お墓を継ぐ人の決め方|祭祀承継者と霊園の名義変更

「親が亡くなったけれど、お墓は誰が継ぐの?」「兄弟で話がまとまらない」と困っている方へ。お墓を継ぐ人は法律上「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」と呼ばれ、預金や不動産の相続とは別のルールで決まります。この記事では、継ぐ人の決まり方、家庭裁判所の手続き、霊園の名義変更、継ぐ人がいないときの選択肢を公的資料からまとめました。
お墓を継ぐ人(祭祀承継者)は、預金や不動産の相続とは別のルールで決まる
お墓を継ぐ人(祭祀承継者)は、預金や不動産を分ける相続とは別のルールで決まります。民法第897条は、系譜・祭具・墳墓の所有権は、相続の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定めています(出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法」第897条、2026年9月30日確認)。
岡山家庭裁判所の「遺産分割手続Q&A」も、祭祀財産(祭具・墓など)は相続とは別の基準(慣習等)で承継されるもので、遺産分割の対象にはならないと説明しています(出典:岡山家庭裁判所「遺産分割手続Q&A」、2026年10月1日確認)。相続放棄を考えている人がお墓を継げるかなど、個別の事情が関わる判断は家庭裁判所や弁護士に確認してください。
お墓を継ぐ人は「故人の指定」「慣習」「家庭裁判所」の順で決まる
民法第897条によると、お墓を継ぐ人は、故人の指定があればその人、指定がなければ慣習、慣習も明らかでなければ家庭裁判所が決めるという順番で定まります。
- 故人(被相続人)がお墓を継ぐ人を指定していれば、指定された人が承継する
- 指定がなければ、慣習に従って祭祀を主宰する人が承継する
- 慣習が明らかでないときは、承継する人を家庭裁判所が定める
民法第897条は「長男が継ぐ」「同じ姓の人が継ぐ」といった決め方を定めていません。家族の中で誰がお墓を守っていくのか、親族で早めに話し合っておくと、名義変更や管理料の支払いで迷いにくくなります。
話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に祭祀承継者の指定を申し立てる
お墓を継ぐ人が親族の話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に「祭祀承継者の指定」を申し立てる方法があります。岡山家庭裁判所の遺産分割手続Q&Aは、慣習が明らかでなく相続人の間でも決められないので家庭裁判所の調停で話し合いたい場合には、遺産分割とは別に祭祀承継者指定の申立てが必要だとしています。
札幌家庭裁判所(本庁)の費用一覧表(令和5年10月1日現在)では、祭祀承継者の指定の収入印紙は1,200円です。郵便切手の額は裁判所や事案によって異なることがあると書かれているため、申立先の家庭裁判所に確認してください(出典:札幌家庭裁判所「申立時に必要な収入印紙・郵便切手等一覧表」、2026年10月1日確認)。
裁判所の「審判手続一般」は、遺産分割など当事者間に争いのある家事事件は、通常まず調停として申し立てられ、話合いがつかなければ審判に移ると説明しています(出典:裁判所「審判手続一般」、2026年10月1日確認)。申立ての進め方や親族との調整は、弁護士に相談してください。
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墓地の名義変更は、霊園ごとの規則に沿って管理者に申請する
墓地の名義変更(使用者の地位の承継)は、霊園ごとに定められた規則に沿って、霊園の管理者に申請して行います。公営霊園の例として、東京都霊園条例第19条は、都立霊園の使用者が亡くなったとき、引き続き使用しようとする人は使用者の地位を承継できるとし、埋蔵施設(お墓)などの使用者の地位を承継しようとする人は祖先の祭祀を主宰する人でなければならず、遅滞なく知事に申請して許可を受けると定めています(出典:東京都霊園条例、2026年10月1日確認)。
公営霊園の例 | 名義変更の主な案内 |
|---|---|
都立霊園(東京都) | 喪主など祭祀を主宰している人が継ぐ場合、親族の協議を行う場合、遺言・家裁の審判等で承継人が指定されている場合など、状況別に必要書類を案内。手数料は墓所1か所につき2,000円で、郵送による申請はできない |
宇都宮市営の霊園・墓地 | 使用者が亡くなった場合は「墓園使用権承継届」で届け出る。戸籍謄本などのほか、親族一同と協議して承継者に決まったことなどを記す申立書を添付 |
都立霊園の案内では、戸籍謄本の一部を法務局で交付される法定相続情報一覧図で代用できるとしています(出典:東京都公園協会「資料ダウンロード|TOKYO霊園さんぽ」の資料1・2・5、宇都宮市「墓園使用権の承継」、いずれも2026年10月1日確認)。寺院墓地や民営霊園の手続きは、それぞれの使用規則や契約で決まるため、墓地の管理者に確認してください。
生前にお墓を継ぐ人を決める方法には、遺言書や霊園の生前指定がある
お墓を継ぐ人を生前に決めておく方法として、遺言書で指定するほか、霊園によっては名義人が生きているうちに承継人を指定する手続きがあります。都立霊園は、名義人が亡くなった後の名義変更で、祭祀承継人の指定が記載された遺言書(公正証書、法務局の遺言書情報証明書、家庭裁判所で検認されたもの)や家庭裁判所の審判書等を受け付けると案内しています。
都立霊園には、名義人が指定書で承継人を指定する生前の名義変更もあります。ただし都立霊園の案内では、生前指定による承継は原則として当初の使用許可日から10年間は受け付けていません。遺言書の書き方や、誰を指定するかの判断は、弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。
お墓を継ぐ人がいないときは、合葬墓への変更や墓じまい(改葬)を検討できる
お墓を継ぐ人がいないときは、承継者がいなくなる前に、合葬墓への変更や墓じまい(改葬)を検討できます。東京都霊園条例第20条の2は、都立霊園の使用者からの申出により、使用者が亡くなった後に承継する人がいないと認めるときは、使用する施設を合葬埋蔵施設等に変更できると定めています。
東京都霊園条例第22条は、使用者が亡くなって承継する人がいないときなどは、知事が遺骨を別に定める場所に改葬すると定めています。継ぐ人がいないと分かった段階で、霊園の管理者に選択肢を相談しておくと安心です。墓じまいの全体の手順は墓じまいの流れ、市区町村に出す書類は改葬許可申請書の書き方、遺骨の納め先は永代供養の種類と費用で整理しています。
まとめ
- お墓を継ぐ人(祭祀承継者)は、預金や不動産の相続とは別のルールで決まる
- 決まる順番は、故人の指定、慣習、家庭裁判所の指定
- 話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に祭祀承継者の指定を申し立てられる
- 墓地の名義変更は、霊園ごとの規則に沿って管理者に申請する
- 継ぐ人がいないときは、合葬墓への変更や墓じまい(改葬)を霊園に相談する
お墓の承継は、家族の気持ちと法律・霊園の規則が重なる手続きです。個別の判断に迷ったときは、家庭裁判所の手続案内や弁護士、霊園の管理者に相談してください。
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