空き家・実家の不動産

アスベスト事前調査|解体の対象・資格・報告・費用

実家や空き家を解体する前には、アスベスト(石綿)を含む建材があるかを調べる事前調査が必要です。調査は建物の規模に関係なく行い、床面積80平方メートル以上の解体では結果の報告が義務になっています。誰が調べ、いつ報告し、費用は誰が負担するのかを、大気汚染防止法・石綿障害予防規則と環境省・国土交通省の公表資料で整理しました。

アスベストの事前調査は、建物の規模にかかわらず解体・改修のすべての工事で行う

建築物を解体・改造・補修する工事の元請業者は、その工事が石綿を含む建材を扱う「特定工事」に当たるかどうかを、設計図書などの書面と目視で調べなければなりません(大気汚染防止法第18条の15第1項)。この調査が事前調査で、床面積80平方メートル以上という数字は報告の要件であって、調査そのものは建物の規模に関係なく必要です。石綿障害予防規則も同じ調査を事業者に求めています(第3条、e-Gov・石綿障害予防規則)。

例外は着工日が新しい建物です。2006年(平成18年)9月1日以後に設置の工事に着手した建築物であることが設計図書などで明らかな場合は、その着工日を書面で確認する方法によることができます(大気汚染防止法施行規則第16条の5第1号ただし書、石綿障害予防規則第3条第3項第3号)。実家の建築年がこれより前なら、書面と目視の調査が前提です。

2023年10月1日以降に着工する工事では、有資格者が事前調査を行う

2023年(令和5年)10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事では、事前調査を有資格者が行うことが義務づけられています。環境省のリーフレットは、依頼できる資格者として一般建築物石綿含有建材調査者・特定建築物石綿含有建材調査者・一戸建て等石綿含有建材調査者の3つを挙げています(環境省リーフレット、確認日2026年9月26日)。

一戸建て等石綿含有建材調査者が事前調査を行えるのは、一戸建て住宅と共同住宅の住戸の内部に限られます(同リーフレット)。

元請業者から受け取る書面には、調査を行った者の氏名と資格者に該当することを示す事項が記載されるため、発注者の側でも確かめられます(大気汚染防止法施行規則第16条の7第3号、e-Gov・大気汚染防止法施行規則)。

床面積80平方メートル以上の解体は、石綿の有無にかかわらず元請業者が着工前に報告する

2022年(令和4年)4月1日から、解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事では、事前調査の結果を都道府県等と労働基準監督署へ報告することが義務になりました。報告するのは元請業者または自主施工者で、発注者ではありません(大気汚染防止法第18条の15第6項、同施行規則第16条の11第1項第1号、石綿障害予防規則第4条の2第1項第1号)。

報告は石綿が見つからなかった場合も必要です。環境省は、石綿含有建材の有無にかかわらず報告が必要だとしています(環境省報道発表・2022年3月1日)。報告は原則として「石綿事前調査結果報告システム」で行い、1回の操作で都道府県等と労働基準監督署の両方へ報告できます(環境省、確認日2026年9月26日)。

事前調査は書面調査・目視調査・分析調査の順で進み、結果は工事の開始日までに書面で説明される

事前調査は、設計図書などによる書面調査と現地での目視調査を行い、それでも石綿の有無が分からない建材は分析調査にかけます(施行規則第16条の5第1号・第3号)。分析調査が入ると結果を待つ分だけ日数が増えるため、見積もりの際に着工時期の見込みを確かめておきます。

調査の結果は、元請業者が発注者に書面を交付して説明します。説明の時期は解体等工事の開始の日までです(施行規則第16条の6)。書面には調査を終えた年月日、調査の方法、調査者の氏名と資格が載ります(同第16条の7)。現場には調査結果の概要を掲示し、記録は工事が終わった日から3年間保存されます(大気汚染防止法第18条の15第5項、同施行規則第16条の8・第16条の9)。

事前調査の費用は発注者が負担するもので、公表された一律の相場はない

大気汚染防止法は、解体等工事の発注者に、元請業者が行う事前調査に要する費用を適正に負担することなどにより、調査に協力するよう定めています(第18条の15第2項、e-Gov・大気汚染防止法)。国や自治体が公表した事前調査の標準価格はなく、比べるときは、見積書の中で事前調査がどの項目に分かれているかを確かめます。

見積書の項目

確かめること

書面調査・現地調査

調査者の資格区分。建物全体か、解体する部分だけか

分析調査

検体1件あたりの単価と想定する検体数。分析せず「含有とみなす」場合との差額

報告書・報告の代行

発注者への説明書面と、都道府県等・労働基準監督署への報告が含まれるか

解体工事本体との関係

「一式」に含まれているか別立てか。石綿が見つかった場合の追加費用の扱い

「解体工事一式」の中に事前調査が埋まっていると、業者ごとの比較ができません。解体費用そのものの内訳は空き家の解体費用の相場で、見積書を4つに分けて比べる方法は解体業者の選び方にまとめています。費用負担や契約内容で迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。勧誘に不安があるときは消費者ホットライン188(局番なし)が使えます。

吹付け石綿や保温材が見つかると、作業開始の14日前までの届出と隔離が加わり、工期と費用が変わる

事前調査で石綿を含む建材が見つかると、その建材の種類によって工事の扱いが変わります。国土交通省のQ&Aは、アスベスト含有建材を発じんの度合いで「レベル1〜3」に便宜的に分けています。レベル1は吹付けアスベストなど最も飛散性の高い吹付け材、レベル2はアスベスト含有の保温材・断熱材・耐火被覆材、レベル3はスレートや岩綿吸音板などの成形板が多いそれ以外の建材です(国土交通省「アスベスト対策Q&A」q8、確認日2026年9月26日)。

吹付け石綿などの除去を伴う「届出対象特定工事」では、発注者または自主施工者が、作業の開始日の14日前までに都道府県知事へ届け出ます(大気汚染防止法第18条の17第1項)。届出の義務者は発注者、つまり所有者の側です。除去は隔離や集じん・排気装置を使う方法などで行うため(同法第18条の19)、通常の解体より工期と費用が増えます。増える額は建材の種類と面積で決まるため、事前調査の結果が出てから見積もりを取り直します。作業が終わると、元請業者はその結果を発注者に書面で報告します(同法第18条の23第1項)。

アスベストの補助金は解体補助と別枠で、国の制度は吹付け材の調査と除去が対象

国土交通省のQ&Aによると、アスベスト調査の補助事業は、建築物の吹付け材についてアスベスト含有の有無を調べる調査が対象で、限度額は原則として25万円/棟です。民間の所有者が使う場合は地方公共団体を経由します。除去は、吹付けアスベストとアスベスト含有吹付けロックウールが対象で、補助率は2/3以内(地方公共団体の補助額を超えない範囲)です(同Q&A q41・q43、確認日2026年9月26日)。対象は吹付け材で、一戸建てに多いスレートなどの成形板は含まれていません。

当サイトが全国1,726自治体を調べた空き家解体補助金のデータは解体工事そのものの補助を集計したもので、アスベスト調査・除去の助成は集計していません。例えば岡山県総社市は、空き家解体を対象とする独自の補助制度は設けていない一方で、アスベスト含有調査・除去費の助成制度を持っています(当サイト調べ・2026年9月時点)。解体補助と別に、アスベストの助成の有無を市区町村に確かめます。

解体補助金は着工前の申請を条件にする制度が多く、順番は「事前調査→補助金の申請→契約→届出→着工」です。条件と申請の流れは空き家の解体補助金ガイドに整理しています。

まとめ

  • 事前調査は建物の規模に関係なく必要。2006年9月1日以後の着工なら書面確認でよい
  • 2023年10月1日以降の着工は有資格者が調査する。一戸建て等調査者は一戸建て住宅と住戸内部だけ
  • 床面積80平方メートル以上の解体は、石綿の有無にかかわらず元請業者が着工前に報告する
  • 費用は発注者の負担で公表された相場はない。見積書の項目で比べる
  • 吹付け石綿や保温材が見つかると14日前までの届出(発注者の義務)が加わる。アスベストの補助は解体補助と別枠

「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する

金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。

保有する場合

  • 課税明細の固定資産税・都市計画税
  • 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
  • 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
  • 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応

売却する場合

  • 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
  • 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
  • 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
  • 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認

まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

MUNICIPAL DATABASE

お住まいの市区町村の補助金情報を確認

全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。

※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。

\ 読む時間がない方へ /

この記事の要点と、実家じまいの手順をまとめた「完全ガイドブック(PDF)」を無料プレゼント中!

LINEで今すぐ受け取る(無料)

※完全無料 ※いつでもブロック可能

📚

生前整理 完全ガイドブック(無料PDF)

LINEを使っていない方へ。優先順位チェックシート・財産一覧テンプレート・エンディングノートの書き方をまとめたガイドを、メールでお届けします。

送信すると、ガイドPDFに加えて実家じまいのヒントを数回メールでお届けします。いつでも解除できます。入力したメールアドレスはガイド送付と登録管理に使用します。

【PR】

買い手がつきにくい家は、買取でも金額を確認できます

ラクウルは、空き家や中古戸建てを不動産会社が直接買い取るサービスです。買い手を探す仲介とは仕組みが異なり、買主が見つかるのを待たずに金額の提示を受けられる場合があります。売ると決める前でも、仲介の査定額と並べて比べる材料になります。

  • 買取の対象になる物件の種類と所在地
  • 家財(残置物)が残ったままでも依頼できるか
  • 査定に必要な書類と申し込みの流れ
  • 査定額に納得できないときに断れるか
査定額は買取価格を保証するものではありません。対象エリア・物件の条件・費用の負担は、移動先の公式ページでご確認ください。相続した不動産の売却や税金の個別の判断は、不動産会社・税理士等の専門家にもご相談ください。
ラクウルの無料査定の条件を確認する

空き家・中古戸建ての買取査定「ラクウル」の公式サイトへ移動します

記事一覧 →

この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。