遺族年金をもらえる人|遺族の範囲・順位と請求先
夫や妻、親を亡くして「自分は遺族年金をもらえるのだろうか」と不安を抱えている方へ。遺族年金をもらえる人は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族のうち、年金の種類ごとに決められた範囲と順位に当てはまる人です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い、請求先と時効を日本年金機構の公表内容から整理しました。
遺族年金をもらえる人は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族に限られる
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者・被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方が支給されます。亡くなった方の保険料の納付状況、受け取る方の年齢、優先順位などの条件をすべて満たすことが必要です(出典:日本年金機構「遺族年金」、2026年10月1日確認)。
日本年金機構の年金用語集によると、「生計を維持されている」とは、原則として生計を同じくしていること(別居でも仕送りや健康保険の扶養などがあれば認められる)と、前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満であることを、どちらも満たす場合をいいます(出典:日本年金機構「生計維持」、2026年10月1日確認)。
遺族基礎年金をもらえるのは「子のある配偶者」と「子」だけ
遺族基礎年金は国民年金から支給される遺族年金で、受け取れるのは亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に限られます。子がいない配偶者や、亡くなった方の父母は遺族基礎年金の対象になりません。
遺族基礎年金でいう「子」は、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある方で、婚姻していない場合に限られます。子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には支給されません。日本年金機構は令和8年4月分からの年金額を、子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)で847,300円に子の加算額を加えた額と示しています(出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」、2026年10月1日確認)。
遺族厚生年金は、配偶者・子・父母・孫・祖父母のうち最も順位の高い人がもらえる
遺族厚生年金は厚生年金保険から支給される遺族年金で、亡くなった方に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ります。遺族基礎年金を受け取れる遺族は、遺族厚生年金とあわせて受け取れます。順位は次のとおりです。
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
子と孫には遺族基礎年金の「子」と同じ年齢・障害の条件があります。子のない30歳未満の妻は5年間のみの受給で、子のない夫と父母・祖父母は55歳以上の方に限られ、受給開始は原則60歳からです。年金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額が基本です(出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」、2026年10月1日確認)。
中高齢寡婦加算は、子のいない40歳以上65歳未満の妻などの遺族厚生年金に上乗せされる
中高齢寡婦加算は、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻などが受ける遺族厚生年金に、40歳から65歳になるまで加算されるものです。子のある妻が子の成長によって遺族基礎年金を受け取れなくなったときも対象になります。
日本年金機構の「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」(2026年6月22日更新)は、中高齢寡婦加算の額を年額635,500円としています。亡くなった夫が老齢厚生年金の受給権者などだった場合は、夫の厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上あることが条件です。
遺族年金の請求先は、遺族基礎年金が市区町村役場、遺族厚生年金が年金事務所
遺族基礎年金の請求書は住所地の市区町村役場の窓口に、遺族厚生年金の請求書は年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。亡くなった日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、遺族基礎年金も年金事務所などが提出先です。主な添付書類は次のとおりです。
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
- 世帯全員の住民票の写しと、亡くなった方の住民票の除票
- 請求する方の収入が確認できる書類(所得証明書など)
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 受取先の金融機関の通帳など(本人名義)
戸籍謄本と住民票の写しは、受給権発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたものが必要で、マイナンバーの記入で省略できる書類もあります(出典:日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」、2026年10月1日確認)。戸籍を何度も集める負担は法定相続情報一覧図で軽くできます。
遺族年金の時効は5年で、未支給年金とは別に請求する
遺族年金を受ける権利は、日本年金機構の「年金の時効」によると5年で時効により消滅し、起算日は支給事由が生じた日の翌日です(出典:日本年金機構「年金の時効」、2026年10月1日確認)。
未支給年金は、年金を受けていた方が亡くなったときにまだ受け取っていない、亡くなった月分までの年金で、生計を同じくしていた遺族が受け取ります。遺族年金とは請求書が別です。死亡届と未支給年金の手続きは年金受給者が亡くなったときの手続きで解説しています。国民年金の第1号被保険者期間がある方が亡くなった場合は、寡婦年金や死亡一時金を受けられる場合もあります。
遺族厚生年金は2028年4月に見直しが予定され、既に受給している人は影響を受けない
令和7年(2025年)6月13日に成立した年金制度改正法で遺族年金が見直され、厚生労働省によると遺族厚生年金の見直しは2028年4月に施行される予定です。厚生労働省は、18歳年度末までの子がいない方のうち、2028年度末時点で40歳未満の女性と60歳未満の男性が原則5年間の有期給付の対象になると説明しています。
既に遺族厚生年金を受給している方、60歳以降に受給権が発生する方、2028年度に40歳以上になる女性などは見直しの影響を受けないとされています(出典:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」、2026年10月1日確認)。この記事の内容は2026年10月1日時点の現行制度です。受け取れるかどうかや年金額は、年金事務所または街角の年金相談センターで確認してください。
まとめ
- 遺族年金をもらえる人は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族に限られる
- 遺族基礎年金は「子のある配偶者」と「子」、遺族厚生年金は最も順位の高い遺族が受け取る
- 請求先は遺族基礎年金が市区町村役場、遺族厚生年金が年金事務所。時効は5年
葬儀後の手続き全体の順番は親が亡くなったらやることで確認できます。相続を含む手続き全体は、社会保険労務士・司法書士などの専門家にご相談ください。
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