相続・死後の手続き

法定相続人とは|範囲と順位・相続分を図で確認

法定相続人とは|範囲と順位・相続分を図で

「親が亡くなって、誰が相続人になるのか分からない」「兄弟姉妹にも相続の権利があるのか知りたい」という方へ。法定相続人の範囲と順位は民法で決まっていて、配偶者は常に相続人になり、ほかの親族は子・父母・兄弟姉妹の順に加わります。民法の条文と国税庁・裁判所の説明をもとに、範囲・順位・相続分を表で整理します。

法定相続人とは、被相続人の財産を受け継ぐ人として民法が範囲と順位を定めた相続人

法定相続人とは、亡くなった人の財産や借金などを受け継ぐ人として、民法が範囲と順位を定めている相続人のことです。財産を残して亡くなった人は「被相続人」と呼ばれ、国税庁のタックスアンサーNo.4102では「亡くなった人のことをいいます」と説明されています。

相続は死亡によって開始し(民法882条)、相続人の範囲は民法887条から890条、取り分である法定相続分は民法900条で決まります。親が存命のうちに、相続が始まったら相続人になる立場の人は「推定相続人」と呼ばれます(民法892条)。

配偶者は常に相続人で、ほかの親族は子・直系尊属・兄弟姉妹の順位で加わる

民法890条は「被相続人の配偶者は、常に相続人となる」と定めています。配偶者以外の親族には順位があり、先の順位の人がいれば、後の順位の人は相続人になりません。国税庁のタックスアンサーNo.4132をもとに、確かめる順番を図にすると次のとおりです。

確かめる順番

相続人になる人

根拠

常に

配偶者(法律上の夫・妻)

民法890条

第1順位

子(子が先に亡くなっていれば孫など)

民法887条

第2順位(第1順位がいないとき)

直系尊属(父母。父母がいなければ祖父母)

民法889条1項1号

第3順位(第1・第2順位がいないとき)

兄弟姉妹(先に亡くなっていれば甥・姪)

民法889条1項2号・2項

子と孫、父母と祖父母がいるときは、被相続人により近い世代の子や父母が優先されると国税庁は説明しています。

法定相続分は民法900条で決まり、配偶者の取り分は2分の1・3分の2・4分の3のいずれか

法定相続分は、相続人が複数いるときのそれぞれの取り分の割合として民法900条が定めたもので、配偶者と一緒に相続する人の順位で変わります。

相続人の組み合わせ

配偶者

配偶者以外(全員で)

配偶者と子

2分の1

2分の1

配偶者と直系尊属

3分の2

3分の1

配偶者と兄弟姉妹

4分の3

4分の1

子・直系尊属・兄弟姉妹が2人以上いるときは、各自の相続分は等しくなります(民法900条4号)。配偶者と子2人なら、子の2分の1を2人で均等に分けます。

国税庁は、法定相続分は遺産分割の合意ができなかったときの持分で、この割合どおりに分けなくてもよいと説明しています。被相続人は遺言で相続分を定めることができ(民法902条)、相続人どうしの協議で分け方を決めることもできます(民法907条)。協議の結果をまとめる書類は遺産分割協議書の雛形と作り方で解説しています。個別の取り分は司法書士や弁護士に相談してください。

代襲相続は、先に亡くなった子や兄弟姉妹に代わり、その子どもが相続人になる仕組み

民法887条2項は、被相続人の子が相続の開始以前に死亡したときや、欠格・廃除で相続権を失ったときは、その者の子が代襲して相続人になると定めています。孫も先に亡くなっていれば、ひ孫が相続人になります(民法887条3項)。裁判所の相続の放棄の申述のページも、第1順位を「被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)」と表記しています。

兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までです。民法889条2項が準用しているのは887条2項だけで、ひ孫へと続く887条3項は準用されていません。裁判所も第3順位を「兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)」と表記しています。代襲相続人の相続分は、本来の相続人が受けるはずだった分と同じです(民法901条)。

相続放棄をした人は初めから相続人でなかったとみなされ、相続権が次の順位へ移ることがある

民法939条は「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定めています。子が全員相続放棄をすると子がいないのと同じ扱いになり、第2順位の父母などが相続人になります。父母なども相続放棄をするか既に亡くなっていれば、兄弟姉妹が相続人です。

民法887条2項が挙げる代襲の原因は死亡・欠格・廃除の3つで、相続放棄は含まれないため、相続放棄をした子の子(孫)は代襲相続人になりません。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法915条)。書類と期限は相続放棄の必要書類と期限で解説しています。

欠格と廃除では、相続権を失った人の子が代襲相続人になる

民法891条は、故意に被相続人などを死亡させて刑に処せられた者や、遺言書を偽造・破棄・隠匿した者などは「相続人となることができない」と定めています(欠格)。民法892条は、被相続人を虐待したり重大な侮辱を加えたりした、遺留分のある推定相続人の廃除を、被相続人が家庭裁判所に請求できると定めています。欠格や廃除は相続放棄と違い、民法887条2項により代襲相続が起こります。

内縁の配偶者は法定相続人にならず、連れ子は養子縁組をしていれば子として相続人になる

国税庁のタックスアンサーNo.4132は「内縁関係の人は、相続人に含まれません」と説明しています。婚姻届を出していないパートナーは、長く一緒に暮らしていても民法890条の配偶者にあたりません。

再婚相手の連れ子は民法887条の「被相続人の子」にあたらないため、養子縁組をしていなければ相続人になりません。養子縁組をすると、民法809条により「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」ため、実子と同じ第1順位の相続人になり、相続分も実子と等しくなります。養子の子が代襲相続人になるかは縁組と出生の前後が関わるため(民法727条・887条2項ただし書)、該当する方は司法書士や弁護士に相談してください。

相続税の「法定相続人の数」は、相続放棄をした人も含めて数える

国税庁のタックスアンサーNo.4152によると、相続税の基礎控除などに使う法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとした人数で数え、養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までしか含めません。基礎控除の考え方は相続税の基礎控除と申告の要否で解説しています。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子や孫がおらず、父母や祖父母もいない場合

被相続人の兄弟姉妹は第3順位のため、子や孫も直系尊属もいない場合に限って相続人になり、配偶者がいれば配偶者が4分の3、兄弟姉妹が全員で4分の1です。一方、親の遺産をきょうだいで分けるときは、きょうだいは「被相続人の子」として第1順位で相続します。

亡くなった人

きょうだいの立場

順位

親

被相続人の子

第1順位

子も父母・祖父母もいないきょうだいの一人

被相続人の兄弟姉妹

第3順位

父母の一方だけを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1です(民法900条4号ただし書)。また、民法1042条は遺留分を「兄弟姉妹以外の相続人」に認めているため、兄弟姉妹には遺留分がありません。

誰が法定相続人かは、被相続人の出生から死亡までの戸籍をそろえて確定する

法定相続人は、被相続人の戸籍をさかのぼって確かめます。裁判所の相続放棄の説明でも、第2順位や第3順位の相続人の申述には「被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本」が求められています。

法務局の法定相続情報証明制度では、相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)と戸籍の束を出すと、登記官が確認した認証文付きの写しを無料で受け取れ、相続登記や預金の払戻しなどに使えます。相続登記までの順番は実家を相続した後の手続きの順番で整理しています。戸籍の読み取りに迷うときは、司法書士に相談してください。一覧図の取り方と必要書類は法定相続情報一覧図とは|必要書類と相続関係説明図で整理しています。

法定相続人でよくある質問

Q. 遺言書があれば、法定相続分と違う分け方になりますか?

民法902条により、被相続人は遺言で相続分を定めることができます。ただし民法1042条は、兄弟姉妹以外の相続人に遺留分という一定の取り分を認めています。遺留分の請求は事情によって変わるため、弁護士に相談してください。遺言書の方式は遺言書の書き方3方式で解説しています。

まとめ

  • 配偶者は常に法定相続人で、ほかの親族は子→直系尊属→兄弟姉妹の順に、先の順位の人だけが加わる
  • 法定相続分は、配偶者と子が各2分の1、配偶者と直系尊属が3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹が4分の3と4分の1
  • 孫や甥・姪が代わりに相続する代襲相続があり、相続放棄をした人は初めから相続人でなかったとみなされる

相続人がはっきりしたら、実家などの不動産をどう分けるかの話し合いに進みます。不動産の価値を早めに把握しておくと、分け方を考える材料になります。

記事を読んだら、お住まいの市区町村の具体的な情報や費用の目安を確かめてみましょう。

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この記事について

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・年金・税・登記などの手続きは、 個別の状況や法改正によって取り扱いが異なります。具体的な手続きや判断は、各市区町村窓口・ 年金事務所・法務局・税務署、および司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご確認ください。

編集・運営:株式会社Kogera「生前整理支援センター ふれあいの丘」。 実家じまい・遺品整理・生前整理の進め方を、当事者とご家族の目線でわかりやすくお届けしています。