空き家・実家の不動産

空き家を無料で譲る・もらう方法と落とし穴

空き家を無料で譲る方法は、親族・知人への贈与、空き家バンクの0円掲載、無償譲渡サイトの3つが中心です。自治体への寄附は受け付けられにくく、相続土地国庫帰属制度は建物がある土地を申請できません。無料でも手放したい所有者の方に向けて、譲るときの落とし穴と、譲る前に確かめたい買取の選択肢を国税庁・法務省の公表情報で整理しました。もらいたい方の探し方も案内します。

空き家を無料で譲る方法は、親族・知人への贈与、空き家バンクの0円掲載、無償譲渡サイトの3つが中心

空き家を無料で譲る方法は、親族や隣地所有者・知人へ贈与する、市区町村の空き家バンクに0円で掲載する、無償譲渡専門のマッチングサイトに掲載する、の3つに大きく分かれます。どの方法でも、法律上は財産を無償で与える「贈与」の契約で所有権を移し(民法第549条)、贈与契約書を作って所有権移転登記を行います。

空き家バンクは市区町村が所有者の登録を受けて利用希望者に情報を提供する仕組みで、国土交通省の消費者向けQ&Aのとおり、交渉や手続きは当事者間の責任で行います。富山県上市町のように「0円空家バンク」を専用に設け、土地・建物とも無償譲渡の物件を公開している自治体もあります(上市町建設課、2026年9月14日更新)。岡山県浅口市のように、民間の無償譲渡マッチングサイトと連携協定を結ぶ自治体もあります(浅口市まちづくり課、2025年7月1日更新)。0円登録の可否は自治体ごとに違うため、市区町村の担当課に確かめます。

無料で空き家をもらいたい方の探し方

無料や低額の空き家を探す起点は、国土交通省の支援で構築された「全国版空き家・空き地バンク」です。令和8年8月末時点で1,151自治体が参加し、744自治体が物件を掲載中です(国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」)。もらう側にも登記費用・贈与税・固定資産税の負担が生じるため、落とし穴の見出しも確認してください。

自治体への寄附は利用計画がないと受け付けられず、相続土地国庫帰属制度は建物がある土地を申請できない

空き家の寄附を申し出ても、多くの市区町村は利用計画のない土地・建物の寄附を受け付けていません。鹿児島市は、利用計画がないため土地の寄附・売却は受け付けていないと回答し(鹿児島市、2023年4月4日更新)、広島県東広島市も土地の引き取りは行わず、国の相続土地国庫帰属制度を案内しています(東広島市管財課、2025年10月2日更新)。

相続土地国庫帰属制度も、空き家をそのまま手放す出口にはなりません。相続または遺贈で取得した土地に限られ、建物の存する土地は承認申請ができません(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条第3項第1号)。建物を解体して更地にし、審査手数料を納め、承認後に負担金を納付して国庫に帰属します(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、同法第10条第1項)。要件と費用は相続土地国庫帰属制度とは|費用・要件と売却との比較にまとめています。

無料で譲るときの落とし穴は、贈与税・登記費用・固定資産税・契約不適合責任・残置物の5つ

空き家を無料で譲るときに見落とされやすいのは、贈与税・登記費用・固定資産税・契約不適合責任・残置物の5つです。物件の価格が0円でも双方に費用と責任が残るため、誰が何を負担するかを譲る前に書面で決めておきます。

贈与税は受け取る側にかかる

贈与税は、個人から贈与により財産を取得した人にかかる税金です。1年間に贈与を受けた財産の価額の合計から基礎控除額110万円を差し引いた残りに課税され、110万円以下なら申告も不要です(国税庁タックスアンサーNo.4402、令和8年4月1日現在法令等)。著しく低い価額で譲り受けた場合は時価との差額が贈与とみなされます(同No.4423)。税額の見込みは税務署または税理士にご相談ください。

所有権移転登記の費用は当事者の取り決めで決める

贈与による土地・建物の所有権移転登記の登録免許税は、いずれも不動産の価額の1,000分の20です(国税庁タックスアンサーNo.7191、令和8年4月1日現在法令等)。登記は双方が共同で申請するため(不動産登記法第60条)、登録免許税と司法書士報酬の負担者は贈与契約書で取り決めます。受け取る側には不動産取得税もかかります(地方税法第73条の2)。

固定資産税は1月1日の登記名義人に課税される

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)に登記簿に所有者として登記されている人に課税されます(地方税法第343条・第359条)。年の途中で譲っても納税義務者は1月1日時点の名義人のままで、日割り精算は当事者の合意で決めます。

「無料だから責任はない」とは限らない

贈与者は目的物を「贈与の目的として特定した時の状態」で引き渡すと約束したものと推定され(民法第551条第1項)、売買より責任は軽い扱いです。ただし修繕費の負担などを条件にした負担付贈与では、その負担の限度で売主と同じ担保責任を負います(同条第2項)。形だけ代金を受け取る売買にすると、雨漏りなどについて追完請求・代金減額・損害賠償・解除を受ける契約不適合責任の対象になります(民法第562条・第566条)。知っている不具合は契約書に書き出し、特約の内容は司法書士・弁護士にご相談ください。

残置物(家財)をどうするか先に決める

家財が残ったままの空き家は、譲る側が片付けるのか受け取る側が引き受けるのかで負担が大きく変わります。「現状のまま」で渡す約束でも、仏壇・書類・貴重品の扱いは別に決めておきます。

「無料で譲る」より先に、買取査定で値段がつくかどうかを確かめる

無料で譲る決断をする前に、買取業者の査定で値段がつくかどうかを確かめる方が、所有者にとって損の少ない順番です。仲介で買い手がつかない空き家でも、自社で買い取って再販する買取業者が対象にすることがあり、再建築不可や古家付きでも金額が提示される場合があります。0円で譲ると受け取る側に贈与税の問題が生じるうえ、譲る側の手元には何も残りません。

買取価格は仲介より低くなるのが通常で業者ごとの差も大きいため、複数社の査定額と根拠を比べ、その場で契約しないことが身を守る方法です。勧誘に不安があるときは消費者ホットライン188に相談できます。出口を広げる考え方は空き家が売れない5つの理由と売るための対処法で整理しています。

無料譲渡・空き家バンク・買取・仲介・国庫帰属・解体して土地売却の6つを同じ条件で比べる

空き家の出口は、無料譲渡・空き家バンク・買取・仲介・相続土地国庫帰属制度・解体して土地売却の6つです。手元に残るお金と主な条件を並べました。

方法

手元に残るお金

主な条件・注意点

無料譲渡

0円。費用負担は取り決め次第

受け取る側に贈与税。相手が見つかるまで維持費が続く

空き家バンク

希望価格(0円を認める自治体もある)

自治体は販売活動をしない。交渉は当事者の責任

買取

業者の提示額。仲介の成約価格より低いのが通常

短期間で確定しやすい。複数社を比べる

仲介

市場の相場と交渉で決まる

買い手がつくまでの期間が読めない。仲介手数料がかかる

相続土地国庫帰属制度

マイナス(審査手数料1筆14,000円+負担金)

相続した土地のみ。建物があると申請できない

解体して土地売却

土地代から解体費を差し引いた額

更地にすると住宅用地の課税標準の特例(地方税法第349条の3の2)が外れる

空き家バンクの登録手順とデメリットは空き家バンクとは|登録デメリット・売れない時の対処で説明しています。

空き家を無料で譲る・もらうときのよくある質問

空き家を無料で譲る・もらう場面で迷いやすい点を、国税庁・法務省の公表情報で整理しました。

親や兄弟から無料でもらう場合も贈与税の対象ですか

親子間・兄弟間の贈与も贈与税の対象です。国税庁は贈与税の速算表で、兄弟間の贈与や親から子への贈与を計算の例として挙げています(国税庁タックスアンサーNo.4408)。

建物が建ったまま国に引き取ってもらえますか

相続土地国庫帰属制度では建物の存する土地は承認申請ができません(相続土地国庫帰属法第2条第3項第1号)。解体して更地にした土地だけが対象です。

まとめ

  • 空き家を無料で譲る方法は、親族・知人への贈与、空き家バンクの0円掲載、無償譲渡サイトの3つ
  • 自治体への寄附は利用計画がないと受け付けられにくい。相続土地国庫帰属制度は建物がある土地を申請できない
  • 落とし穴は、受け取る側の贈与税、登録免許税(贈与は1,000分の20)、固定資産税、契約不適合責任、残置物の5つ
  • 無料で譲る前に買取査定で値段がつくかを確かめ、複数社を比べてその場で契約しない

「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する

金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。

保有する場合

  • 課税明細の固定資産税・都市計画税
  • 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
  • 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
  • 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応

売却する場合

  • 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
  • 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
  • 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
  • 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認

まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

MUNICIPAL DATABASE

お住まいの市区町村の補助金情報を確認

全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。

※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。

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  • 買取の対象になる物件の種類と所在地
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この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。