株式の相続手続き|口座の探し方・名義変更・特別口座
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「亡くなった親が株を持っていたはずなのに、どこの証券会社か分からない」。株式の相続は、財産のありかを突き止めるところから始まります。ほふりへの開示請求、証券会社での手続き、特別口座と単元未満株、相続税での評価の考え方までを、公的機関と業界団体の公表情報で順に整理しました。
株の手がかりは、上場会社や信託銀行等から届く株主あての郵便物にある
亡くなった方が上場株式を持っていたかどうかは、上場会社や信託銀行等から届く株主総会の招集通知や、配当金に関する書類で見当をつけられます。
信託協会と日本証券業協会は、株式を管理する株主名簿管理人(信託銀行等)の確かめ方として、招集通知や配当金通知の封筒の差出人を見るか、上場会社のホームページの株主・投資家向け情報を見る方法を案内しています(出典:信託協会「株式の配当金の受取方法について」、日本証券業協会「特別口座についてのお手続き」、いずれも2026年9月30日確認)。見つけた書類は、財産目録テンプレートで他の財産と一緒に記録しておくと安心です。
ほふりの開示請求を使うと、亡くなった方の口座がある証券会社・信託銀行等が分かる
証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」を使うと、亡くなった方の株式等の口座がある証券会社や信託銀行等の一覧を、有料で確認できます(出典:証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求」)。
請求できるのは法定相続人(複数いる場合はそのうち1名)とその代理人、遺言執行者です。受付は郵送のみで、結果は代金引換で請求者の本人確認書類上の住所に届きます。ほふりの案内では、請求が混み合っているため、書類に不備がなくても送付まで2か月ほどかかり、受付状況によってはさらに時間がかかる場合があるとされています(出典:証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」)。
分かること | 分からないこと |
|---|---|
開示時点で上場株式などの口座がある証券会社、信託銀行等の一覧 | 銘柄名・取引履歴・保有残高、外国株式や国債・社債などの口座、過去の口座開設先 |
該当がなくても費用はかかり、受付後のキャンセルもできません。心当たりのある証券会社があれば、先に問い合わせてから請求するよう、ほふりは案内しています。
開示請求の費用は、相続人が1件7,700円、法定相続情報一覧図のコピーを出せば6,050円
ほふりの案内では、亡くなった方の口座を調べる開示請求の費用は次のとおりです(出典:証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」、2026年10月15日確認)。
請求する人 | 費用(1件・税込) |
|---|---|
法定相続人(法定相続情報一覧図のコピーを提出) | 6,050円 |
法定相続人(一覧図なし) | 7,700円 |
遺言執行者 | 6,050円 |
氏名と住所の組み合わせを複数調べる場合は、2件目から1件1,100円(税込)が加算されます。費用は2026年10月1日の消印分から改定されています(出典:証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求に係る費用改定のお知らせ」(PDF))。請求前に、ほふりのページで最新の金額を確認してください。
相続した実家を売るか残すか、話し合う前に金額の目安をそろえる
- 買取の対象になる物件の種類と所在地
- 家財(残置物)が残ったままでも依頼できるか
- 査定に必要な書類と申し込みの流れ
- 査定額に納得できないときに断れるか
ほふりへの開示請求は、法定相続情報一覧図のコピーがあると戸籍の束を用意せずに済む
相続人がほふりに開示請求するときは、法務局の「法定相続情報一覧図」のコピーを出せば、続柄ごとに求められる戸籍謄本等の束を集めなくて済み、費用も安くなります。
法定相続人が出す書類は、開示請求書、請求者の本人確認書類のコピー、法定相続情報一覧図のコピー(または戸籍謄本等のコピー)、亡くなった方の住所の確認書類(住民票の除票、戸籍の附票、株主あての書類など)の4点です(出典:証券保管振替機構「必要書類」)。書類はすべてコピーで出し、戸籍の一部のページだけを出すと不備として手続きが止まります。
法務局によると、法定相続情報一覧図の写しは無料で交付され、預金の払戻しなど金融機関の相続手続にも使えます(出典:法務局「法定相続情報証明制度」について)。取り方は法定相続情報一覧図とはで説明しています。
証券会社の口座にある株式は、証券会社の相続手続きで相続人の口座へ移す
開示結果に証券会社の名前があれば、その証券会社に連絡して相続手続きを始めます。ほふりも、保有状況の確認や相続などの手続きは証券会社に問い合わせるよう案内しています。
支店では、その店にある口座しか調べられないことがあります。全店を調べられる窓口に連絡し、開示結果の「加入者口座コード」を伝えると話が早く進みます(出典:証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求-よくあるお問い合わせ-」)。
上場株式は2009年1月5日の株券電子化以降、口座で電子的に管理され(出典:日本証券業協会「株券の電子化」)、株主名簿も、ほふりから株主名簿管理人への「総株主通知」で作られます(出典:信託協会「証券代行業務」)。書き換える紙の株券がないため、株式の名義変更は、相続する人の名義の口座へ株式を移す手続きとして進みます。
必要書類は証券会社ごとに違うため、各社の案内に沿って準備します。預貯金の相続手続きで使う書類は、銀行口座の凍結解除に必要な書類で整理しています。誰が受け継ぐか決まらないときは、弁護士・司法書士に相談してください。
特別口座の株式と単元未満株は、信託銀行等(株主名簿管理人)で手続きする
紙の株券のまま持っていた株式などは「特別口座」で管理されていることがあり、その手続き先は証券会社ではなく、株主名簿管理人である信託銀行等です。
信託協会によると、特別口座は2009年の株券電子化までにほふりに預けられなかった株式について、株主の権利を守るため信託銀行などに開設された口座です。取引口座ではないため、そのままでは売却・譲渡・贈与ができず、証券会社の口座へ移す「口座振替」が必要です。手数料はかかりません。
単元未満株は、発行会社への買取請求で換金する方法もある
単元未満株は、100株など会社が定めた売買単位に満たない株式です。単元未満株を持つ株主は発行会社に買取請求ができ、受付から代金の支払いまでの事務は株主名簿管理人が担います(出典:信託協会「証券代行業務」)。買増制度のある会社なら、買増請求で単元株にすることもできます(出典:日本証券業協会「株券電子化制度よくあるQ&A(改訂版)」(PDF))。
実家の片付けで古い株券が出てきたときは、株券そのものでは売れない
日本証券業協会のQ&Aによると、ほふりに預けられなかった上場会社の株券は2009年1月5日以降、株券自体は無価値となり、証券会社に持ち込んでも売れません。権利は特別口座で管理されており、株券が本人以外の名義のときは「失念株主の救済手続」(相続による単独請求を含む)で名義を変えられます。問い合わせ先は株主名簿管理人です。
相続した株を売るか持ち続けるかは、口座の種類と配当金の受取方法も判断材料になる
売るか持ち続けるかは相続人それぞれが決めることですが、株式が特別口座にあるか証券会社の口座にあるかで、必要な手続きが変わります。
- 売る場合:特別口座の株式は、証券会社の口座へ移してから売却します。単元未満株は買取請求も選べます。
- 持ち続ける場合:NISA口座の株式の配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」を選ぶ必要がありますが、1銘柄でも特別口座で株式を持っているとこの方式は選べません(出典:信託協会)。
銘柄や売る時期といった投資判断は、この記事では扱いません。
相続税では、上場株式を死亡日の最終価格と、死亡月を含む3か月の月平均額とを比べて評価する
国税庁によると、相続税での上場株式は、原則として死亡の日の最終価格で評価し、その価格が死亡月・前月・前々月それぞれの毎日の最終価格の月平均額のうち最も低い価額を超えるときは、最も低い価額で評価します(出典:国税庁 タックスアンサーNo.4632「上場株式の評価」、令和8年4月1日現在法令等)。
評価の基準は死亡の日なので、相続後に売れた金額と同じになるとは限りません。上場していない会社の株式は、同族株主等かどうかなどにより原則的評価方式や配当還元方式で評価する、別の仕組みです(出典:国税庁 タックスアンサーNo.4638「取引相場のない株式の評価」)。申告が必要かの目安は相続税の基礎控除と申告が必要かの判定で確認でき、個別の評価額は税理士に相談してください。
株式と一緒に実家も相続する場合は、実家の価値を査定で確かめておくと、遺産全体の見通しが立てやすくなります。
次の一歩:あなたの地域で調べる・試算する
記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。
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