入れる方法と書き方|遺言書との違いも解説

「エンディングノートを書いてみたいけれど、どこで手に入れればいいの?何を書けばいいの?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。この記事では、無料で入手できる4つの方法・最初に書く3項目・書いたあとの保管と家族共有のコツに加え、「なぜ9割の人が書き上げられないのか」という本質的な理由と、心の準備ができてから自然に書き始めるためのヒントを順番にお伝えします。
エンディングノートとは——遺言書とはまったく違うもの
エンディングノートとは、「自分の希望や大切な情報を家族に伝えるためのメモ書き」です。書き方や内容に法律上の決まりはなく、自由に書けて後から何度でも書き直せます。「完成させなければいけない」ものではなく、1項目だけ埋めても立派なエンディングノートです。
法務省・大阪法務局が作成した公式の資料にも、エンディングノートは法的効力がなく、自由に活用できる「自分の想いを伝えるためのもの」と明記されています(出典:法務省・大阪法務局「エンディングノート」)。気軽に書き始められる点が、最大の特長です。
遺言書との決定的な違い——法的効力がない
遺言書とエンディングノートは、しばしば混同されますが、まったく性格が異なります。エンディングノートには法的効力がありません。財産の分け方をエンディングノートに書いても、法律上は有効にならないため、遺言書の代わりにはなりません。
一方で、エンディングノートは「気軽に書ける・修正できる・自由に書ける」という強みがあります。決まった様式も不要で、ノートにもアプリにも書けます。「財産の分け方を法的に決めておきたい」場合は遺言書を、「自分の希望や情報を家族に伝えたい」場合はエンディングノートを——目的に応じて使い分けられますし、両方書いても構いません。なお、遺言書の作成には法律上の定めがあります。詳細は弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は専門家にご確認ください。
「遺言書との違いがわかって、気が楽になった」という声は、生前整理の現場でよく聞きます。エンディングノートは遺言書のような厳格さがないぶん、書き始めのハードルがずっと低いのです。終活そのものの全体像が気になる方は終活とは何か・何をすればよいか(全体像)もあわせてご覧ください。生前整理全般の始め方は生前整理のはじめかた(ステップ解説)もあわせてご覧ください。
「9割が書き上げられない」——その本当の理由
エンディングノートを持っていても、書き上げている人は約1割にとどまるという現実があります。「忙しくて後回しになった」「書こうとすると気が重くなった」という声が多く、それは意志の問題ではありません。生前整理の考え方では、この理由を「順番の問題」として捉えます。
情報の整理は「心が整ってから」入るもの
生前整理には3つの柱があります。「モノの整理」「心の整理」「情報の整理」です。この順番が大切で、エンディングノートは「情報の整理」にあたります。
元気でも「死ぬ時のこと」を考えるのは、誰でも少し怖いものです。心の準備ができていない状態でいきなりエンディングノートを広げると、筆が止まるのは当然のことです。生前整理の現場でよく見られるのは、身の回りのモノを少しずつ整えていくうちに、自分の歩みや価値観と向き合えるようになり、「そういえば、ノートに書いておきたいことがある」と自然に情報の整理へ進む流れです。エンディングノートが書けない方は、意志が弱いのではなく、ただ順番が逆だっただけかもしれません。
だからこそ、この記事では「1項目から書き始める」アプローチをお伝えします。全部を書き上げることを目標にせず、今日書けることだけ書く。「今日が一番若い」——その一歩が大切です。
エンディングノートを無料で入手する4つの方法
エンディングノートは、お金をかけなくても手に入ります。目的や状況に合わせて、最も試しやすい方法から始めてみてください。
最も充実している:自治体窓口での無料配布
多くの市区町村が、高齢福祉課・地域包括支援センター・情報プラザなどでエンディングノートを無料配布しています。申請条件は基本的になく、誰でも入手できます。内容も行政が監修しており、地域の相談窓口情報なども含まれているため、初めての方に特におすすめです。
たとえば福岡市では、令和7年度版の「マイエンディングノート」を区役所・情報プラザの窓口で無料配布しているほか、市のホームページからPDF版をダウンロードすることもできます(出典:福岡市「令和7年度 マイエンディングノートを配布しています」)。お住まいの市区町村の公式サイトで「エンディングノート」と検索するか、高齢福祉課の窓口に確認してみてください。
自宅で今すぐ:無料PDF・アプリでダウンロード
自治体の窓口に行く時間がない方には、無料のPDFやスマホアプリという選択肢があります。法務省・仙台法務局などの各地の法務局でもエンディングノートを無料で提供しており、ダウンロードして手元で活用できます。
Excelテンプレートとして無料配布されているものもあり、「エンディングノート 無料 Excel」と検索すると複数見つかります。スマホアプリ型は、外出先で少しずつ書き足せる点が便利です。
100均・書店で手軽に
ダイソーなどの100均でも、エンディングノート専用の冊子が100〜200円程度で販売されています。紙に手書きしたい方には冊子タイプが書き心地の面で向いています。書き込む項目数やデザインで選ぶのもよいでしょう。
当サイトの無料ガイド(書き方解説つき)
「どう書けばいいかわからない」という方には、メールアドレスの登録だけで「生前整理完全ガイドブック」のPDFを無料でお届けしています。エンディングノートの書き方・財産一覧テンプレート・専門家への相談窓口マップを収録しており、ノートを手に入れた後の「書き始め方」も一緒に確認できます。無料ガイドでエンディングノートの書き方を確認する。
エンディングノートに書く項目——最初は3つだけでいい
「書く項目が多すぎて途中で止まった」という声をよく聞きます。エンディングノートの項目は10〜15種類あることが多いですが、最初からすべて埋める必要はありません。まず次の3項目だけ書けば、立派なスタートです。
- 自分の基本情報・家族への連絡先
名前・生年月日・住所・家族の連絡先。1ページ目に書くだけで、いざというとき家族が動き始める手がかりになります。 - 財産・書類の保管場所
通帳・保険証券・年金書類などが「どの引き出しのどのファイル」にあるかを一行メモするだけで十分です。金融機関名やサービス名を書いておくと、家族が探す手間が大幅に減ります。金額の記載は不要です。なお、暗証番号やパスワードそのものはセキュリティ上の観点からノートには残さないでください。「銀行名のみ」「通帳の保管場所のみ」を書き、パスワード類はパスワード管理アプリで管理し、そのアプリ名と場所だけを家族に伝えておく方法が安心です。口座番号の詳細をノートに書く必要もありません。 - 医療・介護の希望
延命治療・かかりつけ医・介護に関する自分の希望を一言メモします。厚生労働省は、自分の医療・ケアの希望を前もって家族や医療チームと話し合う「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」を推進しており、エンディングノートはその記録として活用できます(出典:厚生労働省「人生会議してみませんか」)。延命治療の具体的な内容については医師などの専門家にご相談ください。
この3項目を書き終えたら、余裕が出てきたときに追加していきましょう。葬儀・お墓の希望、家族へのメッセージ、デジタルサービスの一覧(使っているサービス名の書き出し)、専門家の連絡先なども、ノートに加えておくと家族の助けになります。
書く項目の一覧テンプレートは、終活・生前整理チェックリスト(無料)でも確認できます。
PII(個人情報)保護——ノートに書いてはいけないもの
エンディングノートは「情報を伝えるためのもの」ですが、書いてはいけない情報があります。ノートは金庫に入れていない限り、家族以外の目に触れる可能性があります。次のものは絶対に書かないでください。
- 銀行口座の暗証番号・キャッシュカードのPIN
- ネットバンク・証券口座のログインパスワード
- クレジットカードのセキュリティコード
- SNS・メールアカウントのパスワード
これらは「書くな」ではなく「別の場所で管理する」が正解です。パスワード管理アプリ(1Passwordなど)を使い、「アプリ名」と「マスターパスワードの保管場所(例:〇〇の封筒の中)」だけをエンディングノートに書いておく方法が、セキュリティと利便性のバランスが取れています。国民生活センターも、スマホのロック解除方法や利用サービスの一覧を家族に伝えておくことを「デジタル終活」として推奨しています(出典:国民生活センター「デジタル終活」2024年11月)。
エンディングノートに書く情報は「存在を知らせるための案内図」と考えてください。詳細な数値やパスワードは書かなくても、家族が探し始める手がかりとして十分機能します。
「人生振り返りノート」——エンディングノートを書く前の心の準備
「エンディングノートを書こうとすると気が重くなる」という方に、生前整理の現場でよくおすすめしているのが「人生振り返りノート」のアプローチです。これはエンディングノートの代わりではなく、心の整理を先に行うことで、情報の整理(エンディングノート)が自然に書けるようになるための準備です。
出生から現在へ——時系列で自分の歩みを書く
人生振り返りノートは、次の順番で書き進めます。難しく考えなくて大丈夫です。思い出したことを箇条書きで書くだけで構いません。
- 出生・幼少期:生まれた場所・子どもの頃の遊び・家族の雰囲気
- 学生時代:好きだった科目・仲が良かった友人・青春の思い出
- 仕事・社会人時代:最初の職場・転機になった出来事・努力したこと
- 家族との時間:結婚・子育て・子どもの名前の由来・家族で過ごした特別な日
- 現在の自分(Favorite List):好きな食べ物・趣味・最近うれしかったこと
写真を見ながら書き進めると、言葉が自然に出てきやすくなります。古いアルバムを手元に置いて、「この写真はどこで撮ったっけ」と思い出しながら書く方法が、心の整理になりやすいと言われています。
「現在の自分」を書くことの意味
人生振り返りノートの中でも、特に大切なのが最後の「現在の自分(Favorite List)」です。好きな食べ物、好きな音楽、最近行って良かった場所、今大切にしていること——こうした「今の自分の好き」を書き出すことが、自分の価値観を可視化するステップになります。
生前整理の現場でよく見られるのは、「自分の好きがわからない」という方のパターンが2つあることです。一つは仕事に忙殺されてきた方、もう一つは長年家族のために生きてきて、自分の好みを後回しにしてきた方です。「現在の自分」を書くことで、「私はこんなことが好きだったんだ」と気づく体験が、エンディングノートの「家族へのメッセージ」欄を自然に埋められるきっかけになります。
まずはノート1ページを「現在の自分の好きなもの10個」で埋めることから始めてみてください。それだけで、立派な心の整理の第一歩です。
書いたあとに意識したい3つのこと——保管・更新・家族共有
エンディングノートは書いて終わりではありません。書いた後の3点を意識するだけで、ノートは何倍にも活きます。
保管場所は「家族が見つけられる場所」に
書き上げたエンディングノートは、信頼できる家族が見つけられる場所に保管できると安心です。金庫・書棚・引き出しなど、場所は何でも構いません。ただし「どこにあるか」を少なくとも1人の家族に伝えておくことが大切です。気づかれない場所に保管すると、いざというときに見つけてもらえません。
デジタル版(アプリ・クラウド保存)の場合は、アクセス方法を家族に共有しておく必要があります。
1年に1回は見直す(更新習慣)
家族構成・住所・財産の状況は年々変わります。エンディングノートは「完成形」ではなく「生きているメモ」です。誕生日・年末年始など決まったタイミングで年1回見直す習慣をつけると、無理なく続けられます。いつから終活を始めるか迷っている方は終活はいつから始めるべきか——年代別の目安も参考にしてみてください。
「書いた」を家族に伝える
どこにしまったかを伝えていなければ、どんなに丁寧に書いたノートも役に立ちません。「エンディングノートを書いたよ、〇〇の引き出しにあるよ」と一言伝えるだけで、家族は大きな安心を得られます。改まって話し合わなくても、食卓の会話の中で自然に伝えられれば十分です。親にエンディングノートを書いてもらいたいとお考えの方には、親に終活をどう切り出すか——話しかけ方と進め方が参考になります。
よくある疑問——現場で聞かれること
Q. 子どもがいないのにエンディングノートは必要ですか?
必要です。むしろ、家族に情報を伝える人が少ないほど、エンディングノートは重要です。兄弟・姪や甥・信頼できる友人・後見人候補など、連絡先と自分の希望を書き残しておくことで、万が一の際に周囲の方が迷わずに動けます。
Q. 認知症になる前に書いておくべきですか?
「今日が一番若い」という考え方のとおり、元気なうちに少しずつ書き進めておくことが助けになります。ただし、認知症に関する具体的な判断能力・法的効力については、医師・弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
Q. 書いた後で内容を変えたくなったらどうすればいいですか?
遺言書と違い、エンディングノートは自由に書き直せます。古い内容を二重線で消して上書きする、別のページに「最新版」と書いて差し替えるなど、方法は何でも構いません。日付を書いておくと、どれが最新版かわかりやすくなります。
Q. デジタルのエンディングノート(アプリ)は安全ですか?
アプリは利便性が高いですが、「スマホのロックが解除できない」「サービスが終了した」などのリスクがあります。アプリを使う場合は、アプリ名・ログイン方法・バックアップの取り方を紙にメモして家族に伝えておくことをおすすめします。スマホ本体の認証情報は別途、家族が万一のときに参照できる仕組みを考えておきましょう。
まとめ|まず1ページ書くことが、いちばんの一歩
エンディングノートは無料で入手でき、最初の1項目だけ埋めればそれで十分なスタートです。遺言書のような法的な決まりはなく、自由に書いて後から書き直せるのが最大の強みです。
ただし、「書こうとすると気が重い」という方は、いきなりエンディングノートを広げる前に、「現在の自分の好き10個」を書くことから始めてみてください。人生を振り返り、自分の価値観を言葉にするプロセスが、エンディングノートを自然に書ける土台になります。心が整うにつれ、情報の整理も少しずつ進んでいきます。
大切なのは「完璧に書ききること」ではなく、「今日、書き始めること」です。今日が一番若い日です。まず1ページから。
書き方の手順や項目テンプレートを手元に置いておきたい方は、無料PDFガイドでエンディングノートの書き方を確認するからメールアドレスを登録するだけで受け取れます。終活全般の準備状況を確認したい方は終活・生前整理チェックリスト(無料)、財産の把握から始めたい方は相続準備シミュレーター(無料)もあわせてご活用ください。
なお、相続・税務・遺言に関する具体的な手続きや判断については、税理士・弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。


