相続・死後の手続き

遺言書の検認とは|手続きの流れ・費用・必要書類

遺言書の検認とは|手続きの流れ・費用・必

「実家の片付けや遺品整理の途中で、親の遺言書らしき封筒を見つけた」という方へ。遺言書の検認とは何か、検認が必要な遺言と不要な遺言、封を開けてはいけない理由、家庭裁判所への申立ての流れと費用を、裁判所・法務省・日本公証人連合会・e-Gov法令検索の公表情報で整理しました。

遺言書の検認とは、家庭裁判所が相続人に遺言の存在と内容を知らせ、遺言書の状態を記録して偽造・変造を防ぐ手続き

遺言書の検認とは、家庭裁判所が相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日時点の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防ぐための手続きです(出典:裁判所「遺言書の検認」、2026年9月30日確認)。

民法1004条1項は、遺言書の保管者に、相続の開始を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求するよう定めています。保管者がいない場合は、遺言書を発見した相続人が同じように請求します(出典:e-Gov法令検索「民法」)。

裁判所は、検認は「遺言の有効・無効を判断する手続ではありません」と明記しています。検認を受けたことで遺言の有効性が確定するわけではないため、遺言の効力や内容に疑問があるときは弁護士・司法書士に相談してください。

遺言書の検認が必要なのは自宅などで保管されていた自筆証書遺言と秘密証書遺言で、公正証書遺言と法務局に保管された自筆証書遺言は検認が不要

遺言書の検認が必要かどうかは遺言の方式と保管場所で決まり、公正証書遺言と、法務局の遺言書保管制度で保管された自筆証書遺言は検認が不要です。

遺言の種類

検認

根拠

自筆証書遺言(自宅などで保管されていたもの)

必要

民法1004条1項・裁判所

秘密証書遺言

必要

日本公証人連合会

公正証書遺言

不要

民法1004条2項・日本公証人連合会

法務局に保管されている自筆証書遺言

不要(遺言書情報証明書を使う)

遺言書保管法11条・法務省

法務省は、自筆証書遺言書保管制度で保管された遺言書について「家庭裁判所における検認が不要」と案内しています。相続人などは遺言書情報証明書の交付を受けて、遺言書原本の代わりに各種の手続きに使います(出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」)。遺言者が希望していた場合は、遺言者の死亡が確認された時点で、指定された人に保管の通知が届きます。

日本公証人連合会は、公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続を経る必要がなく、秘密証書遺言は遺言書保管制度を利用できないため、発見した人が家庭裁判所で検認手続を受ける必要があると説明しています(出典:日本公証人連合会「遺言」)。3つの方式の違いは公正証書遺言の費用・必要書類|遺言書の書き方3方式で比べています。

封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人などの立会いのもとで開封する決まりのため、遺品整理で見つけても封を開けずに保管する

民法1004条3項は、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できないと定めています。家庭裁判所の外で開封した人、遺言書の提出を怠った人、検認を経ないで遺言を執行した人は、5万円以下の過料の対象です(民法1005条)。

遺品整理の途中で遺言書らしき封筒を見つけたときは、封筒のまま、ほかの書類と分けて保管してください。遺言書以外に捨ててはいけない書類や形見は遺品整理で捨ててはいけないもの一覧と順番にまとめています。

遺言書の検認は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立て、通知された検認期日に遺言書を提出し、終了後に検認済証明書を申請する流れで進む

遺言書の検認を申し立てられるのは遺言書の保管者と遺言書を発見した相続人で、申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です(出典:裁判所「遺言書の検認」)。裁判所が案内する通常の流れは次のとおりです。

  1. 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に、申立書と戸籍謄本などの添付書類を出して検認を申し立てる
  2. 家庭裁判所から相続人に、検認期日(検認を行う日)の通知が届く
  3. 検認期日に申立人が遺言書を提出し、出席した相続人などの立会いのもと、裁判官が封のある遺言書を開封して検認する
  4. 検認が終わったら、遺言の執行に必要な検認済証明書を申請する

検認期日には、申立人が遺言書と、担当者から指示されたものを持参します。

申立てから検認期日までの期間の目安は、裁判所のページに示されていません。検認期日は家庭裁判所から通知されるため、日程は申立先の家庭裁判所に確認してください。

遺言書の検認の申立てには、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本を添えるのが基本で、相続人の範囲によって追加の戸籍が必要

裁判所が示す遺言書の検認の標準的な添付書類のうち、どの場合にも共通するのは次の3つです。

  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言者の子(代襲者を含む)で亡くなっている人がいる場合は、その人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

相続人が遺言者の父母・祖父母など(第二順位)の場合は、亡くなっている直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本が追加で必要です。相続人が兄弟姉妹・おいめい(第三順位)の場合、配偶者のみの場合、相続人がいない場合は、遺言者の父母の出生時から死亡時までの戸籍謄本などが加わります。申立て前に入手できない戸籍は申立て後に追加提出することもできます。戸籍の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を提出できる場合もあるため、申立先の家庭裁判所に確認してください。

遺言書の検認の費用は遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手で、検認済証明書の申請には1通150円分の収入印紙がかかる

裁判所が公表している遺言書の検認の費用は、申立ての収入印紙と連絡用の郵便切手、検認済証明書の申請の収入印紙の3つです。

費用

金額・納め方

申立ての収入印紙

遺言書(封書の場合は封書)1通につき800円分

連絡用の郵便切手

裁判所ごとに異なる。保管金として納付することもできる

検認済証明書の申請

遺言書1通につき150円分の収入印紙

郵便切手の額は、申立先の家庭裁判所のウェブサイトで確認できます。

遺言の内容を実現する手続きには検認済証明書が付いた遺言書が必要で、検認後は実家の名義変更や銀行口座の手続きに進む

遺言の内容を実現する手続き(遺言の執行)をするには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要だと裁判所は案内しています。

遺言で実家を受け継ぐ場合の名義変更(相続登記)の書類は相続登記の必要書類|ケース別の一覧と集め方、亡くなった親の銀行口座の手続きは銀行口座の凍結解除に必要な書類|相続手続きの流れで、遺言があるケースを含めて整理しています。

遺言で受け継いだ実家に住むか、貸すか、売るかを考えるときは、不動産の価値を査定で確かめておくと家族で話し合う材料になります。遺言の内容や効力で迷うときは、弁護士・司法書士に相談してください。

遺言書の検認についてよくある質問

Q. 遺言書を開けてしまった場合はどうすればよいですか?

民法1004条1項が定める遺言書の提出と検認の請求は、開封してしまった遺言書にも必要です。家庭裁判所の外で開封した人は5万円以下の過料の対象になると民法1005条は定めています。開封したことが遺言の効力にどう影響するかは、弁護士・司法書士に相談してください。

Q. 遺言書の検認をしないとどうなりますか?

裁判所は、遺言の執行には遺言書に検認済証明書が付いていることが必要と案内しています。民法1005条は、遺言書の提出を怠った人や、検認を経ないで遺言を執行した人を5万円以下の過料の対象としています。

Q. 相続人全員が検認期日に出席する必要がありますか?

申立人以外の相続人が出席するかどうかは各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われると裁判所は案内しています。

まとめ

  • 遺言書の検認は、遺言書の状態を記録して偽造・変造を防ぐ家庭裁判所の手続きで、遺言の有効・無効は判断しない
  • 自宅などで保管されていた自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要。公正証書遺言と法務局に保管された自筆証書遺言は不要
  • 封印のある遺言書は開封せずに保管し、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる
  • 費用は遺言書1通につき収入印紙800円分と郵便切手、検認済証明書は1通150円分の収入印紙
  • 検認期日は家庭裁判所から通知される

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

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この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。