空き家・実家の不動産

実家売却で後悔しない|つらさ・兄弟・税金・片付け

「思い出の詰まった実家を手放すのがつらい」「兄弟と話がまとまらないまま売ってしまわないか心配」と感じている方へ。実家の売却で後悔が残りやすいのは、気持ちの整理、家族の合意、売り方、片付け、税金の手続きの5つの場面です。法律と国の公表情報をもとに、場面ごとに前もってできる備えを整理します。

実家の売却で後悔が残りやすいのは、気持ち・家族の合意・売り方・片付け・税金の5つの場面

実家の売却で後悔が残りやすいのは、気持ちの整理がつかないまま急ぐ、兄弟の合意がない、相場を知らずに1社で決める、片付けで大事なものを失う、税の特例の期限を過ぎる、の5つです。どれも売り出す前の準備で防ぎやすいものです。

後悔が起きやすい場面

売り出す前にできる備え

気持ちの整理がつかないまま決める

売るかどうかの判断と、相場を調べることを分ける

兄弟の合意がないまま進める

遺産分割で名義と売却代金の分け方を決める

相場を知らずに1社で決める

複数社の査定額と根拠を比べ、媒介契約の種類を確かめる

片付けで思い出の品や書類を失う

残すものを家族で選んでから業者に頼む

税の特例の期限を過ぎる

申告の時期と特例の要件を売る前に確かめる

実家を手放すのがつらいときは、売るかどうかの判断と、相場や手続きを調べることを分けて進める

実家を手放すのがつらい、寂しいと感じるのは、その家で過ごした時間が大切だったからで、無理に気持ちを切り替える必要はありません。売るかどうかを決めることと、相場や手続きを調べることを分けて進めると、気持ちが追いつかないまま決めてしまうのを防げます。

たとえば次の順番で進めると、家族それぞれが心の準備をする時間をとれます。

  • 家族で実家に集まり、写真を撮ったり、残したいものを話したりする時間をつくる
  • 相場や査定額を調べ、売った場合と残した場合の見通しを知る
  • 見通しがそろってから、売るかどうか、いつ売るかを家族で決める

兄弟で相続した実家は、遺産分割で誰の名義にし、売却代金をどう分けるかを決めてから売り出す

兄弟で相続した実家は、遺産分割で誰の名義にするか、売った代金をどう分けるかを先に決めておくと、売り出した後に意見が割れて手続きが止まるのを防げます。

民法第898条は、相続人が複数いるとき、相続財産は相続人の共有になると定めています。共有の家に変更を加えるには他の共有者の同意が必要とされ(第251条)、家全体を売るときも共有者全員がそろって手続きを進めることになります。遺産の分け方は相続人の協議でいつでも決められ、協議がまとまらないときは家庭裁判所に分割を請求できます(第907条)。

兄弟の話し合いでは、次の3点を書き出しておくと、後から「聞いていない」となりにくくなります。

  • 売るか、誰かが住む・残すか
  • 誰の名義で相続し、売却代金をどう分けるか
  • 片付けの費用や、売れるまでの固定資産税を誰が負担するか

兄弟の話し合いの進め方は兄弟で実家じまいがもめる前に|原因4類型と家族会議で予防する3ステップで紹介しています。話し合いがまとまらないときは、弁護士に相談してください。

一人っ子でも兄弟がいても、相続した実家は3年以内に相続登記をする

法務省によると、令和6年4月1日から相続登記が義務になり、相続したことを知った日から3年以内に登記をする必要があります。令和6年4月1日より前に相続した不動産も対象で、令和9年3月31日までの登記が必要です。売却では実家の名義を親から相続人へ移しておくことになるため、手続きに不安があるときは司法書士に相談できます。

実家を売る不動産会社は、複数社の査定額とその根拠を比べ、媒介契約の種類を理解してから選ぶ

実家を売る不動産会社は、1社の査定額だけで決めずに複数社の査定額とその根拠を比べ、媒介契約の種類を理解してから選ぶと、「もっと納得できる売り方があったのでは」という後悔を減らせます。

宅地建物取引業法第34条の2は、不動産会社が売り出す価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。査定額の高さだけでなく、どんな根拠で出した金額かをたずねてみてください。

媒介契約には、ほかの不動産会社にも重ねて依頼できる契約と、重ねて依頼できない専任媒介契約があります。宅地建物取引業法第34条の2は、専任媒介契約の有効期間を3か月以内とし、不動産会社に2週間に1回以上(不動産会社が見つけた相手としか契約できない特約付きの契約は1週間に1回以上)、業務の処理状況を報告するよう定めています。

国民生活センターは2021年6月、強引な勧誘で安価に自宅を売却する契約をしてしまったといった高齢者の相談を紹介し、自宅を不動産業者に売却した場合はクーリング・オフができないと注意を呼びかけました。同センターは、わからないことや納得できないことが解決するまで契約しないよう助言しています。

なかなか売れないときは、価格の見直しのほか、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。違いは空き家買取とは|仲介との違い・デメリット・選び方、査定から引き渡しまでの流れは不動産売却の流れ完全ガイドで確かめられます。

実家の片付けは、売り出す前に家族で残すものを選び、家の書類と思い出の品を取り分けてから業者に頼む

実家の片付けは、売り出す前に家族で残すものを選び、家の書類と思い出の品を取り分けてから業者に頼むと、「捨てなければよかった」という後悔を防げます。一度処分したものは取り戻せないため、迷うものは箱にまとめて一時保管しておく方法もあります。

とくに残しておきたいのが、実家を買ったときや建てたときの契約書・領収書です。国税庁のタックスアンサー No.3258によると、譲渡所得は売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算し、取得費が分からないときは売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。購入代金などが分かる書類が残っていれば、実際の金額をもとに取得費を確かめられるため、片付けの前に家族で探しておくと安心です。

片付けで処分してはいけない書類や品物の一覧は遺品整理で捨ててはいけないもの一覧と順番にまとめています。

税金で後悔しないためには、売った翌年の確定申告の時期と、相続した空き家の特例の期限を売る前に確かめる

実家を売って譲渡所得が出たときは、売った年の翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をします。相続した実家には期限のある特例もあるため、売り出す前に確かめておくと安心です。

国税庁 No.1440によると、土地や建物を売ったときの譲渡所得は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で計算し、給与などの所得とは分けて税額を計算する分離課税です。申告の時期は国税庁 No.3102で、譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日とされています。

亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売る場合は、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例で、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年以後の売却で相続人が3人以上のときは2,000万円)を控除できることがあります。対象は令和9年12月31日までの売却で、昭和56年5月31日以前に建てられた家であることや、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどの要件があり、確定申告が必要です。要件のチェック表・期限・必要書類は空き家特例とは|3,000万円控除の要件・期限・書類で整理しています。

空き家の特例は相続や遺贈で家を取得した相続人が売る場合の制度で、親が元気なうちに売る場合とは税金の扱いが変わります。相続の前と後のどちらで売るか迷うときや、自分の場合に特例が使えるかは、税理士や税務署に相談してください。

まとめ

  • 実家の売却で後悔が残りやすいのは、気持ちの整理・兄弟の合意・売り方・片付け・税金の5つの場面
  • 兄弟で相続した実家は、遺産分割で名義と売却代金の分け方を決め、相続登記も期限内に進める
  • 不動産会社は複数社の査定額と根拠を比べ、自宅の売却はクーリング・オフできないことを知ったうえで契約する
  • 片付けの前に家の書類と思い出の品を取り分け、税金は確定申告の時期と空き家の特例の期限を確かめる

まずは家族で実家に集まり、残したいものと、売ることへの気持ちを話し合うところから始めてみてください。

「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する

金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。

保有する場合

  • 課税明細の固定資産税・都市計画税
  • 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
  • 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
  • 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応

売却する場合

  • 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
  • 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
  • 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
  • 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認

まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

MUNICIPAL DATABASE

お住まいの市区町村の補助金情報を確認

全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。

※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。

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この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。