古家付き土地の売却|解体して売る場合との比較

実家を売ろうと決めたあとに必ず出てくるのが、「古い家を残したまま売るか、壊して更地にしてから売るか」という分かれ道です。不動産会社によって勧め方が違い、迷ったまま止まってしまう方も少なくありません。解体費用の全国データと公的な制度をもとに、どちらを選ぶかを決めるための軸を整理しました。
古家付き土地とは、建物が残ったまま土地として売り出される物件のこと
古家付き土地とは、築年数が古く住宅としての価値がほとんど無いと見なされる建物が残ったまま、土地を主役にして売り出される物件を指します。売買の値段はほぼ土地の価格で決まり、建物は「おまけ」または「解体の手間」として扱われます。
一方の更地は、建物を取り壊して整地した状態の土地です。古家付きと更地の違いは建物の有無だけに見えますが、実際には売主が先に払うお金・固定資産税・買い手の層の3つが同時に変わります。
古家付きのまま売る場合と解体して売る場合では、先に出ていくお金と買い手の層が変わる
古家付きのまま売る場合と解体して売る場合の違いは、解体費用を売主と買主のどちらが負担するか、そして買い手として誰が来るかにあります。どちらが得かは物件ごとに変わり、一律の正解はありません。
古家付きのまま売る
- 解体費用を先に払わずに売り出せる
- 建物が建っている間は固定資産税の住宅用地特例が続く
- 買主は解体費用を見込んで値段を判断するため、その分が価格交渉に出やすい
- 買主が住宅ローンを使う場合、古い建物付きでは審査が通りにくいことがある
解体して更地で売る
- 買主は建てたい家をそのまま想像でき、土地の形や日当たりも見てもらいやすい
- 解体費用を売主が先に負担し、売れなかった場合も戻ってこない
- 更地にした時点で住宅用地特例が外れ、翌年度から土地の固定資産税が上がる
- 再建築ができない土地では、更地にしても新しい建物を建てられない
解体費用は木造30坪で90万〜150万円が目安、補助金は1,726市区町村のうち272でしか確認できない
空き家の解体費用は、木造30坪で90万〜150万円、鉄骨造30坪で120万〜180万円、鉄筋コンクリート造30坪で150万〜240万円が基本工事費の目安です(民間解体業者の公表相場)。付帯工事費・残置物処分費・整地費は別枠で加算されるため、実額は複数社の見積もりで確かめてください。
ふれあいの丘が全国1,726市区町村の公式ページを調べたところ、解体補助金を確認できたのは272市区町村(15.8%)で、上限額が判明した271市区町村の中央値は50万円でした(2026年9月14日時点・ふれあいの丘調べ)。補助金を確認できた自治体のうち65.3%が「危険・老朽空き家であること」を条件に掲げ、39.6%が年度予算・先着順としています。申請は着工前が原則で、工事を始めてからでは対象外になります。坪数別・都道府県別の詳しいデータは解体費用の相場と補助金の全国データで公開しています。
解体を選ぶかどうかは、「補助金が出れば解体する」と決めてから調べるのではなく、自分の市区町村に制度があるか、今年度の受付が残っているかを先に窓口で確かめる順序が現実的です。
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- 買取の対象になる物件の種類と所在地
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更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年度から土地の税負担が上がる
住宅用地に対する課税標準の特例は、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)で評価額の6分の1、一般住宅用地(200㎡を超える部分)で3分の1に課税標準額を軽減するものです。固定資産税の標準税率は1.4%です(総務省「固定資産税の概要」、確認日:2026年9月18日)。
建物を取り壊すとこの特例の対象から外れるため、更地のまま売れ残る期間が長引くほど、土地の保有コストが重くなります。解体のタイミングを考えるときは、工事費だけでなく「売れるまでの想定期間」を不動産会社に確認しておくと判断しやすくなります。なお、建物を残したまま放置して特定空き家に指定された場合も、同じ特例が外れます。
古家付きか更地かは、手元に残る金額・売れるまでの期間・買い手の層で並べて決める
古家付きのまま売るか解体して売るかは、売却価格そのものではなく、諸費用と税を差し引いた後に手元に残る金額で比べると判断しやすくなります。次の3点を、どちらの場合についても同じ形で書き出してください。
- 手元に残る金額:想定売却価格から、仲介手数料・解体費用・残置物処分費・譲渡にかかる税を引いた後の金額
- 売れるまでの期間:その間に払い続ける固定資産税・都市計画税・保険・管理の実費
- 買い手の層:自分で建てたい個人か、古家をリフォームして使う個人か、再販する事業者か
建物の傷みが激しく、土地に住宅需要が見込める場所であれば更地が向きます。反対に、再建築ができない土地や、古民家として使いたい買い手が期待できる地域では、古家付きのまま売り出して反応を見るほうが損をしにくい選択になります。迷う場合は、解体を前提にせず、まず古家付きの条件で査定を取って市場の反応を確かめる方法もあります。売却・解体・譲渡を含めた6つのルートは空き家の処分方法まとめで比べられます。
売却で動くお金は、仲介手数料の上限と譲渡所得の特例の要件を先に確認する
不動産会社が受け取れる仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づく告示で上限が定められています。物件価格1,000万円(税別)なら、依頼者の一方から受け取れる上限は39.6万円(税込)です。価格800万円以下の宅地建物は「低廉な空家等」として、令和6年7月1日以降、上限が30万円×1.1倍の金額(税込)以内という特例が設けられました(国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」、確認日:2026年9月18日)。手数料の額は媒介契約を結ぶ前に合意しておくことが大切です。
税については、相続した家屋と敷地を売ったときに譲渡所得から控除を受けられる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることのほか、譲渡時に一定の耐震基準を満たすか、家屋の全部を取り壊した後に敷地を売ることが求められます(国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、確認日:2026年9月18日)。解体するかどうかがこの要件と関わるため、自分の家屋が当てはまるかは、解体の契約前に所轄の税務署または税理士へご相談ください。
まとめ
- 古家付き土地とは、価値がほとんど無い建物を残したまま土地として売り出す物件のこと
- 古家付きと更地では、解体費用を誰が負担するか、固定資産税、買い手の層の3つが変わる
- 解体費用は木造30坪で90万〜150万円が目安。補助金は全国1,726市区町村のうち272市区町村(15.8%)でしか確認できず、着工前申請が原則(ふれあいの丘調べ)
- 更地にすると住宅用地特例(6分の1・3分の1)が外れ、売れ残る期間の税負担が増える
- 判断は「手元に残る金額・売れるまでの期間・買い手の層」を同じ条件で並べて行う
- 空き家の譲渡所得の特例は取壊しの要否と関わる。解体の契約前に税務署・税理士へ確認する
「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する
金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。
保有する場合
- 課税明細の固定資産税・都市計画税
- 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
- 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
- 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応
売却する場合
- 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
- 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
- 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
- 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認
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次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。
MUNICIPAL DATABASE
お住まいの市区町村の補助金情報を確認
全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。
※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。
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