空き家の火災保険|住宅物件と一般物件の違いと入り方

「親が施設に入って実家が空き家になった。火災保険はこのままでいいのだろうか」と気になっている方へ。空き家になったときに保険会社へ何を伝えるか、住宅物件と一般物件の違い、補償の選び方、空き家の管理との組み合わせ方を、日本損害保険協会の解説と保険法の条文をもとに順番に整理しました。
空き家になったら、まず契約中の保険会社か代理店に「誰も住んでいないこと」を伝えて、契約の扱いを確認する
空き家になったときに最初にやることは、契約中の火災保険の保険会社か代理店への連絡です。日本損害保険協会によると、火災保険の告知事項には「建物の構造・用法」「建物の所在地」「他の火災保険契約等の情報」があり、契約後の通知事項には「建物の構造・用法の変更」「家財の他の場所への移転」があります(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A 問59」、2026年9月30日確認)。
通知事項は、告知事項についての危険が高くなり保険料が不足する状態(危険増加)に関するもので、保険会社が通知を求めた事項です。協会は、故意または重大な過失で遅滞なく通知しなかった場合は、契約が解除され保険金が支払われない場合があると説明しています。保険法29条も、通知の定めが契約にあり、故意または重大な過失で遅滞なく通知しなかったときは、保険会社が契約を解除できると定めています(出典:e-Gov法令検索「保険法」)。
ただし、住む人がいなくなったことが「用法の変更」として通知の対象になるかどうかは、協会の解説には書かれていません。判断の基準は契約している保険の約款と保険会社です。自分で判断せず、次のような事実を伝えて扱いを確認すると話が進みやすくなります。
- 住まなくなった時期と理由(施設への入居、入院、逝去など)
- 家財を家に残しているか、運び出したか
- 誰が、どのくらいの頻度で見回りをしているか
- 売却・解体・賃貸など、今後の予定が決まっているか
- 契約者や被保険者が亡くなっている場合は、その事実
住宅物件と一般物件の違いは、建物を住居のみに使っているかどうかという用途の分類で、対応する商品も分かれている
住宅物件と一般物件は、火災保険が建物の用途によって分けている分類です。日本損害保険協会は、建物の用途によって火災の危険度が異なるため、分類ごとに対応する商品を用意していると説明しています(出典:日本損害保険協会「すまいの保険について」)。
分類 | 協会の説明にある使い方 |
|---|---|
住宅物件 | 建物を住居のみに使用しているもの |
一般物件 | 併用住宅(1つの建物に住居部分と店舗や事務所などの部分があるもの)、事務所、病院、旅館など |
誰も住んでいない空き家が住宅物件と一般物件のどちらで扱われるかについて、協会の解説には記載がありません。協会によると、告知事項は保険料の算出や引受けの可否判断に必要な事項です。空き家の引受けや分類は、保険会社と商品ごとの判断になると考えて、契約先に確かめてください。
地震保険を付けたい場合も確認が必要です。協会は、地震保険は火災保険にセットして契約するもので、主として住宅物件の建物と家財を対象にしていると説明しています。なお、今回確認した協会と公的機関の資料には、「空き家は火災保険に入れない」とする記載はありませんでした。
空き家の補償は「建物と家財を分けて考える」「補償範囲を選ぶ」「保険金額の基準を決める」の3点で選ぶ
空き家の火災保険を選び直すときは、建物と家財、補償範囲、保険金額の基準の3点を順に確認すると整理しやすくなります。
建物と家財は別々に契約する
日本損害保険協会は、火災保険では建物と家財を分けて契約することになっていると説明しています(出典:日本損害保険協会「火災保険」)。家財を運び出した後も家財の契約が残っていないか、逆に家財を残しているのに建物だけの契約になっていないかを見直します。家財を別の場所へ移すことは、協会の解説で通知事項の例に挙がっています。
補償範囲は商品によって違う
協会によると、火災保険の種類によって補償される範囲は異なり、水災を補償する商品とそうでない商品があります。地震による建物の倒壊や火災などは補償の対象とならず、地震保険をセットして契約する必要があります(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A 問51」)。
保険金額は再調達価額か時価額で決める
保険金額の評価には、同等のものを現時点で再築するための金額をベースにした「再調達価額」と、そこから経年・使用による消耗分を差し引いた「時価額」の2つの基準があります(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A 問55」)。売却や解体を予定している家なのか、建て直してでも残したい家なのかで、考え方が変わる部分です。
保険料の相場は、この記事では示していません。損害保険料率算出機構は、会員保険会社は参考純率を自社の保険料率を算出する際の基礎として使用でき、付加保険料率部分は各社が独自に算出すると説明しています。保険料については各保険会社に問い合わせるよう案内しています(出典:損害保険料率算出機構「保険料率に関するよくあるご質問」)。見積もりを比べるときは、補償範囲と保険金額の基準をそろえると違いが分かりやすくなります。
火災保険は空き家の管理とセットで考えると、劣化や不法侵入による損害を防ぐ手立てがそろう
火災保険に入っていても、空き家の管理を続けることは欠かせません。日本損害保険協会は、保険金が支払われない主な損害として、契約者などの故意・重大な過失・法令違反や、自然の消耗、劣化、さび、かび、腐敗などによって生じた損害を挙げています(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A 問50」)。
国土交通省の基本指針は、空き家は不具合が発見されにくく傷みが早く進行する傾向にあるとして、所有者等に一定の頻度で点検を行うことを求めています。管理の例には、開口部等の破損等による不法侵入の防止や、定期的な郵便物等の確認・整理、冬期における給水管の元栓の閉栓が挙がっています(出典:国土交通省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(PDF))。見回りの頻度や管理を任せる方法は空き家の管理方法で、放置した場合の行政の措置は特定空き家とはで詳しく解説しています。
火災全体の統計では、総務省消防庁の令和7年版消防白書によると、令和6年中の放火による出火件数は2,377件(全火災の6.4%)、放火の疑いを加えると3,904件(同10.5%)でした(出典:総務省消防庁「令和7年版 消防白書 4.出火原因」)。消防白書の出火原因のページには空き家に限った件数は載っていませんが、侵入されにくい状態を保つことは、国土交通省の指針が挙げる管理そのものです。
売却・解体・相続の方針が決まったら、火災保険の手続きも同じタイミングで見直す
空き家の行き先が決まったら、火災保険の手続きも合わせて進めます。日本損害保険協会によると、建物を譲渡する場合は、遅滞なく書面で保険会社に通知する必要があり、譲渡により契約は失効します。権利・義務を買主へ移すには、譲渡前に書面で申し出て保険会社の承認を得る手続きが必要です(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A」問59・問60)。売却の進め方は空き家買取とはを参考にしてください。
解体を予定している場合は、解約の時期を保険会社と相談します。協会は、契約者は書面で通知して契約を解除(解約)でき、解除された場合は未経過期間に対して保険会社が定める計算方法で算出された保険料が返還されると説明しています。
親から相続した家で契約者や被保険者が亡くなっている場合の名義変更の扱いは、協会の解説には記載がないため、契約先の保険会社に確認してください。売る・貸す・解体する・持ち続けるの判断は実家を相続したら考える4つの選択肢で整理しています。相続登記や遺産分割が絡む場合は、司法書士や弁護士などの専門家へ相談すると安心です。
「保有する」と「売却する」を、同じ条件で比較する
金額だけでなく、利用予定、家族の意向、管理の手間、契約・税務上の条件を並べて確認します。
保有する場合
- 課税明細の固定資産税・都市計画税
- 保険、換気、草木、修繕、見回り等の実費
- 将来の居住・賃貸・活用予定と、管理を担う人
- 自治体から指導・勧告を受けた場合の対応
売却する場合
- 査定価格ではなく、諸費用・税を差し引いた手取り
- 共有者、相続登記、境界、残置物等の整理状況
- 古家付き・解体後それぞれの条件と売却期間
- 控除の適用要件は税務署または税理士へ確認
まず課税明細から年間負担を合計し、売却も比較したい場合だけ、下の広告から査定条件を確認できます。
次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。
MUNICIPAL DATABASE
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全国1,726自治体の収録データから、公式ページと掲載値を編集確認済みの補助制度を確認できます。
※補助金情報は各自治体の公開情報をもとにした独自調査です。制度・金額・募集状況は更新されるため、申請前に自治体の公式情報をご確認ください。
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